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No.10A
捧げられた生贄

【シナリオデモ開始】
カイル「……久しぶりだな、セルシア」
セルシア「カイル……こんな所へ呼び出して、何の用?」
カイル「今、俺はウォン重工業で例のシステムの開発を行っている」
セルシア「えっ……!?」
カイル「ジジやユルゲン博士と一緒にな」
セルシア「あの二人が生きていたの……!?」
カイル「ああ、俺達と同じくな」
セルシア「それで……私を連れ戻す気?」
カイル「まあ、そんな所だ」
セルシア「今さらあのシステムを完成させてどうなるの……?」「もうDCは存在しない。エアロゲイターも滅びたわ」
カイル「だが、その後で何が起きたか……お前も知っているだろう?」
セルシア「もちろんよ。でも、あのシステムがなくても、地球人は地球圏を守れるようになった」
カイル「ハッ、馬鹿を言うな。噂じゃ、こないだ北米を占拠した異星人は、先遣部隊に過ぎないらしい」「連中が本腰を入れてきたら、今度はどうなるかわからないぞ」
セルシア「だけど……あのシステムで、彼らの侵攻を防げる保証はないわ」
カイル「今のユルゲン博士なら、出来る。それに、俺達はDC以上の後ろ盾を得た」「博士の計画が成就すれば、地球圏の守りはより強固なものとなる」
セルシア「そのために……協力しろと?」
カイル「ああ」
セルシア「でも、私は……」
カイル「セルシア、あの時のことを思い出せ」「アードラーの策略でプロジェクトは闇に葬り去られた」「俺達のやってきたことが、つまらない嫉妬で否定されてしまったんだ」
セルシア「………」
カイル「そして、俺達は戦火の中でそれぞれの大切なものを失った」「俺はプライドを……お前は友人を。その時の悔しさや悲しさを思い出すんだ」
セルシア「だ、だけど……」
カイル「なら、俺のために力を貸してくれ。俺達には……いや、俺にはお前が必要なんだ」
セルシア「やめて、カイル。……私の下から去っていったのは、あなたなのよ?」
カイル「やり直そう。俺達も……プロジェクトも」
セルシア「! カイル……」
カイル「頼む。力を貸してくれ」
セルシア「………」「……いいわ。それで……私は何をすればいいの?」
カイル「テスラ・ライヒ研究所へ入ってくれ。入所の手続きは、こちらでしておく。そして、俺からの指示を待て」
セルシア「わかったわ……」

レーツェル「ウォン重工業のゲシュタルト……?」
ギリアム「そう……次期主力機トライアルに提出される機体だ。しかし、その詳細は謎に包まれている」
レーツェル「そんな物のエントリーが、よく許可されたものだな」
ギリアム「情報規制も異常なまでに厳重だ。故に軍の担当者とメーカーが癒着していると思われる。だが、それよりも問題なのは……」
レーツェル「人型機動兵器開発の実績を持たぬウォン重工業が、何故トライアルに提出できるような機体を作り得たのか……だな?」
ギリアム「その通り。イスルギ重工からの技術提供があったにせよ、不自然だ」
レーツェル「それで、ギリアム……私に聞きたいこととは?」
ギリアム「ゲシュタルトに搭載されているというAMNシステム……それに聞き覚えはないか?」
レーツェル「………」「……かつてのEOTI機関で開発が進められていた、アーマードモジュールのネットワークシステムだ」
ギリアム「ならば……DC絡みということにもなるな」
レーツェル「ああ。AMNシステムは改良を重ね、『ODEシステム』の礎となったが……」「EOTI機関がDCへ移行した後、開発が中止され、プロジェクトメンバーも解散した」
ギリアム「プロジェクトの責任者は?」
レーツェル「ヴィルヘルム・V・ユルゲン博士だ」
ギリアム「……今、彼はどこに?」
レーツェル「L5戦役以後、消息不明となっている。昨今の彼に関するデータもない」「予防線を張られたか?」
ギリアム「かも知れん。いずれにせよ、調査すべき対象が増えたようだ」
レーツェル「……その内の一つは減った。ラウル達のことは、とりあえず心配なかろう」「例え、彼らが我々に話すことの出来ない事実を抱えていたとしてもな」
ギリアム(後は……ラウル達次第か)

