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プロローグNo.1
アナザー・エンカウンター

宇宙。

それは人類に残された最後のフロンティア。

その誕生の瞬間から多くの謎につ疲れ、
膨張の果てに何が起こるのか誰も知らない。

失われた超銀河文明…繰り返される歴史…
並行世界…すべての可能性がここにはある。

人間の手がまだ触れないのだから。

【戦闘マップ1開始】
〔センサー反応〕
〔マップ上にスパーク〕

新統合軍兵「正面宙域に重力の歪みを確認! 何かがデフォールド…いえ、ワープアウトしてきます!」
新統合軍士官「何だと?」
〔味方ユニット出現〕
新統合軍兵「光学映像、出ます!」
〔通信スクリーンの開く音〕
新統合軍士官「これは…鳥型の戦艦、いや要塞か? 全艦に警報発令! 大統領府へ至急連絡を!」
〔警報〕
三島(アンノウン遭遇の警報だと? 予定よりも早いな…)
〔通信のコール音〕
三島「私だ。何があったのかね?」
〔モニターの開閉音〕
新統合軍士官「はっ。正体不明の大型艦が船団の正面宙域に突如出現しました」
三島「大型艦? はぐれゼントラーディか?」
新統合軍士官「確認中です。ですが、外観上の特徴は地球製を示しているようです」「なお、攻撃して来る様子はありません」
ハワード「船団の安全確保が最優先だ。直ちに統合軍、S.M.Sに連絡を。ただし、こちらから撃ってはならんぞ」
〔コンピュータの動作音〕
新統合軍士官「該当データ、ありました! これは…ソーラーファルコン…?」
ハワード「ソーラーファルコン…だと…?」
新統合軍士官「微弱ですが生命反応があります。オープンチャンネルで呼びかけていますが、返答はありません」
三島「ソーラーファルコン…統合戦争が始まる前、ボアザン星人から地球を守ったというあの伝説の…?」
ハワード「そう、その通りだ。だが、あの艦は60年前にボアザン星からの帰途に消息を絶ったはず。そんな艦がなぜ今頃になってこんな宙域に…?」
三島「考えていても始まりません。閣下、どう対応されるおつもりですか?」
ハワード「まずはアイランド1へ回収する。各種チェックの後、救助活動を」
【戦闘マップ1終了】

【シナリオデモ1開始】

銀河系エリア
大統領府/執務室
健太郎「この60年の状況については概ね理解できました。いくつか信じたがたい事件もありましたが…」
三島「残念ながら、すべて真実です」
左近寺「それにしても不可解なのは我々とあなた方の時間のズレだ」「ソーラーファルコンのワープ航法はウラシマ効果とは無縁のはず。地球との時間のズレはゼロのはずだ」
三島「それについてはひとつ思い当たる節があります」
ハワード「何だね、三島君?」
三島「我々の用いているフォールド航法と同じ問題点にぶつかったと思われます」
健太郎「と、おっしゃいますと?」
三島「フォールド…つまり、ワープ中は高次元空間を移動する事になるのですが…」「その移動中にフォールド断層と呼ばれる次元断層に突入すると、遭難の危険があるのです」
左近寺「我々が60年の間、遭難していたと言うのかね?」
三島「生還した前例がないため、確証はありませんが…」
健太郎「確かに、我々が高次元空間内に閉じ込められていたとすればひとまずの説明はつきますが…」
左近寺「ううむ…。ボアザン星へワープ航法で向かった時には問題はなかったのだが…」
三島「現に、あなた方が行方不明になってからはボアザン星からの接触は一切ありません。ワープルートが寸断された可能性は高い」「そういった事情もあってボアザンの技術に関する資料はすべて統合戦争の際に失われたままなのです」「ボアザン由来の技術に対するフォールド断層の影響に関しては解明に時間がかかると思われます」
健太郎「そうですか…」
ハワード「剛博士。これからどうされるおつもりです?」
健太郎「…地球に戻ろうにも、事故の原因がわからぬままでは危険ですからな。さて、どうしたものか…」
ハワード「もしよろしければ、このままフロンティア船団に留まってはいただけませんか?」
健太郎「何ですと?」
ハワード「皆さんは、かつて地球を救った英雄。船団に迎え入れる事を反対する者はおりますまい」「それにフォールド断層についてのデータ解析に関してはこちらの資料が役立つでしょう」「事故の原因が解明できるまで是非、我々に力を貸していただきたい」
健太郎「わかりました。閣下のご厚意に感謝し、協力を約束いたしましょう」
ハワード「では、さっそく受け入れに準備に入りましょう。三島君、頼めるかね」
三島「かしこまりました。では、ボルテスチームの処遇についてはいかがしましょうか?」
ハワード「統合軍の管理下に置くわけにもいくまい。S.M.Sの外部協力者という形を取りたまえ」
三島(なるほど。ソーラーファルコンの受け入れはあの方のご意向というわけか…)
健太郎「よろしければ、そのS.M.Sについても教えていただけませんか?」
三島「フロンティアに駐留している民間軍事プロバイダーです」「新統合軍よりもはるかに優秀な人材が揃った民間組織ですよ」
左近寺「つまり、傭兵部隊というわけですな」「その船団に何かあれば、我々も狩り出されるという解釈で間違いありませんな?」
ハワード「…皆さんは名高き伝説の英雄。いざという時は必ずや我々の力になっていただけると信じております」
左近寺「無論、相手が人類の敵であれば助力は惜しみません」
ハワード「では三島君。みなさんもS.M.Sにお連れしてくれ」
三島「わかりました。では剛博士、左近寺博士、参りましょう」
健太郎「では大統領、失礼いたします」
〔ドアノブを回す音〕
ハワード「来たるべき日に備えて、戦力は多い方がいい…」
〔通信のコール音〕
「はい、グラスです」
〔通信の開閉音〕
???(ビルラー)「ソーラーファルコンの件だけど、どうなった?」
ハワード「ちょうど今、彼らをS.M.Sに向かわせたところです」
???(ビルラー)「それはよかった。彼らは協力的だったかい?」
ハワード「ええ。技術協力に関しても追って要請する予定です」
???(ビルラー)「頼むよ。ボアザンの技術があれば、奴らと関わらなくても断層を超えられるかもしれないんだ」「遭難事故からの生還の事もある。実にデカルチャーって感じだよ」
ハワード「研究に関しては三島君に一任しておきます」
???(ビルラー)「期待しているからね」
ハワード「はい。それでは」

