TOP PAGEへ

シーン8 異界への逆襲
No.52
Bye-bye Jupiter

<ファースト TOKYO JUPITER近海>
TOKYO JUPITERの絶対障壁を消滅させるため、
TERRAはダウンフォール作戦を発動させる。はたして、
パンドラの箱の中に希望は残されているのか…?

【シナリオデモ1開始】
カルン・ムティアラ島

ヘレナ「…RMUシステムとT・Jバスターの準備は整いました。後は作戦の発動を待つだけです」
バーベム「そうか…。紛い物の星とは言え、真実の姿を露わにするだけの力は持っていよう」
ヘレナ「結局、未だに星の行方はわかりません」
バーベム「構わんよ。いずれ時が来れば、我々の前に巫女共々現れよう…」「その時までのつなぎも用意してある」
ヘレナ「…あの悪魔は必ずこちらの思惑から外れると思いますが?」
バーベム「あれは必要悪だよ。無粋な聴衆を排除するためのね」
ヘレナ「では、真は?」
バーベム「あれのやることなど、些細な火遊びに過ぎん。紛い物は本物にはかなわんよ」「それに…今は彼女の時間だ」
久遠「………」
バーベム「…見せておくれ、オリン。お前の刻印を…」
久遠「………」「…エルンスト、私…彼女に会ったわ」
バーベム「そうか。あれは元気にしていたかね?」
久遠「大きくなっていた。私を通り越して…奏者の資格も通り越して…」
バーベム「あれはお前の兄と同じく、オリンとなれなかった者だ…」
久遠「………」
バーベム「お前は17歳になるのだね?」
久遠「もうなったの」
バーベム「では、お前には資格がある」
久遠「…あなたは私に何を望むのでしょう…」
バーベム「奏でておくれ…美しい音楽を」
久遠「私の意思で…? ナーカルの兄弟よ」
バーベム「お前の意思で…。美しいオリンよ」
ヘレナ「………」

アオイ・ジュン「マグネイト・テンをダウンフォール作戦に参加させる…?」
一色「そうだ」
アオイ・ジュン「少し一方的ではありませんか、一色司令? 我々もバグラチオン作戦の準備中なんです」
一色「MUはそちらにとっても敵であるはずだ…」「故に、我々TERRAへ協力するのは当然のことではないのかね?」
アオイ・ジュン「しかし、今の状況でそちらの都合を押し付けられても…!」
一色「だから、こうやってミスマル司令に直接協力を願い出ている。…君の出る幕ではない」
アオイ・ジュン「なっ…!」
秋山「まぁまぁ、君…ここは抑えて、抑えて」
アオイ・ジュン「秋山少将!」
秋山「ほら、熊本産のスイカでもどうだ? TERRAの亘理長官がわざわざ持ってきて下さった土産だぞ」
一色(何…?)
アオイ・ジュン「こんな時に、スイカもヘチマもありませんよっ!」
秋山「そんなこと言っとると、後悔するぞ?」
アオイ・ジュン「後悔?」
ミスマル「そう…。スイカは水気がなくなると、まずくなるからねえ」
秋山「まったくですな」
一色「話をはぐらかすのはそこまでにしていただきましょう。…それで、ご返答は?」
ミスマル「詳細についてはすでに亘理長官から聞いている。君の申し出を受け入れよう」
一色「では、マグネイト・テンの指揮権は私が預かりますが、よろしいか?」
ミスマル「条件が一つある」
一色「何です?」
ミスマル「人事に関しては口出し無用…これに関しては亘理長官の承認も得てある」
一色(ち…先手を打たれたか)
ミスマル「だから、勝手な真似をしてもらっては困るよ? 彼らは大切な人材だからねぇ」
一色「…了解です。それでは」
〔通信を切る音〕
プロスペクター「…やれやれ、功刀司令の時とは大違いですなぁ」
秋山「ま、彼は彼で気負っとるんだろう」
プロスペクター「ですが、連邦政府筋や軍参謀本部内では、ダウンフォール作戦の危険性を重視し…」「中止させようという声が上がっているんじゃありませんか?」
アオイ・ジュン「え…?」
秋山「…相変わらず地獄耳だねえ」
プロスペクター「いえいえ、亘理長官がここへ来られた理由を推測したまでですよ」
秋山「ま、もうすぐ結論は出ると思うがね」
プロスペクター「かの三輪防人長官のように一色司令が先走らなければいいんですが」
秋山「う~む…そうだな。その可能性はあるか」
アオイ・ジュン「…あの、いいんですか? マグネイト・テンをダウンフォール作戦へ参加させて…」
秋山「困った時はお互い様。助け合いの精神は大事だよ、君」アオイ・ジュン「そういうことではなくて、バグラチオン作戦の方は…」
ミスマル「………」「…例の『C』はどうなっておるのかね?」
プロスペクター「仕上がりにはもうしばらくかかりそうです」
ミスマル「間に合うのかね?」
プロスペクター「それはもちろん。ただ、問題は受け渡しの方法です。そろそろ、向こう側にも感づかれているかと」
秋山「うむ…。スクリューネイル作戦のおかげで、月が多少静かになったからな」
ミルマル「暗殺者が『C』…あるいは、直接ホシノ少佐を狙う可能性も出てくるということか」
秋山「それに関しては手を打っております」
プロスペクター「加えて、『C』を単独で動かすとなれば、人員も必要となりますね」
秋山「ああ、システムの掌握だけで事は済まんからな」
ミスマル「…アオイ君、火星の後継者達とギガノス残存勢力の動きはどうかね?」
アオイ・ジュン「ここしばらく、連邦側との膠着状態が続いていましたが…現在は大きな動きを見せていません」
ミスマル「ギガノスの機動要塞は?」
アオイ・ジュン「暗礁宙域に潜伏中…現在、宇宙軍の方で捜索を続けています」
ミスマル「そうか…」
プロスペクター「まさに嵐の前の静けさという奴ですな」
ミスマル「うむ…全てを巻き込む嵐のな」

ニライカナイ

恵「ただいま、おじさん!」
六道「おお、恵…それに、綾人。元気そうで何よりだ。しばらくはニライカナイにいられるのか?」
綾人「いえ、あまりゆっくりしてる暇は…」
ジュドー「へ~え、ここが綾人さん達の家かぁ」
ヒカル「かなり年代物だけど、趣があっていいトコだね」
ジョルジュ「ええ。この手の木造建築物は大変貴重ですよ」
プル「ねえ、恵! お風呂、お風呂!」
恵「え? いきなり?」
プル「だって、あたし…日本のお風呂、初めてなんだもん。ずっと楽しみにしてたんだから」
北斗「ちなみに、プルはどんなのだと思ってたの?」
プル「お鍋に入って、下から木をゴーゴー燃やす奴でしょ?」
銀河「鍋? 何だ、そりゃ?」
ヒューゴ「もしかして、五右衛門風呂のことか?」
プル「ん~、何かそんな感じの名前だった」
ジョルジュ「五右衛門風呂…。中世日本の大泥棒、石川五右衛門の名に由来する釜風呂ですね」
ヒカル「ないない。今時、そんなの滅多にないって」
恵「そうよ。ウチのは割と普通だよ?」
プル「それでもいいから、早く入りた~い!」
トウジ「そやけど、ヒューゴさんって妙なことに詳しいんやな」
ヒューゴ「昔…京都にいた時に見たことがあってな」
六道「…綾人、この人達は?」
綾人「同じ部隊の仲間達で…どうしてもウチを見たいって言って…」
六道(では、彼らがマグネイト・テンの…)
恵「ごめんね、おじさん。TERRAのミーティングが始まるまでの間なんだけど…いい?」
六道「ああ、構わんよ。ゆっくりしてもらっていきなさい」
綾人「すみません、無理を言って…」
六道「ああ、そうだ。さっき、ウチにスイカが届いてな…」「冷蔵庫で冷やしてあるから、切ってみんなで食べなさい」
ヒカル「わ、湯上りにスイカ!? これで日本の夏、満喫だね!」
イズミ「…日本の夏、緊張の夏…」
銀河「イ、イズミさん、いたのかよ!?」
恵「あ…もしかして、ヒカルさん達もお風呂に入るつもりなの?」
ヒカル「そだよ。マンガのネタって、そういう時によく思いつくしね~」
プル「恵! 早く、早くぅ!」
恵「はいはい、すぐに沸かしてあげるから」
ヒカル「あ、念のために言っとくけど…のぞいたら金ダライ3発ぐらいじゃ済まないからね」
トウジ「な、何でそこでワイを見るんや!?」
ジュドー「そりゃ、トウジが一番のぞきそうだからじゃない?」
トウジ「ア、アホぬかすな! 誰がそんなことをするかい!!」
六道「…やれやれ、元気のいい子達だな」
綾人「ええ…」
六道「…そうだ、綾人。俺はこれから出かけるが…一つ、頼みを聞いてくれんかね?」
綾人「? はい……」