マクロス・クォーター/ブリーフィングルーム
左近寺「…と言うわけで、今日から我々はしばらくS.M.Sにメンバーとして暮らす事になった」
健一「俺達は一瞬のうちに60年後の未来に飛ばされてしまったのか」
一平「まるで浦島太郎だな…」
左近寺「俺もまだ実感がわかんが、受け入れるしかなかろう」
日吉「ねえ、左近寺博士、お父さんは?」
左近寺「剛博士は、大統領補佐官と一緒にL.A.Iという会社へ行った」「今回のワープ事故の原因について調査するそうだ」
めぐみ「どういった会社なんですか?」
ルカ「L.A.Iは総合機械メーカーですよ。コンピュータのパーツから戦闘機まで、色々研究開発している会社です」
ミシェル「で、こいつはその会社のお坊ちゃま」
ルカ「や、やめて下さい、ミシェル先輩」
めぐみ「あなた達は?」
ルカ「僕はS.M.Sスカル小隊に所属するRVF-25のパイロットで、ルカ・アンジェローニです。よろしく」
ミシェル「同じくミハエル・ブラン。親しい友人はミシェルと呼びます。お嬢さん、あなたのお名前は…?」
めぐみ「わ、私は…」
一平「随分といい加減な奴でもなれるんだな、S.M.Sのパイロットってのは」「おい、めぐみ。相手する事はねえぞ」
ミシェル「めぐみちゃんって言うのか。今度、ヤキモチ焼きの彼氏がいない時にデートしようね」
めぐみ「デ、デート!?」」
一平「てめえ…!」
ギリアム「仲間の比例は詫びる。ナンパはこいつの病気みたいなもんで、誰でも見境なしなんだ」「すまないが、許してやってくれ」
一平「あんたは?」
ギリアム「俺はギリアム。ヘンリー・ギリアム大尉だ。今日付けで入隊する新人ってのは君達だな?」
健一「はい。よろしくお願いします!」
一平「新人って言ったって、そこらのナンパ野郎より腕は確かだぜ」
ミシェル「…弱い犬ほどよく吠える、ってね」
一平「野郎…! 口だけじゃねえって事を見せてやる!」
ミシェル「そんなに言うなら見せてもらおうじゃない。簡単に挑発に乗る安っぽい男の実力ってヤツをさ!」
ギリアム「いい加減にしろ、ガキども! ふたりとも格納庫内50周!」「その後で殴り合う元気がありゃ、好きなだけ殴り合え!」
ミシェル「ご、50周!?」
一平「お、俺もかよ!」
ギリアム「グズグズ言ってると10周追加するぞ!」
ミシェル「イ、イエッサー!」
一平「ええいっ! 走りゃいいんだろ! 覚えてろよ、メガネ!」
ミシェル「黙って走れっ! 10周追加されるぞ!」
〔ドアノブを回す音〕
大次郎「すまんこってす、ギリアムさん」
ルカ「どうしたんだろう、ミシェル先輩。普段はあんなにイライラしてないのに…」
日吉「一平お兄ちゃんもだよ。きっと、突然の出来事で余裕がなくなっちゃってるんだ」
左近寺「格納庫を見せてもらったが、早速、一平がしごかれとるようだな」
ギリアム「すみません、左近寺博士。出すぎた真似をと思いましたが、俺達はプロの戦争屋ですからね」「つまらんケンカで士気を乱すような奴は根性を叩き直さないと…ってのがウチの流儀です」
左近寺「実に気骨のある企業のようで何よりです」
〔ドアノブを回す音〕
オズマ「おい、ギリアム。ミシェルの奴が走ってたが、何かあったのか?」
ジェフリー「もうひとりは今日配属になった新人パイロットのようだね…」
ルカ「オズマ隊長! それに艦長も!」
ギリアム「俺が走らせたんですよ。つまらないケンカをしてたもんでね」
左近寺「実にいい仲間をお持ちのようですな」
オズマ「ええ。こいつは俺の片腕ですよ」
ジェフリー「はじめまして、左近寺博士。私はジェフリー・ワイルダー。マクロス・クォーターの艦長です」
左近寺「今日からお世話になります、艦長」
ジェフリーいえいえ、こちらこそ」「…いやはや、こうして歴史に名を残す人物と対峙するとなると、手が汗ばみますな」
左近寺「よしてください、艦長。我々はまだまだ現役のつもりですよ」
オズマ「俺も昔、軍のデータライブラリーで資料を読んだ事がありますが…」「博士の訓練は統合軍や俺達に勝るとも劣らない厳しいものだったと伝えられていますよ」
左近寺「生半可な訓練ではボアザン相手に生き残れん。当然の事をしたまでです」
オズマ「艦長、この際ですから左近寺博士にウチの若いのを鍛え直してもらっては?」
ジェフリー「それは名案だな。来たるべき日に備えて力をつけておくに越した事はあるまい」「左近寺博士、お願いできますか?」
左近寺「わかりました。喜んでお引き受けしましょう」「ボルテスチーム。いい機会だから、お前達の訓練メニューも一新する」「ボアザン星での戦いが終わってからたるんどるようだったからな」
日吉「そんなあ…」
健一「甘ったれるな、日吉! ボアザン星人との戦いが終わったからといって俺達の戦いが終わったわけじゃないんだぞ!」
ギリアム「その通りだぞ、日吉君。俺達はフロンティア船団を守るため、命を賭けて戦わなきゃならないんだ」「訓練が嫌だなんて甘っちょろい事を言ってるようじゃ、S.M.Sのパイロットは務まらんぞ」
日吉「う、うん。わかったよ、ギリアムさん。僕、頑張るよ」
左近寺「わかればよし。それではさっそく訓練を開始する! ギリアム君、手伝ってくれるか?」
ギリアム「もちろんですよ。ビシバシいきましょう」
めぐみ「左近寺博士、張り切ってるわね」
ルカ「ギリアム大尉もですよ。改めてよろしくお願いします、ボルテスチームの皆さん」
大次郎「こちらこそ、よろしゅう頼んもんで」

  数日後…

銀河系エリア
美星学園/屋上
アルト「おい、ミハエル! あの左近寺って臨時コーチは鬼か?」「あんな厳しい訓練やらせるなんて…俺達を殺す気かよ!」
ミシェル「俺に言われたって困るぜ。俺だって被害者なんだ」
アルト「ありゃあ訓練じゃない。虐待だぞ!」
健一「まあまあ、そういきり竜なって。俺達も昔は左近寺さんに反発したもんさ」「確かにあの人のやり方は常識はずれだけど、ちゃんとした考えに基づいた特訓なんだ」
日吉「つらいかもしれないけど頑張ろうよ、アルトさん!」
アルト「そりゃあ、前の学校であいつの訓練を受けてたお前達は慣れてるかもしれないが…」
ミシェル「ついて来られないなら演劇科に戻ったらどうだ?」
アルト「なんだと!? お前だってへばってるじゃないか!」
ミシェル「だが、お前みたいに愚痴はこぼしてないつもりだぜ?」「男らしく黙って訓練を…おっと失礼。お前は『姫』だったっけ」
アルト「ミハエル、てめえ! その言い方はやめろ!」
めぐみ「…だけど、アルト君ってほんとにお姫様みたいに綺麗よね」
ルカ「アルト先輩はちょっと前まで女形をやってたんですよ」
一平「女形って、歌舞伎で男が女を演じる奴か?」
ルカ「はい。アルト先輩の実家は歌舞伎の名門なんです」
アルト「ルカ! 転校生に俺のプライバシーをベラベラ喋るんじゃない!」「「だいたい、男が女を演じるのが女形だって認識が間違いなんだ! そんないい加減な知識で…!」
ルカ「なんだかんだ言って、アルト先輩は歌舞伎にはうるさいんです」
アルト「ぐっ…!」
ミシェル「ま、アルトの実家の事なんて全校生徒が知ってるんだし、隠すほどのものでもないだろ?」
アルト「そういう問題じゃない!」
霞 渚「あ、ここにいた!」
ナナセ「みなさん、屋上で訓練中だったんですね」
ルカ「ナ、ナナセさんっ! どうしたんですか?」
ナナセ「みなさんにビッグニュースを伝えに来たんです」
日吉「ビッグニュース? それって何なの、お姉ちゃん!」
霞 渚「聞いて驚かないでよ? さっき先生に話を聞いたんだけど、パイロットコースのみんなに…」「シェリルのコンサートでアクロバット飛行をしてくれってオファーがあったんだって!」
ルカ「シェリルって、まさかあの…」
霞 渚「そう! 銀河の妖精、シェリル・ノームよ!」
ミシェル「ヒュー! 確かにそいつはビッグニュースだね!」
霞 渚「でしょ!?」
ナナセ「だけど、凄いです。シェリルのステージに出られるなんて、それだけみなさんが優秀だって事ですね!」
アルト「くだらねえ。妖精だか何だか知らないが、俺は興味ないね」
ミシェル「興味がないんじゃなくて自信がないんだろ? アクロバット飛行のさ」
アルト「ふざけるな! トリプルループ…いや、5回転を決めてやる!」
ミシェル「5回転って…たかがコンサートの余興だぜ? リスク高すぎだって」
アルト「俺ならできる」
ミシェル「相変わらず自信家だね、アルト姫は。一平と同じく口だけのくせに…」
アルト「おいっ! 今、なんて言った!!」
一平「ミハエル、てめえっ! 今度こそ許さねえ!」
健一「よさないか、一平! それにアルト君もだ!」
ミシェル「健一の言う通りだ。ムキになるなよ、おふたりさん」
健一「待ってくれ。君の言動にも問題があったんだ。そういう物言いはして欲しくないな」
ミシェル「こいつは意外だね。うるさいのは一平君だけだと思ったら、お前さんもか…」
健一「言いたい事があったらはっきり言ったらどうだ?」
〔ドアノブを回す音〕
左近寺「お前達っ!」
ミシェル「!!」
アルト「さ、左近寺コーチ!」
左近寺「貴様ら、ケンカをするほど体力が有り余っているのか?」
ミシェル「あ、いえ。これは友人同士の親しいコミュニケーションでありまして…」
左近寺「言い訳をするエネルギーがあったら、そのエネルギーをすべて肉体と精神の鍛錬に充てるんだ!!」
ナナセ「す、すごい…」
左近寺「パイロットコース以外の生徒はここから立ち去れっ!」
霞 渚「は、はいっ!」
ナナセ「し、失礼しました!」
〔ドアノブを回す音〕
左近寺「これより特訓を開始する! まずは…」