功刀「………」
綾人「…あの…六道のおじさんの言いつけで、功刀さんにこのスイカを…」
功刀「………」
綾人「…功刀さん、ずっとここにいるんですか?」
功刀「そうだ。君も知っての通り、謹慎中の身なのでな」
綾人「………」
〔鳥の囀り〕
綾人「…鳥がいるんですか?」
功刀「………」
綾人「名前は?」
功刀「ミチルだ」
綾人「チルチル、ミチルですか?」
功刀「…娘の名前だ」
綾人「え…?」
功刀「………」「…紫東大尉…彼女がいなかったら、君はとっくに収容所送りだった…」「いや、最高機密であるラーゼフォンを盗み出した咎で、極刑もあり得ただろう」
綾人「…ええ…わかっています…」
功刀「なら、いい…」
綾人「あの…」
功刀「何だ?」
綾人「…前から聞きたかったんですけど…功刀さんの家の桜って、本当に青い花が咲くんですか?」
功刀「…誰が言ったんだ、そんなこと」
綾人「樹さんが、TERRAのみんなに…」
功刀「………」「…フ、フフ…何を馬鹿なことを」
綾人「違うんですか?」
功刀「君はかつがれたんだよ、フフフ…」
綾人「…功刀さんでも笑うことがあるんですね」
功刀「当たり前だろ?」
綾人「………」
功刀「…綾人君」
綾人「はい?」
功刀「今度、一緒に飯でも食おうか」
綾人「……はい……」

TERRA本部

ケーン「…やれやれ、何で俺達まで白ヘビ野郎の演説を聴かなきゃならねえんだ?」
アスカ「しょうがないでしょ。あたし達も次の作戦に参加するんだから」
ケーン「何だったかな、作戦のコード名…ダンボールだっけ?」
ビーチャ「ダウンヒルだろ?」
アスカ「なにバカなこと言ってんの! ダウンフォールよ、ダウンフォール!」
ケーン「ああ、それそれ」
ルー「でも、どうしてそんな名前がつけられたのかしら?」
ジョルジュ「ダウンフォールとは旧世紀の太平洋戦争中、アメリカ軍が計画していた日本本土侵攻作戦のコードネーム…」「おそらく、今回の作戦名はそこから取られたのでしょう」
ルー「ふ~ん…」
〔扉の開閉音〕
総一「皆さん、そろっているようですね。では、これよりダウンフォール作戦に関するブリーフィングを行ないます」
一色「諸君、これはTERRAの司令官として私が行う最初の作戦だ」「そして、また最後の作戦でもある。何故なら…本作戦によって、MUの絶対障壁は完全に消滅するからだ」
総一「…TOKYO JUPITERは、次元間不連続面と推定され…」その内部は、我々の次元と異なる、ファインマン・ダイヤグラムをたどって進化した異質な次元だと考えられます」「ヴァーミリオンなどに装備されている従来のTDDシステムは、自己を確率共鳴場に包み…」「TOKYO JUPITERに同化、融合させることによって、かろうじてこの不連続面を突破することが出来ます」「そして、絶対障壁の消滅もTDDシステム理論を応用すれば可能であり…」「エネルギー確保の問題もムトロポリス提供のRMUシステムで解決されています」
マリ「ムトロポリスって…お父さん達が?」
樹「ああ。RMUシステムはライディーンの動力源にヒントを得て造られた高出力のジェネレーター…」「以前から、僕達がひびき博士や東山所長に開発をお願いしていたのさ」
洸「もしかして、ムートロンエネルギーを使う物ですか?」
樹「そう。RMUシステムは、疑似的なラ・ムーの星とも言える存在…」「もっとも、出力は本物に遠く及ばないけどね」
洸(父さん達がそんな物を造っていたなんて…)
総一「…すでに、今作戦に必要な6基のT・Jバスターは完成し…」「これをJUPITERの中心から半径97キロ線上の大島、富士吉田、本庄、笠間、犬吠埼と…」「海上の特務艦、JBB-1に設置。6方向からリニアフィールドを投射し、確率共鳴場を形成…」「TOKYO JUPITERの絶対障壁を消滅させます」
一色「その後、マグネイト・テンを中心とした攻撃部隊を東京へ投入…一気にMUを制圧する」
ミサト「………」
一色「なお、今回の作戦はミスマル司令の認可も得ており…君達の指揮権も私に預けられている」「だから、前回のようにはいかんぞ? 葛城ミサト三佐」
ミサト「…わかっています」
恵「さっすが、白ヘビ…転んでもただで起きる気はないみたいね」
キム「突入部隊にあなた達を指名したのもあいつみたいよ」
恵「やっぱり?」
ケーン「そんじゃま、さっさと準備すっか。チンタラやってたら、白ヘビ野郎に何言われるかわかんねえからな」
タップ「言えてる、言えてる」
キム「あ、そうだ、メグ…この手帳、遙さんに渡しといてくれない?」
恵「手帳?」
キム「うん。さっき、司令センターで見つけたんだ。遙さん、あそこへ寄ってって忘れたみたい」
恵「はああ~。何かそういう所が抜けてるんだよね、ウチの姉は」
キム「それじゃ、お願いね。私、リーリャ・リトヴァクへ行かなきゃならないから」
恵「うん、わかった。渡しとく」

恵「…とは言ったものの…お姉ちゃん、どこ行ったんだろ? ブリッジにもいなかったし…」「………」「い~っけないんだ♪ いっけないんだ♪ いくら姉妹でも、中身を見ちゃいけないんだぞ~」「さぁて、どれどれ…。あ、写真だ。いつのだろ?」「やだ、お姉ちゃん、若い~! ん? 隣に写ってるのは誰かな~♪」「! これ、綾人…!?」「………」「…ずるい…ずるいよ、お姉ちゃん…」「…あたしの人生より長いんだよ…。勝てるわけないじゃん…」「…勝てるわけ…ない…」

六道「…綾人と恵がウチにマグネイト・テンの仲間を連れて来たよ」
亘理「………」
六道「…なあ、士郎。昔はそうでも、今はこうして理解し合えている。…綾人の友人達のようにな」
亘理「………」
六道「…それでいいじゃないか」
亘理「…眠り姫も…ネリヤの黒い卵も…バーベムの手に渡してしまったのは、この僕だ…!」
六道「人はそれぞれ生きる道が違う。…あの子もそうさ。麻弥は17歳になった時、それに気づいちまった…」「自分が運命の王子様が来る前に目覚めた…眠り姫だということに…」
亘理「…あの時は、ああするしかないと思っていた…!」「ゼーレの補完計画を少しでも遅らせるには、ああするしか…」
六道「…自分を責めるなよ」
亘理「…だが、17歳の奏者の資格はもうなくなってしまう…。我々に残された時間はない」
六道「綾人の人としての時間がな」
亘理「………」
六道「だから、ほんのわずかな時間でも家族として普通に接してやりたかった」「…俺にとっては、孫だしな」
亘理「…すまない…」
六道「………」「…娘にしてやれなかったことへの償いかな…」
亘理「………」
六道「いずれにせよ、もうすぐ時が動き出す」「二つの計画の内、どちらがそれぞれの結果を出すか…あるいは、同じ結末を迎えるか…」「ワシらは、それを見届けるしかない」
亘理「ああ、わかっている…」

綾人「………」「…いつまでそうやってるつもり?」
〔扉の開閉音〕
遙「気が…ついてたの?」
綾人「…ずっとね」
遙「………」
綾人「…ごめん」
遙「何?」
綾人「こっちへ戻ってきてから…遙さんのこと、避けてたみたいで…」
遙「うん…避けてたね」
綾人「だから…ごめん」
遙「…うん…」
綾人「ねえ、遙さん」
遙「何?」
綾人「この絵が出来たらさ、一番始めに見てくれないかな?」
遙「………」「……うん」
【シナリオデモ1終了】