マクロス・クォーター/ブリーフィングルーム
シェリル「マクロス・フロンティアのみんな! もうすぐ会えるから、楽しみにしててね!」
ミーナ「またシェルのCMかあ…。明日だっけ? シェリルがフロンティア船団に来るのって…」
モニカ「そう。フロンティア全体が、待ちきれなくてそわそわしてる感じね」
健一「今日、学校でシェリルの事を知ったんですが、もの凄い人気ですね」
ラム「聞いた話だと、明日のコンサートのチケットは1分で完売したらしいですよ」
大次郎「たった1分! そりゃ凄か…」
日吉「素敵なお姉さんだったよなあ。歌もかっこいいし…。棒もコンサートに行ってみたいな」「めぐみお姉ちゃんもそう思わない?」「
めぐみ「宇宙を股にかける歌手ねぇ…。確かに気になるけど、チケットがないんじゃしょうがないわ」
ボビー「ハーイ。そんな貴方達に朗報があるの。さて、取り出したるは…」
ラム「ボビーさん! それ、明日のコンサートのチケットじゃないですか!」
ボビー「ああん、もう。せっかく焦らしてたのに…」「ってなわけで、チケット3枚、あんた達にあげるわ」
日吉「わーい!」
めぐみ「でも、本当にいいんですか?」
ボビー「いいのよ、もう…」「本当は別の人にあげるはずだったんだけど、間に合ってるみたいだし、遠慮なくもらってちょうだい」
めぐみ「ありがとうございます、ボビーさん」
ギリアム「なんだ…。ボビーがチケットを持ってるって知ってたら、あんな苦労をする必要なかったな…」
一平「どうかしたんですか? ギリアム大尉」
ギリアム「オズマ隊長に頼まれてたんだよ。シェリルのチケットを取ってくれって」
ボビー「いいじゃない。ギリアムが頑張ったおかげで日吉君達が行けるのよ?」
ギリアム「そりゃそうだ。隊長も日吉達も喜ぶんなら、俺の苦労も報われるってもんだ」
一平「それにしても、隊長がアイドル好きだったとは意外だぜ」
〔ドアノブを回す音〕
オズマ「意外で悪かったな」
一平「うわっ! た、隊長!」
オズマ「上官侮辱とまではいかんが、勤務評定がどうなるかは後のお楽しみってところかな」
一平「ちぇっ、これしきで評価が下がるんじゃやってられねえぜ」
オズマ「ハハッ、冗談だ。ボルテスチーム相手に非番の時まで上官ぶるつもりはないさ」
一平「ふう、焦らせないで下さいよ」
ミシェル「まだまだ世渡りが下手と見えるな、峰一平君?」
一平「ちっ、ミハエルの野郎…いちいち絡んできやがって…!」
モニカ「それで、少佐は結局シェリル・ノームのファンなんですか?」
オズマ「終わった話を蒸し返すな。チケットの事なら、ランカに頼まれたんだ」
めぐみ「恋人さんですか?」
ラム「ランカ・リー。オズマ隊長の妹さんです。フロンティアで一番のお嬢様学校、聖マリア学園に通ってるんですよ」
ギリアム「隊長が、ランカちゃんのためにどうしてもチケットが欲しいって言うもんだから…」
人事部の部長を接待して、やっとの事で関係者用のチケットを分けてもらったんだ」
ボビー「もう、オズマったら水くさいわねえ。せっかくアタシも準備してたのにギリアムに頼んじゃうんだから」
オズマ「お前には借りを作りっぱなしだからな。これ以上作りたくない」
ボビー「そんな事気にしなくてもいいのに…」
オズマ「とにかくギリアムのおかげで兄としての面子を保てた。感謝するぞ!」
ギリアム「約束の『銀河ラーメン・ゼントラ盛り』、忘れないで下さいよ?」
オズマ「わかってる! さて、ランカにチケットが取れた事を知らせてやるか!」

娘娘飯店
らんか「ええっ! ほんとに!? ほんとにシェリルのチケット、取れたの!?」
オズマ「フッ…。ランカのためならこの俺に不可能はない!」
ランカ「ありがとう、お兄ちゃん! 愛してる!」
〔モニターの開閉音〕
ランカ「やった! お~っ、デ・カルチャー! もう、最高!!」
霞 渚「どうしたの、ランカちゃん?」
ランカ「聞いてよ、渚ちゃん! シェリルのチケットが取れたの!」
霞 渚「ほとに? 私も可愛も、やっと手に入れたんだよ!」
ランカ「そうなんだ! じゃあ、会場まで一緒に行こうよ。私ひとりじゃ迷子になっちゃうから…」
霞 渚「うん。それじゃ、可愛と一緒に迎えに行くよ」
ランカ「ありがとう! あ~、楽しみだなあ!」
ナナセ「ちょっとふたりとも…。店長がこっちにらんでますよ…」
霞 渚「ごめんなさい…。あんまり嬉しくてはしゃぎすぎちゃった…」「サボちゃった分、頑張らなくちゃね、ランカちゃん」
ランカ「うん! あ~、早く明日にならないかな…」

宇宙港/エアドック
グレイス「ここから人工重力エリアよ。足元に注意して」
シェリル「ふうっ…。体が重~い…」
グレイス「だいぶお疲れのようね?」
シェリル「時差ボケとフォールド酔いで最悪…」
グレイス「取材、キャンセルします?」
シェリル「グレイス、私が誰だか忘れたの? 私はシェリル。シェリル・ノームよ」
〔ハッチの開く音〕
キャシー「お待ちしておりました、ミス・シェリル。キャサリン・グラス中尉です。フロンティア政庁の代表として…」
シェリル「形式的なあいさつは必要ないわ。すぐに記者会見場まで案内してもらえるかしら」「さっさと終わらせて、ライブの準備にかかりたいの」
キャシー「か、かしこまりました。ではこちらへ…」

天空門の公園
ルカ「こんなの酷いですよ。更衣室もない上にプログラムに口まで出してきて…!」
ミシェル「しょうがないさ。危険度の高い派手なプログラムは外せってのがクライアントの要望なんだから…」
ルカ「だからって、アルト先輩のコークスクリューを外すなんて…」
ミシェル「熱くなるなよ、ルカ。とにかく、これはリーダーである俺の決定。反論は受けつけないぜ」
アルト「…………」
ミシェル「むくれてるよ、せっかくの美人が台無しだぜ。文句があるなら次はトップをとれよ。万年2位のアルト姫!」
アルト「ミハエル! お前、また…!」
健一「おいおい。本番前にもめ事か?」
ルカ「あっ、健一さん! どうしたんです、こんな所で?」
健一「日吉とめぐみの付き添いさ。ちょうど予定が空いていたから、チケットを譲ってもらったんだ」
日吉「珍しいよね、健一兄ちゃんがこういう事に興味を持つなんて」
健一「銀河規模での人気を誇るほどの歌手なんだ。見ておいて損はないと思ってね」
めぐみ「まあ。さっきは市民の皆さんと同じ視線に立って世間を見るためだって言ってたのに」
健一「もちろん、それもあるさ。それで? いったい何をもめていたんだ?」
ルカ「コンサートの主催者がアルト先輩のコークスクリューを外せって言って来たんです」
ミシェル「そしたら姫がヘソを曲げちゃってさ」
アルト「ミハエルッ!」
ミシェル「ほら、な?」
アルト「コークスクリューなんてどうだっていいんだ…」「コンサート会場で飛んだって面白くないからな。俺が怒ったのはミハエルが俺の事を…」
健一「アルトのコークスクリューか…。そいつが見られないのはちょっと残念だな」
アルト「え…?」
ルカ「僕も見たかったな。アルト先輩のコークスクリュー」
めぐみ「アルト君は将来、いいパイロットになるんでしょうね」
アルト「パイロットか…。どうせ2000で行き止まりの空だ。飛ぶといってもたかが知れてる」「せめてバルキリーに乗れればな。EX-ギアなんてオモチャじゃなく…」
ルカ「このEX-ギアも一応、軍と同一規格ですけどね」
ミシェル「…………」「健一、もうすぐ開場じゃないのか?」
健一「ああ、そうだな。それじゃみんな、頑張ってくれよ」
日吉「客席から応援してるからね~!」
ミハエル「ルカ、俺達も会場入りするぞ」
ルカ「はい!」
ミシェル「アルト、お前もさっさとEX-ギアを着ろ。遅刻理由が『ヘソ曲げてました』じゃ笑えないぜ」
ルカ「…アルト先輩、先に行ってます!」
アルト「誰が曲げさせたんだ…!」
ランカ「きゃあっ!」
〔人の倒れる音〕
〔画面、振動〕