サブタイトル
「Bye-bye Jupiter


【戦闘マップ1開始】
〔味方戦艦出現済み〕
リンダ「艦長、作戦開始まであと60分です」
ブライト「よし、各員は第一種戦闘配置のまま待機せよ」
リンダ「はい」
恵「………」
リンダ「どうしたの、恵? 早く艦内放送を入れなきゃ…」
恵「あ…ご、ごめん」
ローズ「何か元気ないみたいだけど…大丈夫?」
恵「う、うん…心配いらないよ」
ローズ「そう? なら、いいけど…」
アムロ「…ブライト、TERRA側の方はどうだ?」
ブライト「今のところは順調のようだ。ただし、いつ敵が現れるかわからん…。すぐに出られる心構えをしておいてくれ」
アムロ「了解した」
クワトロ「…いよいよ、パンドラの箱が開かれる時が来たな」
アムロ「ああ…」
クワトロ(はたして、あの中に我々の希望は残されているのか…?)
カミーユ「………」
ミサト「カミーユ君、どうしたの?」
カミーユ「…嫌な感じがするんです」
ミサト「え…?」
カミーユ「何かこう…ザラついた感じが…」
ボス「お、おい、勘弁してくれよ。おめえにそういうこと言われると、こっちまで不安になってくるぜ」
マリア「カミーユの言うこと、あたしにもわかる…何だか胸騒ぎがするもの」
ボス「マリアちゃんまで? マ、マジでヤバいんじゃないの?」
ミサト「………」
総一「…一色司令、科学調査部のレポートはいかがですか?」
一色「特に問題はない」
総一「そうですか」(…そんなはずないんだけどな)
キム「司令、コードAAAで命令書が届きました」
一色「AAA? …わかった、こっちへ回せ」
キム「はい」
一色(! これは…!?)
総一「どうかなさったんですか?」
一色(ク、ククク…そうか…。そういう根回しをしていたということだな、上の連中は…)
総一「司令?」
一色(ふざけた真似を…! 私がこのまま引き下がると思うなよ…!)
総一「あの…」
一色「八雲少佐、ダウンフォール作戦実施時間を1時間ほど繰り上げる」
キム(え…!? それって、今すぐ作戦を始めるってことじゃない…!)
総一「そういう命令だったんですか? いったい、どういう理由で?」
一色「君に説明する必要はない…!」
総一「………」
一色「ダウンフォール作戦開始は5分後…1705だ。直ちに各部へ伝達しろ」
キム「は…はい」
樹「………」
〔通信を開く音〕
ハーリー「…それ、本当ですか!? もう決定!? そ、そんな…!」
ルリ「ハーリー君、どうしたんです?」
ハーリー「リーリャ・リトヴァクから作戦開始時間を5分後に変更すると連絡が…!」
ルリ「!」
ベガ「5分後って、そんな無茶な…! いったい、どういうつもりなの!?」
ハーリー「わ、わかりません。でも、各部のT・Jバスターは起動準備に入ってるみたいです」
ルリ「…これは上の方で何かあったと考える方が自然ですね」
吉良国「上って…亘理長官のことですか?」
ルリ「もちょっと上だと思います」
ベガ(もしかして、連邦政府が…?)
ルリ「とりあえず、ここは命令に従っておきましょう。雲行き、だいぶ怪しそうですけど」
ベガ「そうね…。いずれは対峙しなければならない相手だもの…」
【戦闘マップ1終了】

【シナリオデモ2開始】

キム「…各地のT・Jバスター、起動準備完了しました」
樹「各基のRMUシステムの状態は?」
キム「すでにアイドリングを開始…全基、問題ありません」
総一「上空のプロップサット編隊の方はどうだ?」
キム「現在、指定空域を定常航行中です」
遙「…全システム、オールグリーン。マグネイト・テンの配置も完了…」
総一「後は最高責任者のご命令を待つのみです」
一色「うむ。ダウンフォール作戦、発動!」
キム「了解。オペレーション・ダウンフォール、発動!」「カウントダウン、10秒前…9…8…7…6…」
一色(いよいよだ…。これでTOKYO JUPITERの絶対障壁は我々の眼前から消え去る…)(そうなれば、ムーリアン共は…!)
キム「5…4…3…」
樹「………」
キム「2…1…0!」
一色「確率共鳴場、展開!」

ケーン「お、おい、見ろ!!」
ドリル「す、すげえ…!」
一矢「TOKYO JUPITERの絶対障壁が…はがされていく…!!」
綾人「…う、ううっ…!!」
洸「どうしたんだ、綾人さん!?」
綾人「…だ、駄目だ…! このままじゃ、駄目だ…!!」
洸「!?」
綾人「うう…ううう! あああっ!!」
総一「…状況を報告しろ!」
キム「中心部のエネルギー、215を超えました!」
一色「いける…いけるぞ…!!」
遙「……!!」
キム「通信シグナル、爆発的に増加! タイムディファレンシャルエフェクト、極大!」
総一「絶対障壁、消滅していきます!」
綾人「!!」
〔画面、発光〕

綾人「! こ、ここは…!?」
???(玲香)「………」
綾人「き、君は…!!」
玲香「………」
綾人「美嶋…! ここはいったい、どこなんだ?」
玲香「ここはMUと呼ばれる人々がゼフォンと交わる奏者を送り込むそのための通路…」
綾人「奏者…?」
玲香「オリンのことよ。本来のオリン達もここを通ってやってきた…」
綾人「……!」

久遠「!!」
???(綾人)「………」
久遠「らら?
???(綾人)「………」
久遠「オリン…! どうしたの? 誰かに呼ばれたの?
???(綾人)「君に…そして、あの卵に。僕はあそこに帰らねばならないから…」
久遠「あなたはオリンではないのね…?
???(綾人)「そう…私はイシュトリ。ヨロテオトルに至るオリンの証…ゼフォンより放たれたラーの歌…」「そして、あなたが真実の心臓より欲する人の姿…」
久遠「らら?
???(綾人)「君は君の歌を見つけた…」
久遠「あなたは……?
???(綾人)「私は正しき音の階…さあ、君が必要だ…オリン」
久遠「……!
〔金属音〕
???(綾人)「一つとなろう…」
久遠「…私もよ……一緒にいたい……
〔画面、発光〕

綾人「君は…君は誰なんだ? 美嶋じゃないのか?」
玲香「美嶋玲香は真実の顔の偽りの名…私はイシュトリ。私は道標にして、あなたが未だ正しく見られぬあなたの顔
綾人「………」
玲香「これはあなたの見る世界、私のいる世界…あなたと私がつくる世界…あなたはヨロテオトルを得て、世界の心臓となる」「共に行きましょう…。世界の王にして、捧げられし人…!
綾人「……嫌だ
玲香「!」
綾人「僕が描いた絵の彼女は君じゃない! 見て欲しかったのも君じゃない…!」「あの絵を描いたのも、君のためじゃない…!!」
玲香「………」
綾人「僕は君とは行かない…!」
玲香「あなたが望まなくても、いずれそうなるの」
綾人「!」
玲香「選ばれし者は二人のオリンの他にもう一人…」「あなた達は、それぞれの時の歯車を回す…そして、二つの世界とそこに住まう人々を新たな世界へ導くか…」「あるいは、ラ・ムーの歌声と共に世界へ永遠の光をもたらすか…」「それとも、調律を果たさず、世界を泥の海へ戻すか」
綾人「………」
玲香「まもなく、この世界は終わりと始まり…死と新生の時を迎える」「そして、あなたに残された時間はあとわずか…。そのことを忘れないで、オリン」
綾人「僕は行かない…君とは行かない。僕はただ、守りたいだけなんだ…。みんなを…この世界を…!」
玲香「………」
綾人「僕は……僕は…!」
玲香「……先に行っています……」
〔画面、発光〕
【シナリオデモ2終了】

【戦闘マップ2開始】

〔画面、発光〕
〔味方戦艦出現済み〕

総一「絶対障壁、完全に消滅しました!」
一色「やったぞ…ついにやったぞ…! 未だかつて誰もやり遂げていないことをこの私が…!!」「フフフ…ハハハハ! この一色真がTOKYO JUPITERの絶対障壁を消し去ったのだ! フハハハハ!!」
〔TERRAの警報〕
キム「し、司令!!」
一色「何だ!?」
キム「ニューヨーク上空に、MUの空中都市が出現しました!!」
一色「な…何だとッ!?」
キム「ニューヨークだけではありません! モスクワ、北京、イスタンブール…!」「MUの空中都市が、各地の上空に次々と出現している模様です!!」
総一「MUが増殖している…!?」
樹(世界が重なり始めているのか…!)
一色「ば、馬鹿な……ッ!!」
樹「…どう対処されますか? 司令官」
一色「樹ィ!? 何が起きたんだ!?」
〔TERRAの警報〕
一色「こ、今度は何だ!?」
キム「東京方面より、D1が現れました!!」
一色「!!」
〔敵ユニット出現〕
九鬼「ふふふ……」
遙「あ、あの男は…!?」
ミサト「極東方面軍の九鬼正義元大佐…! 確か、MU大戦勃発後、行方不明になっていたはずじゃ…!?」
遙「いえ、彼は絶対障壁内にいたのよ。MU総督府の防衛軍司令官として…!」
九鬼「…我々は時の牢獄より解き放たれた。その手助けをしてくれたことを諸君らに感謝しよう…」
一色「な、何だと!?」
九鬼「その上で、我々は諸君らに命ずる。速やかに武装解除し、EVA初号機とラ・ムーの星を引き渡せ」
洸「!!」(同時)
シンジ「!!」(同時)
ミサト「エ、EVA初号機とラ・ムーの星を!?」
ベガ「ラーゼフォンではなく、どうしてその二つなの…!?」
ミサト(初号機の引き渡しを要求してきたのは、人類補完計画の阻止が目的だと見て間違いない…)(けど、ラ・ムーの星は? 彼らはあれを手に入れてどうするつもりなの…!?)
九鬼「今から諸君らに24時間の猶予を与える…」「もし、我々の要求が拒絶された場合…諸君らの頭上に大いなる災厄がもたらされるであろう…!」
アクア「お、大いなる災厄!?」
デューク「MUが総攻撃を開始するというのか…?」
一色「ええい、攻撃だ! 攻撃しろ!! あの裏切り者を叩き潰せ!!」
ルリ「いいんですか? 下手すると、各都市上空のMUが攻撃を始めるかも知れませんよ?」
一色「今の貴様らの指揮官は私だ! 命令に従え!!」
ルリ「あなたじゃ、責任を取りきれないと思います」
一色「黙れ! 貴様らは私の命令に従っていればいいんだッ!!」
総一「…残念ですが、そういうわけにはいきません」
一色「何ィ!?」
総一「連邦政府からの通達です。一色真殿、貴殿は本日付けを以て…」「連邦監察官、及びTERRA臨時司令の任を解かれました」
一色「!!」
総一「…理由はおわかりですね?」
一色「な…ッ!?」
総一「本作戦の危険性を警告した科学調査部からの報告を握りつぶし…」「連邦政府からの中止命令を無視した上に、作戦を1時間早めてこの結果ですから」
一色「お、俺を陥れたな…!?」
総一「やだなあ…自分から落ちたんじゃないですか」
一色「クッ…クククク…」
総一「さあ、元司令官殿。こちらへ」
一色「俺は…このままでは終わらん…終わらんぞ…!」
〔端末の入力音〕
総一「! 何を!?」
樹「いけない! SAMの発射ロックを!」
一色「フハハハ! もう遅い!!」
〔敵ユニット撃破〕
ミサト「!!」
遙「な、何が起きたの!?」
リンダ「リ、リーリャ・リトヴァクからミサイルが発射されました!!」
ブライト「な…! 馬鹿な!!」
一色「ハハハハハ! 見ろ! 私を陥れたから、こういうことになる! これは当然の報いだ! 罰なのだ!!」
総一「あ、あなたという人は…!」
九鬼「…それがそちらの答えか。では、諸君らにはここで消えてもらおう」
ローズ「D1、及びD2が攻撃態勢に入りました!」
ブライト「やむを得ん! 各機、直ちに発進! 敵を迎撃せよ!」
〈出撃準備〉
<戦闘開始>