ランカ「いった~い…。足が滑っちゃった…」
アルト「…何だ、お前?」
ランカ「え? わあ、綺麗…。女の子みたい…」
アルト「誰が女だ!」
ランカ「えっ?」
アルト「あ、いや、なんでもない…。こんな所で何してるんだ?」
ランカ「私、シェリルのコンサートに行きたいんだけど、途中で友達とはぐれて道に迷っちゃって…」「木の上から見下ろせば、わかるかなって…。それで、足を滑らせて…」
アルト「…ったく、ナントカと煙は高い所に上るってか…」
ランカ「えー? ひっどーい!」
アルト「…さて、俺もコンサート会場に用があったんだったな…」
ランカ「えっ? それって…」

天空門の公園
アルト「ここまで来ればわかるだろ?」
ランカ「うわあ! ありがとね、案内してくれて」
アルト「お前が勝手について来ただけだ」
ランカ「そうだ! 今度お礼するね。私、娘娘(にゃんにゃん)でバイトしてるから、来て!」
アルト「娘娘?」
ランカ「CM知らないの? 女の子がこうやって猫みたいに踊るやつ」
アルト「さあ…?」
霞 渚「あ、ランカちゃん!」
ランカ「ああっ、渚ちゃん! 可愛ちゃん!」」
霞 渚「もう、心配したんだからね!」
ランカ「ごめんね。どこにいるか、わかんなくなっちゃって…」
可愛「いいのよ、もう。こうやって見つかったんだし」
霞 渚「ほら、急がないと遅れちゃうよ!」
ランカ「ほんとだ、行かなきゃ! …あっ、助けてくれた人! 必ず来てね。待ってるよ!」
アルト「フッ、変な女…」「…やってみるか!」

コンサート会場
〔パネルの開く音〕
〔ムチの音〕

シェリル「私の歌を聞けぇっ!」
〔歓声〕
〔BGM「射手座☆午後九時Don’t be late」〕

ミシェル「アップワード・エアブルーム! 遅れてるぞ、2番機!」
アルト「そのまま行けよ」
ミシェル「アルト、いい加減にしろっ!」
アルト「客は喜んでるだろ? レインフォール・コークスクリュー、このまま行くぜ!」
ミシェル「アルト!」
アルト「いっけえ!」
〔バーニアの噴射音〕
アルト「びびんなよ、妖精さん!」
〔打撃音〕
〔画面、振動〕

アルト「しまった! 接触!?」
シェリル(えっ? なに?)
ミシェル「まずい! シェリルがステージから落ちた!」
健一「アルト! 何やってるんだ!」
アルト「くっそおおおっ! 今、助ける!」
〔バーニアの噴射音〕
日吉「すごいや、アルトさん…! シェリル・ノームをキャッチしてそのまま飛び続けられるなんて…!」
アルト「「ふうっ…。すまない、すぐステージに戻…」
シェリル「いいからこのまま飛んで!」
アルト「え?」
シェリル「アクシデントだって悟られたら、ショーが台無しでしょ!?」「間奏が終わる前に! 早く飛びなさい!」
アルト「わかった!」
〔バーニアの噴射音〕
ルカ「あっ、アルト先輩! シェリルを抱いたまま飛ぶつもりですよ!」
ミシェエル「…ったく、あのバカ! 全機、2番機をフォロー!」
〔バーニアの噴射音〕
〔歓声〕

ランカ「うわあ…。凄いアクロバット飛行…きれい…!」
霞 渚「シェリルの歌とひとつになってる…」
めぐみ「凄い。こんなステージ見るの、初めて…」
〔歓声〕
アルト(こいつ、アクシデントを利用して盛り上げちまった…)「凄いな、あんた…」
シェリル「当然でしょ。私を誰だと思ってるの?」

大統領府/執務室
ハワード「事実なのかね。アンノウンがゴーストやミサイルウの制御に干渉したというのは…」
〔モニターの開閉音〕
新統合軍士官「は、はい。大統領閣下。すでに第一防御ラインが突破されました」
ハワード「なんとしてもそこで食い止めろ。こちらでも手を打つ。全艦に避難警報を!」
新統合軍士官「了解しました!」
〔モニターの開閉音〕
ハワード「軍では防ぎきれないか…」
三島「おそらく…」
〔モニターの開閉音〕
ハワード「私です、Mr.ビルラー。ついに奴らが来ました…」

マクロス・クォーター/ブリーフィングルーム
〔マクロスの警報〕
ボビー「大統領府よりS.M.Sに出動要請。全小隊スクランブル!」「ミッションコード、ビクター3.くり返す、ビクター3で発令された!」
ギリアム「ビクターって…マジかよ」
ジェフリー「諸君、残念ながらこれは演習ではない。全機スーパーパックを装備。隊長機にはアーマードパックの使用を許可する!」
オズマ「ギリアム、ミシェル達にもコールを!」
ギリアム「わかった!」
オズマ「…ランカ、ついに来たぞ」
〔通信の開く音〕
左近寺「ボルテスチームも直ちに発進だ。S.M.Sと協力して任務遂行にあたれ!」
一平「博士! 健一と日吉とめぐみがいません!」
左近寺「なんだと!?」
大次郎「兄さん達はシェリルのコンサートに行くっち言いよりもした!」
左近寺「あの馬鹿ども…。一平! すぐに呼び戻すんだ!」
一平「了解!」「…ミハエルの鼻をあかしてやる絶好のチャンスだったのに…。くそっ!」
ギリアム「おい、一平。あんまりミシェルと張り合おうとするな」
一平「え…?」
ギリアム「そりゃまあ、目の前で恋人にちょっかいを出されたんだ。腹が立つのもわかるがな…」
一平「勘違いしないでください。俺とめぐみは、そんなんじゃありません」
ギリアム「わかってるよ。そうムキになるな、冗談じゃないか」
一平「なら、なんで…」
ギリアム「お前はミシェルの力を認めているからこそ、あいつの態度が気に入らないんだろ?」「ミシェルはミシェルで、お前に自分にはない何かを見たからお前が気になってるんだろうさ」
一平「…………」
ギリアム「ライバル同士が切磋琢磨して力を伸ばし合うのはいい事だ」「だがな、目の前に敵がいるって時に個人的な感情に振り回されているようじゃ駄目だ」「どんなに嫌いな野郎でも信じ合い、助け合わなきゃどっちも生きて帰って来られないぜ」
一平「ギリアム大尉…」
ギリアム「ケンカの続きをしたけりゃ、ふたりとも無事に戻って来るしかないんだ。わかるな?」
一平「はい!」
ギリアム「いい返事だ。じゃあ俺はひと足先に出てビクターどもを蹴散らしてくる」「グズグズしてるとお前の分の獲物はなくなっちまうからな!」
一平「了解! ミハエルにもそう伝えておきます」
ギリアム「行ってくる!」

コンサート会場
〔BGM「射手座☆午後九時Don’t be late」〕
〔BGM、停止〕

シェリル「えっ、なに?」
〔警報〕
新統合軍兵「マクロスフロンティア行政府よりお知らせします。全艦に避難警報が発令されました」「市民の皆さんは速やかに最寄りのシェルターに避難して下さい。繰り返します…」
シェリル「ちょっと! なんで途中で止めるのよ!」
キャシー「ミス・シェリル! 急いで下さい! 避難命令が出ました!」
シェリル「何言ってんの? まだ…」
キャシー「早く!」
シェリル「ちょっと! ふざけないで!」
ランカ「ええっ? 嘘ぉ!?」
霞 渚「これって本物の避難警報!? ここにいたら危ないよ、ランカちゃん! シェルターに行こう!」
ランカ「う、うん」
可愛「今度ははぐれちゃダメだよ!」
〔通信の開閉音〕
健一「わかった! 今すぐに戻る! 行くぞ、日吉、めぐみ!」
日吉「うん!」
めぐみ「急ぎましょう!」
〔通信機の動作音〕
ミシェル「了解。直ちに戻ります。行くぞ、ルカ」
ルカ「わかりました」
アルト「お、おい。ミハエル、ルカ! …何が起こってやがる!」
【シナリオデモ1終了】

【戦闘マップ2終了】

〔味方ユニット出現〕
〔敵ユニット出現〕
〔バジュラ(小)、VF-171ナイトメアプラスFへ攻撃〕

[イベント戦闘「VF-171ナイトメアプラスFvsバジュラ(小)」]
〔味方ユニット撃破〕
新統合軍兵「こっ、このままでは…!」
〔味方ユニット出現〕
新統合軍兵「味方か!」
オズマ「S.M.Sスカル小隊リーダー、オズマ・リーより新統合軍機へ! この宙域は我々が引き継ぐ!」
新統合軍兵「りょ、了解!」
〔味方ユニット離脱〕
オズマ「ふん。腰抜けどもに戦える相手じゃない」
ギリアム「コード・ビクター。隊長が言っていた、例の…」
イズマ「そう、バジュラだ! 行くぞ!」
〔バジュラ(小)、オズマへ隣接〕
〔バジュラ(小)、オズマへ攻撃〕