<クワトロvs九鬼>

クワトロ「EVAとライディーン…そして、MUとラーゼフォン…。この世界の命運…」「やはり、絶対障壁の消失はパンドラの箱を開けるに等しい行為だったのか…」

<カミーユvs九鬼>
カミーユ「危険だ…! こいつをここで倒さなくては何かが起きる…!」
九鬼「少しはセンスがあるようだな。だが、お前達の世界はもうすぐ閉じるのだよ!」

<洸vs九鬼>
洸「答えろ! お前達はラ・ムーの星を手に入れて何をするつもりなんだ!?」
九鬼「先程も言った通り、諸君らに大いなる災厄を与えるのだよ!」

<シンジvs九鬼>
九鬼「人類補完計画の要、EVA初号機…これを手に入れれば、私は神になれる!」
シンジ「神…!? どういうことなんだ!?」

<マサトvs九鬼>
マサト「お前達の目的は何だ!? 何のためにEVAとライディーンを欲しがるんだ!?」
九鬼「木原マサキ…お前もやろうとしたことだよ」
マサト「!」
九鬼「もっとも、我々はお前のように無秩序な破壊を望みはしないがな!」

<綾人vs九鬼>
九鬼「ゼフォンと戦う気はない…。素直に運命を受け入れ、なすべきことをなせ。それが麻弥様の望みだ」
綾人「僕がなすべきこと…!?」

<九鬼撃破orHP40%以下・勝利条件達成>
九鬼「ふ、ふふふふ…警告はすでに与えた」「諸君らに残された時間はあとわずか…要求通り…我らMUにEVA初号機とラ・ムーの星を渡せ」「さもなくば、この世界はニライカナイと同じ運命をだどることになるだろう……」
〔敵ユニット離脱〕
【戦闘マップ2終了】

【シナリオエンドデモ開始】

ヒラニプラ

鳥飼「はしゃぎ過ぎですね、九鬼は。何故、私ではなく奴に?」
麻弥「あなたの役目ではないでしょう? あなたはオリンを守る者…そして、ヨロテオトルを見届ける者…」
鳥飼「………」
三輪「あ、あの…麻弥様。私達のやっていることは、本当に正しいことなんでしょうか…!?」「これで本当に正しい世界が来るのでしょうか…!?」
麻弥「三輪、何も心配することはないのよ。あなたは正しいことをするの。だから、心配はいらないわ」
三輪「は、はい…」
鳥飼(フッ、正しいこと、か…)(…綾人…いや、オリン。俺はお前を許さない…)(浩子を殺したお前を決して許しはしない…!)

星見町

乙女「母ちゃん、お空を見て、お空を!」
みどり「ああ…わかってるよ、乙女」
乙女「ね、ねえ…あれ、何? あのおっきいのもガルファなの…!?」
みどり「………」
乙女「大丈夫だよね…? ギン兄やライオンちゃん達があたし達を守ってくれるよね…!?」
みどり「ああ、そうだよ。あの子達がいれば、大丈夫。だから、心配いらないよ」
乙女「うん!」
みどり(ギン、北斗君、織絵さん…。あたしはあんた達を信じるよ。必ずこの世界を守ってくれるって…)

オオイソシティ

ユキナ「ねえ、ミナトさん。晩ご飯まだ?」
ミナト「………」
ユキナ「ん? どしたの?」
圭介「…先程、政府より特別非常事態宣言が出されました。該当地区の住民の皆さんはくれぐれも節度ある行動を心がけ…」
ユキナ「な、何、これ…!? 何のニュースなの…!?」
ミナト「MUの空中都市ってのがたくさん湧いて出てきたって…」
ユキナ「ええっ!?」
ミナト(これは…ただごとじゃないわね…)

UNKNOWN
百鬼要塞島

グラー「…以上が、世界各地に出現したMUの空中都市の映像でございます」
ブライ「人間共の様子は?」
ヒドラー「各地区で混乱が起きております」
グラー「ブライ大帝、これは我らにとってまたとない好機かと…」
ブライ「わかっておる」
グラー「では…?」
ブライ「うむ。今こそ我らの最終作戦を発動し…この世界を我が物としてくれよう」「ヒドラー、グラー…手はずは承知しておるな?」
グラー「ははっ。まずは日本地区の制圧…」
ヒドラー「そのために、マグネイト・テンを列島の外で釘付けにし…」
グラー「この百鬼要塞島で早乙女研究所を襲撃…ゲッター線増幅装置を入手した後、邪魔者共を一気に片づけます」
ブライ「そうだ。早速、作戦を実行に移せ」
グラー「百鬼、ブラァァァイ!」

ミサト「…それで、一色司令は?」
総一「罪状が確定するまで、身柄を拘束…まもなく、政府の人間が彼を引き取りに来ます」
ミサト(…同情の余地はないわね…)
遙「………」
ルリ「八雲少佐、例の空中都市の様子は?」
総一「各地で増殖を続けています。都市そのものに動きはありませんが、出現先の地区は混乱状態に陥り…」「それを鎮圧化するため、連邦軍が出動しています。また、政府の方からも特別非常事態宣言が出されています」
ルリ「そうですか…」
クワトロ「現時点ではMUが攻撃を仕掛けてきていないとは言え、状況はますます悪化する一方か」
アムロ「ああ。この混乱に乗じて、他の敵組織が動き出す可能性は高いな」
樹「…問題はそれだけではありませんよ」
ブライト「どういうことだ?」
樹「TOKYO JUPITERの絶対障壁は二つの世界が重ならないよう次元の差によって食い止めていたんです」「しかし、我々はそれを解き放ってしまった…だから、こちらとMUの世界が重なろうとしているんです」
ブライト「重なったら、何が起きる?」
樹「同じ物が同じ空間を占めることは出来ません。完全に重なった時、二つの世界は対消滅するでしょう」
ブライト「!!」
ミサト「じゃ、じゃあ、私達は!?」
樹「無論、世界と運命を共にすることになります」
ミサト「そ、そんな…!」
樹「今さら何を驚かれるんです?」「ネルフはこのことを予見し、対応策を…エヴァンゲリオン初号機を要とした人類補完計画を進めていたのでしょう?」
ミサト「え…っ!?」
ベガ「人類補完計画が世界の破滅を阻止するための対応策だと言うの…?」
樹「その表現は適切ではないと思いますが、MUの計画に相反した側面を持っているのは間違いありません」「…そして、ムーリアンもそれを知っているはずです」
ミサト(だから、彼らは何度も第3新東京市に攻撃を仕掛けてきた…?)
ルリ「…他に二つの世界の対消滅を防ぐ方法はないんですか?」
樹「T・Jバスターを使用して、再び絶対障壁を作り出すことは理論的に可能かも知れません」
クワトロ「東京を元の状態に戻し、二つの世界を切り離すというのか?」
樹「最善の方法であるとは思えませんが、現状で出来る対処方法はそれだけです」
遙「………」
総一「しかし、JBB-1のT・Jバスターは先程の戦闘で損傷しています」「それに、6基全てが稼働しても、ジュピター現象を起こすだけのエネルギーを作り出せるかどうか…」
樹「そのことはわかっている。だが、ネリヤ神殿のエネルギーを解放するか、あるいは…」「RMUシステムではなく、本物のラ・ムーの星を使えば…」
ベガ「え…!?」
〔TERRAの警報〕
総一「どうした!?」
キム「先程のD1が屋久島沖に出現! ニライカナイを目指している模様です!」
総一「な、何だって!?」
【シナリオエンドデモ終了】


● 螺旋城 → No51「終局への螺旋階段」 へ戻る

● ニライカナイ → No53「ここより永遠に」 へ進む


◆ 「スーパーロボット大戦MX PORTABLE」 へ戻る




当館に記載されている作品名・製品名などは、各社の登録商標です。
当館の内容は、各社からの正式許可を受けてはおりません。