[イベント戦闘「オズマvsバジュラ(小)」]
オズマ「は、速い!」
〔バジュラ(小)、アイランド1へ移動〕
〔敵ユニット離脱〕

オズマ「ちいっ! ギリアム! 奴を逃がすな」
ギリアム「言われなくたって!」
〔ギリアム、アイランド1へ移動〕
〔味方ユニット離脱〕

【戦闘マップ2終了】

【シナリオデモ2終了】

銀河系エリア
マクロス・クォーター/ブリッジ
モニカ「パープル、バーミリオン小隊壊滅! 最終防衛ライン突破されました! アイランド1に取り付かれます!」
ミーナ「アイランド1のシールドが破られました! ビクターが内部に侵入します!」
ジェフリー「こうも簡単に侵入されるとはな…。スカル小隊はどうした?」
ラム「ビクターを追ってアイランド1に向かっています!」
〔通信の開閉音〕
ミシェル「スカル2、スカル3出撃準備完了!」
健一「ボルテスチームも出撃準備できました!」
左近寺「遅いぞ、健一! 呑気に遊んどるからこうなるんだ!」
健一「小言は後でゆっくり聞きます! ボルテスV、発進!」
ミシェル「スカル2、スカル3、発進します!」
ジェフリー「ビクターがアイランド1に侵入した。スカルリーダーと合流して撃退するんだ。いいな!」
ミシェル「了解!」
一平「ミハエル。ギリアム大尉が俺達を待ってるぜ…!」
ミシェル「ん?」
一平「行くぞ!」
【シナリオデモ2終了】


サブタイトル
「プロローグ第1話
 アナザー・エンカウンター」


【戦闘マップ3開始】
〔敵ユニット出現〕
霞 渚「ランカちゃん、どこ行ったのー!? ランカちゃん、ランカちゃーん!」「どうしよう、可愛。ランカちゃん、見つからないよ…!」
可愛「仕方ないよ、渚。この人波じゃとても手を繋いでなんていられないわよ」
バジュラ「シャアアアアアッ!!」
可愛「きゃああっ!」
霞 渚「な、何なの、あの化け物! 大きな…虫?」
可愛「渚…早くシェルターに行こうよ。ここにいたら死んじゃうよ!」
霞 渚「でも、ランカちゃんが…」
バジュラ「シャアアアアアッ!!」
〔バジュラ(小)、前方へ攻撃〕
〔マップ上に爆発〕
〔画面、振動〕

霞 渚「きゃあっ!」
可愛「ランカちゃん、きっとシェルターに逃げてるよ。私達も行こう!」
霞 渚「う、うん…」
キャシー「ミス・シェリル、早く車に…。ここにいては危険です」
シェリル(武装した兵士がこんなにいるなんて…。事態はかなり深刻のようね)
アルト「い! 何なんだよ、これは!」
シェリル「あいつ、さっきのアマチュア…?」
キャシー「何ですか、あなたは!」
アルト「まだ残っているのがいるだろ! あんたらだけとっとと逃げる気か!」
キャシー(この子、ミス・シェリルの命は誰よりも優先して守らなくてはならない事がわからないの?)
シェリル「ここからはプロの仕事よ。アマチュアは下がりなさい」
アルト「七と? みんなはあんたを見たくて、ここに来たんだ! 自分だけ逃げるのか? それでもプロかよ!」
シェリル「…馬鹿な子」
キャシー「相手をしている時間はないわ。車を出して!」
〔自動車の走行音〕
アルト「おい! 待てよ!」「くそっ!」
バジュラ「キシャアアアアッ!」
アルト「あの怪物、好き放題暴れやがって!」「…それにしても、あいつは兵器なのか?」
〔バジュラ(小)、前方へ攻撃〕
〔マップ上に爆発〕
〔画面、振動〕

アルト「うわあっ!」
ランカ「きゃあーーーっ!」
アルト「ああっ、あいつは…!」
ランカ「渚ちゃん…可愛ちゃん…助けて…」
アルト「このままじゃ、化け物に踏み潰されちまうぞ!」
〔味方ユニット出現〕
ギリアム「この野郎…街をこんなにしやがって!」
アルトVF-25?! もう実戦配備に…?」
ギリアム「むっ! あれはEX-ギア? 軍用じゃないって事は…学生か!」「おい、そこの坊主!」
アルト「えっ!?」
ギリアム「そうだ、お前だ! とっととそこから逃げろ! 仕事の邪魔だ!」
アルト「駄目だ! 逃げ遅れた女の子がいるんだよ!」
ギリアム「何だと!?」
ランカ「た、助けて…」
ギリアム「あれは…ランカちゃん!? ちいっ!」
〔ギリアム、ランカのいる地点へ接近〕
〔ギリアム、変形〕

ギリアム「これ以上は進ませない! 隊長が来るまで俺が…守る!」
バジュラ「キシャアアアッ!」
〔バジュラ(小)、ギリアムへ攻撃〕
〔ギリアムにダメージ〕

ギリアム「ぐわあっ!」
アルト「おい! 大丈夫なのかよ!」
ギリアム「に、逃げろと言ったはずだ。ここからは…プロの仕事だ!」
アルト「で、でも…」
ギリアム「お、俺達の仕事はな…この艦と…その艦の暮らす人達を…守る事なんだ。それに、その子…隊長の…!」
アルト「あ、あんた…」
ギリアム「やられてたまるか…こんな化け物にッ!」
〔バジュラ(小)、ギリアムへ攻撃〕
〔ギリアムに爆発〕

アルト「ああっ! コクピットに!?」
ギリアム「ぐあっ…うぐぐ…」
アルト「や、やめろ…やめろおおおおっ!!」
〔ギリアムに爆発〕
ギリアム「ぐわあああっ!!」
ランカ「いやああああっ!」
アルト「!!」
〔バジュラ、ギリアムへ接近〕
ランカ「あ、あああ…」
アルト「こ、このままじゃあいつが…!」「はっ!」
〔カーソル、ギリアムを指定〕
アルト(このEX-ギアは軍容と同じ規格なんだ。もしかしたら、こいつでもVF-25を動かせるかもしれない…)(だが、本当にいけるのか…?)
ランカ「い、いや…来ないで…」
アルト「迷ってる場合かっ!」
〔VF-25FメサイアGのパイロット、ギリアム→アルトへ変更〕
アルト「EX-ギアコンタクト…システム起動!」
〔コンピュータの動作音〕
アルト「…いける!」
〔バジュラ(小)、活性化〕
バジュラ「グオオオオッ!」
ランカ「いやあああっ!」
アルト「うおおおおおっ!」
〔アルト、バジュラ(小)へ隣接〕
〔アルト、バジュラ(小)へ攻撃〕

[イベント戦闘「アルトvsバジュラ(小)」]
〔バジュラ(小)、後退〕
〔味方ユニット出現〕
〔オズマ、変形〕

オズマ「ギリアム! いや、ギリアムじゃない! …誰だ?」
ランカ「い、嫌…!」
オズマ「ランカ!? なんでこんなとこに?」
アルト「この…化け物めえっ!」
〔アルト、バジュラ(小)へ攻撃〕
[イベント戦闘「アルトvsバジュラ(小)」]
アルト「くそっ、やべえ!!」
バジュラ「ぐおおおおっ!」
ランカ「や、やめ…て」
〔オズマ、バジュラ(小)へ隣接〕
〔オズマ、バジュ(小)ラへ攻撃〕

[イベント戦闘「オズマvsバジュラ(小)」]
アルト「ア、アーマード…!」
オズマ「誰だ、貴様! ギリアムはどうした!」
アルト「お、俺は…」「それより何なんだよ、この化け物は!」
〔味方ユニット出現〕
〔ミシェル、変形〕
〔ルカ、変形〕

ミシェル「隊長! ギリアム大尉!」
オズマ「ミシェルか。そいつはギリアムじゃない。素人だ!」
ミシェル「え…!?」
一平「ギリアム大尉は? ギリアム大尉はどうしたんです!」
オズマ「わからん。とにかく今はバジュラを倒すのが先決だ!」
一平「ギリアム大尉…まさか…?」
健一「どうした、一平! 何を考え込んでる」
一平「い、いや。すまねえ、健一。何でもないんだ」
めぐみ「一平…?」
オズマ「そこの素人! 化け物退治は俺達に任せて、その娘を連れて逃げろ!」
アルト「は、はい!」
ミシェル「娘…? …ランカちゃん!」
アルト「おい、そこの!」
ランカ「えっ!?」
アルト「バルキリーの手につかまれ! 早く!」
ランカ「あ、ああ…」
アルト「ここから離脱する。じっとしてろ」
ランカ「う、うん!」
オズマ「かすり傷でもつけてみろ。反応弾で蒸発させてやる!」
〔レーダー反応〕
ルカ「隊長! 敵の増援が接近してきます!」
〔敵ユニット出現〕
大次郎「仲間を呼んだでごわすか!」
オズマ「これ以上、被害を拡大させるわけにはいかん。さっさと片づけるぞ!}
ミシェル「了解!」
オズマ「そこの素人! 何をグズグズしてる! さっさと行かんか!」
アルト「わかった!」
〔アルト、後退〕
〔敵ユニット出現〕

アルト「まだ出てくるのかよ!」
〔バジュラ(小)、アルトへ攻撃〕
[イベント戦闘「アルトvsバジュラ(小)」]
ミシェル「あいつ、本当に素人か? …にしちゃあ、いい腕だけど」
健一「あが、動きが危なっかしいのに変わりはない。急いで奴らを倒して、あのバルキリーの救援に向かうぞ!」
〔バジュラ(小)、アルトへ攻撃〕
〔アルトにダメージ〕

アルト「しまった! 腕に…!? あの子が吹き飛ばされた!?」
ランカ「キャアアアッ!」
アルト「助けられるのか…!? いや、助けてみせる!」「うおおおおっ!!」
〔アルト、ランカのいる地点へ移動〕
アルト「つかまれぇぇぇっ!!」
ランカ「あ…!」
アルト「よしっ!」「大丈夫か? しっかりしろ!」
ランカ「はぁはぁ…。こ、怖かった…怖かったよ…」
アルト「大丈夫だ。もう大丈夫だから!」
ランカ「お兄ちゃん…お兄ちゃん…お兄ちゃんっ!」
アルト「気を確かに持て! 俺がわかるか!?」
ランカ「…! なんで、私…」
アルト「歩けるか? 地上に降りるぞ」
ランカ「う、うん…」
アルト「ふうっ。これで大丈夫…」
〔敵ユニット出現〕
アルト「何っ!? しまっ…」
〔センサーの動作音〕
〔ミシェル、バジュラ(小)へ攻撃〕
〔敵ユニット撃破〕

アルト「あ、ああ…」
ミシェル「ふうっ。…ったく、詰めの甘い奴め」
アルト(あ、あんな距離からのピンポイント攻撃だって…!?)(なんで腕してやがんだ。あの青いバルキリーのパイロット…)
一平「腕前、見せてもらったぜ、ミハエル」
ミシェル「口だけじゃないって所を見せておかないと、と思ってね」
アルト(今の通信…ミハエルだと…? まさか…)
〔アルト、後退〕
アルト「ここにいろ。戦いが終わったら迎えに来る」
ランカ「た、戦いに行くの?」
アルト「ああ。戦う理由があるからな」「行ってくる!」
〔アルト、前進〕
ミシェル「隊長。ランカちゃんは無事に避難しました!」
オズマ「よし。これでエリア内の民間人は全員シェルターに入ったな」「…虫ケラどもめ、よくもランカを…! 許さんぞ!」
アルト(この艦を守る…。それが、命をかけて戦ったあのパイロットへの手向けだ…!)
<戦闘開始>

<健一が戦闘>

健一「ボアザン星での決戦以来、久しぶりの戦いだ。気を抜くんじゃないぞ!」
日吉「わかってるって、健一兄ちゃん!」
めぐみ「左近寺博士の特訓のおかげでいつでも臨戦態勢よ!」
大次郎「ボルテスの力、怪物どもに見せてやっど!」
一平「…ギリアム大尉と約束したんだ。無事に帰るってな! だから、負けるわけにはいかねえんだ!」
健一「よし、みんな行くぞ!」

<アルトvsバジュラ(小)>
アルト「化け物め! ここから…この艦から出て行けっ!」
オズマ「貴様、何をしている! 素人はおとなしく引っ込んでろ!」
アルト「俺はあのパイロットのために戦うんだ! 命がけでこの艦を守ろうとしたあの男のために!」
オズマ「…………」「いいだろう。ギリアムに免じて許してやる!」「その代わり、そいつを絶対に落とすんじゃねえぞ!」
アルト「ああ、わかった!」

<オズマvsバジュラ(小)>
オズマ「俺はもう、二度とランカにつらい思いをさせないと誓ったんだ! 一匹残らず根絶やしにしてやる!」

<ミシェルvsバジュラ(小)>
ミハイル「装甲はバルキリー並、すばしっこさまでバルキリー並…。あれがバジュラかよ…!」

<ルカvsバジュラ(小)>
ルカ「おそらくは生物でありながらゴーストに電磁妨害をかけてくるバジュラ…」「シモン、ヨハネ、ペテロにキャラクタライズAIを搭載する事も視野に入れた方がいいのか…?」

<敵全滅・勝利条件達成>
めぐみ「全反応消失。これで全部みたいね」
健一「気を抜くな、めぐみ。奴らが生体兵器だとしたら、もしもの事だって有り得る」
オズマ「健一の言う通りだ。スカル2、スカル3! 念のためにアイランド1周囲の警戒に当たれ」「バジュラの生き残りが息を潜めているかもしれん」
ミシェル「了解。行くぞ、ルカ!」
ルカ「はいっ!」
〔味方ユニット離脱〕
アルト(ルカだって? あいつも一緒なのか…)
オズマ「おい、素人! 娘はどうした!」
アルト「おっと、そうだった!」
〔アルト、ランカのいる地点へ移動〕
アルト「待たせたな。もう落ち着いたか?」
ランカ「うん。もう大丈夫!」
アルト「思ったより平気そうだな」
ランカ「えへへ…。私、一応、ゼントランとのクォーターだからね」
アルト「ああ…。見かけによらず、タフなわけだ」
ランカ「それにしても、今日は助けてもらってばっかりだね。ほんとに…ほんとにありがとう!」
アルト「あ、ああ…」
オズマ「おい、素人! グダグダ喋ってないでその子を病院に連れて行くんだ。機体はそこに置いて行けよ」
アルト「どうして俺がそこまで面倒を見なきゃならないんだよ! 心配なら自分で連れてきゃいいだろ!」
オズマ「馬鹿野郎! それができないから貴様に言ってるんじゃないか!」
ランカ(この怒鳴り声、お兄ちゃんに似てるな…。でも、お兄ちゃんは事務の仕事をしてるから違う人だよね)
〔センサー反応〕
日吉「あれ? この反応って…」
健一「どうした、日吉?」
日吉「おかしいんだよ、お兄ちゃん。弱くて場所は特定できないけど、敵の反応があるんだ」「そうだ、オズカ隊長! オズマ隊長のバルキリーでは拾えませんか?」
ランカ「えっ!?」
オズマ「ば、馬鹿っ! 名前で呼ぶなっ!」
ランカ「ちょっと! まさか…お兄ちゃんなの?」
オズマ「ち、違う! 人違いだ、ランカ! …あ!」
ランカ「やっぱりお兄ちゃんじゃない!」「どうしてパイロットなんかやってるの? 事務の仕事をしてるんじゃなかったの?」「もう絶対、危ない事はしないって言ってたのに!」
オズマ「…………」
〔敵ユニット出現〕
バジュラ「グオオオオッ!」
一平「あのバジュラ、復活しやがった!」
日吉「さっきの反応はこれだったんだ!」
オズマ「しぶとい虫ケラめ!」
バジュラ「グオオオオッ!」
〔バジュラ(小)、アルトへ隣接〕
〔アルトにダメージ〕

ランカ「いやあああっ!」
オズマ「ランカァァァァァッ!!」
〔オズマ、バジュラ(小)へ隣接〕
〔オズマ&バジュラ(小)に爆発〕

健一「オズマ隊長?! くそっ、化け物め!」
〔健一、バジュラ(小)へ隣接〕
〔バジュラ(小)にダメージ〕
〔敵ユニット撃破〕

めぐみ「オズマ隊長っ!」
オズマ「ぶ、無事か…ランカ…」
ランカ「お兄ちゃん! 死んじゃ駄目! 駄目だよ、お兄ちゃん!」「どうして? どうしてそんな事するの? 私、あの事…ちゃんと内緒にしてるよ。だから…!」「いやああああああっ!!!」
アルト「おい、しっかりしろ! おいっ!」
健一「ボルテスVよりデルタ1へ! スカル1が意識不明! 回収を頼む!」
オズマ「………」
【戦闘マップ3終了】

【シナリオエンドデモ開始】

銀河系エリア
マクロス・クォーター/格納庫
健一「まさかあのVF-25に乗っていたのがアルトだったとはな…」
アルト「こっちも驚いたぜ。お前達5人があんな巨大ロボットのパイロットだったなんて夢にも思ってなかった」」「それにミハエルとルカもな。1年以上同じクラスにいたのに、俺だけ何も知らなかった…」
めぐみ「しかたないわよ。守秘義務があるんだもの」
健一「ミハエル達もつらかったと思うぞ。君に黙っていなければならなかったのは…」
アルト「どうだかな…」
一平「そんな事より、アルト。ギリアム大尉はどうしたんだ!」
アルト「ギリアムって…誰だよ?」
一平「お前のバルキリーに乗っていたパイロットだよ!」
アルト「!! あ、あの人は…」
〔ドアノブを回す音〕
オズマ「待て。ギリアムの話はみんなを集めてからだ」
日吉「オズマ隊長! 病院じゃなかったの?」
オズマ「この程度の怪我で入院していられるか! カナリアも許可してくれたしな」
カナリナ「無理はするな。傷が開く」
めぐみ「ランカさんの様子はどうです?」
オズマ「すっかり落ち着きを取り戻したそうだ。だから、家に帰した。…俺には会ってくれなかったがな」
日吉「ごめんなさい、隊長。僕がうっかりしてたせいで…」
オズマ「気にするな。事情を説明していなかった俺が悪いんだ」「それに、あの状況なら当然の判断だろう。日吉は悪くないさ」
アルト「何なんだ、あいつ。どうしてあそこまで取り乱したんだ?」
オズマ「ランカは親しい人間の死や怪我に対して異常なまでに反応するんだ」
カナリア「ディソシエイティブ・アムネジア…解離性健忘」「外傷後、ストレス障害等をきっかけに特定の体験の追想が不可能になる」「だが、その大剣を想起させうる要因によって強い不快感や恐怖感を引き起こす」
オズマ「つまりは一種の記憶障害さ…」
アルト「特定の体験って…?」
オズマ「ランカは昔、肉親をすべて失っているんだ。親兄弟すべてを…」
めぐみ「えっ? 隊長の妹さんじゃ…」
オズマ「俺はランカの本当の兄じゃない。11年前、あの子の家族を守れなかった無能なパイロットさ」「ランカはその事を忘れている。あの忌まわしき事件を…」
アルト「だったら、なんでパイロットなんかやってんだ? そのせいであの子は…!」
オズマ「守るためだ」
アルト「守る? だからって、何もかも隠して…それが守るって事なのかよ!」
オズマ「ならどうしろってんだ!」「お前の家族はバジュラに引き裂かれて死んだと…そのせいでお前は心に傷を負ったと…そう言えってのか?」
アルト「俺ならすべてを知っていたい。他人に自分の運命を任せるのはまっぴらだ!」「教えろよ。あいつらは…バジュラってのはいったい何なんだ!」
オズマ「…聞いたらもう戻れないぞ」
アルト「構わない」
オズマ「24時間の猶予をやる。もう一度よく考えろ」「自分が何をしたいのか、何のために、何をかけて戦うのかをな…!」
アルト「24時間なんて必要ない! 今すぐ俺をバルキリーに乗せろ!」
オズマ「このっ!」
〔殴打音〕
〔画面、振動〕

アルト「ぐあっ!」
オズマ「ノリでほざいてんじゃねえ、ガキが!」「貴様は今、頭に血が上ってる。頭を冷やして、もう一度よく考えてから出直してこい!」
アルト「…ぐっ…」
オズマ「だが、その前にギリアムの事を話して行け。カナリア、みんなを集めてくれ」
カナリア「わかった」
ズマ「お前は奴がどんなふうに戦って死んだかを見ていた…」「看取った奴は残された者に死に様を語って聞かせる。それがここの流儀だ」
一平「アルト…聞かせてくれ!」
アルト「…………」
ボビー「ギリアムの見届け人ですって?」
ミーナ「あら、ずいぶん可愛い坊やね」
ラム「不謹慎ですよ、先輩」
ルカ「カナリアさん。何です、この騒ぎ?」
カナリア「あいつ、ギリアムの見届け人」
ミシェル「大尉の見届け人? …って、アルト!」
ルカ「ええっ!?」
アルト「ミハエル…ルカ…!」

マクロス・クォーター/エレベーター
ルカ「すみません、アルト先輩…今まで黙ってて。S.M.Sに所属している事は保安のために秘密にって…」
アルト「…………」
ルカ「でも、先輩が入隊すれば、学校だけじゃなく、部隊でも一緒に飛べるんですね」
アルト「そうなれば、今度はお前が先輩か…」
ルカ「やめて下さいよ、そんな…」
ミシェル「ああ、やめておけ」
アルト「!!」
ミシェル「アルト、お前はまた逃げてくるのか?」
アルト「逃げる? 誰がだよ!」
ミシェル「見損なうなよ。これまで丸一年以上、お前と飛んでるんだ…」「今のままじゃ、いずれ自分が死ぬか、誰かを殺す」「俺は巻き添えになるつもりはないぜ。一応友人として忠告しておく」
ルカ「ミシェル先輩…」

アイランド1/グリフィスバーグの丘
ミシェル「アルト。お前はまた逃げて来るのか? 親父さんや家から…!」
アルト「違う。俺は…違う!」」
〔BGM「アイモ」〕
ランカ「アーイモ、アーイモ…♪」
アルト「…歌?」「あれは…ランカ!」

アルト「お前…」
ランカ「あっ! パイロットさん。今日はいろいろありがとう。…そういえば、名前聞いてなかったね」
アルト「アルト…早乙女アルトだ」
ランカ「アルト君っていうんだ。私はランカ。ランカ・リー。よろしくね」
アルト「もう大丈夫なのか?」
ランカ「…うん。凄くビックリしたけど、お兄ちゃんの怪我も軽かったみたいだし…」
アルト「そっか…。…今の、いい歌だったな」
ランカ「私ね、子供の頃の事、何にも覚えてないんだ…」」「けど、この歌だけ覚えてるの。私のたったひとつの思い出なんだ」
アルト「そっか…」
ランカ「それでね、時々この丘に歌いに来るの。ここなら誰も聞いてないから…」
アルト「聞いてない? それでいいのか?」
ランカ「え…?」「今まではそう思ってたんだけど…私、怪物に襲われた時、すごく怖かった」「このまま誰にも知られないで、何もできないで死んじゃうんだって…」「そしたらね、私はここにいるよってできるだけたくさんの人に伝えられたらなって…思って…」
アルト「無理だな」
ランカ「…………。…そうだよね、私なんか…」
アルト「そうやってできたらとか、自分なんかって言ってるうちは絶対に…」
ランカ「あーっ! 意地悪だね、アルト君」
アルト「よく言われるよ」
ランカ「私、みーんなに伝えたいの。大好きなシェリルさんみたいに!」「…だから聞いてくれる? 私の歌!」
アルト「フッ…好きにしろよ」
ランカ「ありがとう、アルト君」「アーイモ、アーイモ…♪」
シェリル「へえ~、なかなか上手じゃない」
ランカ「えええっ!? 嘘! シェリル…!」
アルト「ああっ、お前は…!」
シェリル「黙りなさい。『お前』呼ばわりした事は特別に見逃してあげる」
アルト「なんだと、この…」
シェリル「ほんとはあんたに用があるんだけど…今はちょっと引っ込んでなさい、早乙女アルト」
アルト「ど、どうして俺の名前を…!」
シェリル「引っ込んでなさいって言ったでしょ?」
アルト「ちっ、勝手にしろ!」
シェリル「ねえ、あなた。さっき私の事、大好きって言ってたわよね。私のどこが好きなの?」
ランカ「そ、そんな。本人に言うなんて…恥ずかしい…」
シェリル「モジモジしない! ハッキリ聞かせて」
ランカ「は、はい!」「シェリルさんって、素敵じゃないですか。歌も凄いし、踊りも…。でもなんて言うか…そう、オーラです!」「自信と才能にあふれてて、それが見えるみたいで!」
シェリル「もっとないの?」
ランカ「あと、インタビューとかで時々言い過ぎちゃうとことか!」
シェリル「フフ…」
ランカ「私、憧れます。一度でいいからシェリルさんみたいになれたらなって…」「私なんかじゃとても無理だってわかってるんですけど…でも、頑張る事にしたんです」
シェリル「いいんじゃない? 努力しなければ、性かは望めないしね。そrねい…あなた、結構いい線いってるわよ」
ランカ「ありがとうございます。お世辞でもすっごくうれしいです」
シェリル「あなた、名前は?」
ランカ「ランカ・リーです」
シェリル「ねえ、ランカちゃん。あなた歌うのは好き?」
ランカ「は、はい!」
シェリル「なら、行動を起こしなさい。チャンスは目の前にあるものよ」
ランカ「チャンスは…目の前に…!」
シェリル「こんなサービス、滅多にしないんだから」
アルト「おい、そっちの話は済んだのか?」
シェリル「終わったわ。それじゃ本題にうつりましょうか、早乙女アルト」
アルト「な、なんだよ…」
シェリル「私のイヤリングを返しなさい」
アルト「は…? そんなもん、知るか!」
シェリル「とぼけないで。あんたが持ってるのはわかってるのよ!」
アルト「ふざけるな! どうして俺がそんな物を…」
霞 渚「ランカちゃ~ん!」
ランカ「あっ、渚ちゃん!」
霞 渚「心配したんだよ。あれから…あれ?」「あーっ! シェリル! なんで!? なんでシェリル・ノームがこんな所に!?」
ランカ「な、渚ちゃん! そんな大声出しちゃ駄目だよ!」
シェリル「まずいわね…。このままじゃファンが集まってパニックになるわ…!」
霞 渚「あわわわわ…シェリル…シェリルが私の目の前に…」
〔人の倒れる音〕
ランカ「ど、どうしよう? どんどん人が集まってきたみたいだよ…」
シェリル「アルト、走るわよ。一緒に来なさい!」
アルト「どうして俺が…!」
シェリル「早く! 私のファンに踏み潰されるわよ!」
アルト「あー、もう! なんでこんな事になるんだ!」
シェリル「ランカちゃん、頑張ってね!」
ランカ「は、はい…!」(アルト君…)
霞 渚「…はっ、シェリルさんは?」
ランカ「ゆ、夢でも見たんじゃないかな。ほ、ほら、渚ちゃん…最近、妙に現実味のある夢を見るって…」
霞 渚「でも、街中で意識を失うなんて初めてだよ…」「そんな事より、ランカちゃん! 私も可愛もずっと心配してたのよ? 無事なら無事って連絡してくれなきゃ!」
ランカ「ごめんね。色々あって、ずっと病院に居て…」
霞 渚「だったら、こんな所で道草食ってないで早く帰らなきゃ! 家でゆっくり休まないとダメよ」
ランカ「そ、そうだよね。帰らなきゃだよね」(お兄ちゃん、もう帰ってきてるのかな…)
霞 渚「私が家まで送ってあげるから。さあ、帰ろ!」
ランカ「うん…」

アイランド1/市街地
アルト「ここまで来りゃ大丈夫だろ…」
シェリル「ねえ、さっきの子、放っておいてよかったの?」
アルト「お前が無理矢理引っ張ってきたくせに、何言ってんだ」「それに、あいつとはたまたま知り合っただけだ!」
シェリル「彼女ってわけじゃないんだ」
アルト「彼じょ…っ!? 違う! 断じて違う!」
シェリル「ふうん」
アルト「それよりいいのかよ? こんな街中をウロウロして…。有名人なんだろ、一応」
シェル「あら、私と一緒じゃ嫌?」
アルト「ああ、迷惑だ」
シェリル「私、来週にはギャラクシーに戻らなきゃいけないから、チャンスは今日だけ…」「絶対に見つけたいの。大事な物なのよ、あのイヤリング」
アルト「わかったよ。ちょっと電話してみるから、待ってろ」
〔電話のベル〕
〔スイッチを切る音〕

アルト「駄目だ。担当が非番らしい」
シェリル「何よ! 任せろって言うから…。貸しなさい。その遺失物だか遺品だかの担当に私が話す!」「やめろって。明日、改めて俺が聞いてやる」
シェリル「…本当に見つかるんでしょうね?」
アルト「俺を信じろ。…そういや、なんでわかったんだ? イヤリングの事」
シェリル「私のマネージャーの視覚に記録されてたの」
アルト「視覚?」
シェリル「インプラントよ」
アルト「アレか、脳ミソに機械を突っ込んだりしてる…。でも、違法だろ?」
シェリル「あら、ギャラクシーでは普通よ」
アルト「そういや、ギャラクシーは整形とかサイボーグも普通なんだったな。…じゃあ、お前も?」
シェリル「私は違うわ。全部生まれたままよ。それもウリのひとつだもの」「それじゃ、頼んだわよ!」
アルト「ああ、ちゃんと届けてやるよ」

アイランド1/オズマの家
ランカ「ああ、ビックリした。まさかシェリルさんが目の前に現れるなんて…。今日はいろんな事がありすぎだよ…」
シェリル「なら、行動を起こしなさい。チャンスは目の前にあるものよ」
アルト「できたらとか、自分なんかって言ってるうちは、絶対に無理だ」
ランカ「…よ~し!」

アイランド1/斎場
ジェフリー「彼は勇敢な兵士だった。恐れず、怯まず、その命を賭して譲れぬ者のために戦い、力尽きた…」「だが、これは終わりではない。彼の肉体はやがて我が肉となり、血となり、大気となって我らの命を燃やすだろう」「だから今は眠れ、我が友よ。さらばだ。また会おう!」
オズマ「敬礼!」
ルカ「ギリアム大尉…」
一平「大尉…。クソッ!」
ミシェル「一平、ちょっといいか?」
一平「ミハエル…」
ミシェル「正直に言う。俺はお前がちょっと羨ましかった」
一平「何だと…?」
ミシェル「お前は過去に大切な誰かを亡くしてる。だが、それを乗り越えてみせた。…そういう目をしている」「ところが、俺ときたらどうだ? 過去の影も振り切れずにガラにもなくイライラしちまって、このザマさ」「一方的にあたっちまってすまなかった」
一平「もういいぜ、そんな事は。俺だって悪かったんだ。だが、お前にもそんな過去があったとはな…」
ミシェル「S.M.Sに所属してる奴は大なり小なりワケありさ。俺も多分に漏れず、ってね」
一平「よかったのか? オレにそんな事を話しちまって」
ミシェル「俺の過去についてはいずれ知る事になるだろうから、別に構やしないさ。知ってる人も多いしね」「…だが、アルトにだけは言わないでほしい」
一平「わかった。拳一達にも口止めをしとくぜ」
ミシェル「恩に着るぜ、一平」
一平「気にするなよ、ミハエル。それより、これからもよろしく頼むぜ」
ミシェル「ああ。お前とはずっとケンカをしていたいからな」
一平(ギリアム大尉…俺達二人…いや、全員何としても生き残ってみせます…!)

アイランド1/斎場の外
アルト「…………」
オズマ「民間軍事プロバイダーである俺達の死は戦死じゃない。事故死扱いだ」「船団を挙げての葬儀もなく、身内にすら詳細な事実が伝えられる事はない」
アルト「おあつらえ向きさ。俺は俺ひとりの力で生きる。死ぬ時もひといあ。それでいい…」「俺をS.M.Sに入れてくれ!」
オズマ「まだ24時間経っていないぞ」
アルト「もう充分考えた。俺の気持ちは変わらない!」
オズマ「貴様、まだそんな事を! このっ!」
〔空を舞う音〕
アルト「…………」
オズマ「なぜ避けようとしなかった?」
アルト「あんたは俺を殴らない。そう思ったからだ」
オズマ「何だと?」
アルト「俺は覚悟を決めてここに来た。あんたはその覚悟を見極められないような男じゃない。そうだろ?」
オズマ「フッ…。明朝08:00までに宿舎に入れ」
アルト「イエッサー!」
オスマ「それは明日からだ。それと、明日から俺をあんたと呼んだらブン殴る!」
ルカ「せ~んぱい!」
ミシェル「…ったく、馬鹿野郎が。あれほどやめろって言ったのに…」「歓迎するぜ、アルト!」
アルト「ルカ、ミハエル…」
日吉「これからよろしくね、アルトさん」
健一「君と一緒に戦える事を嬉しく思うよ、アルト」
アルト「ああ、俺もだ」(そうだ、俺は戦う…! ランカや、フロンティア船団をあいつらから守るために!)

ミスマクロスコンテスト会場
ランカ「エントリーナンバー7、ランカ・リーです! よろしくお願いします!」
〔打撃音〕
〔ハウリング音〕
〔画面、振動〕

ランカ「いったぁ~い」
ナナセ(マイクに頭ぶつけちゃうなんて…ランカさん、大丈夫かしら?)
ランカ「わ、私が歌が大好きなので、歌いたいと思います!」「曲は…『私の彼はパイロット』です!」
ナナセ(ランカさん…頑張って!)
【シナリオエンドデモ終了】


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