地球連邦軍南欧方面軍 アビアノ基地

地球連邦軍アビアノ基地
アラド「皆さん、お久しぶりッス」
アイビス「元気そうだね、アラド。相変わらず、ご飯たくさん食べてる?」
アラド「そりゃもう! それが取り得ッスから」
ゼオラ「アラド……無芸大食って言葉、知ってる?」
アラド「無芸ね……。おれもお前みたいに胸が大きけりゃ、腹踊りならぬ胸踊りが出来るんだけどなぁ」
アイビス「む、胸踊りって……」
アラド「凄いッスよ。とぷんとぷんのたゆんたゆんで」
ゼオラ「な、ななな、なに言ってんのよ! 私、そんなことやってないわよっ!!」
ラトゥーニ「ゼオラ……」
ゼオラ「ホントにホント! 絶対にやってないもん!!」
アラド「……やってたら、ちょっとアレだよな~」
〔つねる音〕
アラド「いてっ!」
ゼオラ「あんたが言い出したことでしょうがっ!!」
アラド「そ、そうでございますデス」
ゼオラ「私だって、好きでこんな……」
アイビス「そんな……世の中にそんな悩みもあるんだ……」
ツグミ「ふふ……そういうのは人それぞれよ、アイビス。富める者は富める悩み、貧しき者は貧しき悩みってね」
アイビス「あ、あたしは 別に悩んでなんかいないよ……!」
ツグミ「はいはい、そういうことにしておきましょうね」
ブリット「でも、どうして俺とクスハ、アイビス達がアビアノに呼ばれたんだろう?」
ゼオラ「新型機の模擬戦の相手として、高機動型のアーマードモジュールと最新型の特機が必要だったみたいです」
ブリット「それで俺達のグルンガスト参式とアイビスに白羽の矢が立ったのか……」
アラド「それにしても、土壇場で色々決まったみたいッスね」「おれ達、クスハ少尉達が来るってこと、ついさっき聞いたんスよ」
クスハ「え? そうなの?」
ゼオラ「はい。こっちに来てから、ここに待機させられていて……外部と連絡を取っちゃ駄目だって言われて」
アラド「おかげで、ラトはハガネのリュウセイ少尉と話が出来なくなったもんな」
ラトゥーニ「うん……」
ツグミ「新型機に関することだもの。色々と機密事項が多いのも仕方ないわね」
アラド「しかし、アイビスさんだけじゃなく、ツグミさんも呼ばれてたんッスね」
ツグミ「当然よ。 私だってパイロットなんだから」
ラトゥーニ「タカクラチーフは、システムエンジニアだったはずでは……」
ツグミ「ふふ……実はね、アステリオンは……」
〔歩く足音〕
ラミア「タカクラチーフ、それ以上は今は話さないでくれ」
ツグミ「あ、ラミア少尉……」
ゼオラ「どういうことです、少尉? アステリオンに何か機密事項でも?」
ラミア「ああ。先程、マウロ・ガット准将から命令を受けたのだが……」「これより、教導隊とグルンガスト参式、新アステリオンの模擬戦を行うことになった」
アラド「い!? マジッスか!?」
クスハ「じゃあ私達、トライアルで新型機の相手をする前にラミア少尉達と戦うんですか?」
ラミア「その通りだ。よって、事前に互いの機体の情報を交換しないように」「私としてもせっかくの機会だ。訓練として意義のあるものとしたい」
ブリット「それは了解しましたが、随分と急な決定ですね」
ラミア「どうやら、トライアル機の到着が遅れているらしい」「それを待つ間にマウロ准将は我々の戦技を視察したいそうだ」
アラド「視察ッスか……。准将もおれ達の腕を疑ってるんだろうなぁ」
アイビス「どういうこと?」
ラトゥーニ「かつての教導隊と比較して、私達の力量を疑う声が上がっているんです」
アラド「端から見りゃ、子供の集団だもんなぁ。しかも、おれとゼオラはDC出身だし」
ブリット「つまり、評価試験をするはずの君達が先に試されるということか……」
ラミア「もっともな話だ。だが、戦争において名前など何の意味も持たん。使えるか、使えないかだ」「……逆に、それを証明しさえすれば問題はない」
アラド「まあ、無駄飯食らいって言われないためには試験ぐらいは仕方ないッスね」
ゼオラ「あなたはホントに無駄にご飯食べてるけど」
アラド「名実共にってこと? トホホ」
アイビス「……無駄な予算を使っているって言われてるのは、あたし達も似たようなものだよ」
ツグミ「外宇宙の脅威がリアリティを得た今、プロジェクトTDは実現不能な夢物語って一部では言われているらしいの……」
アイビス「フィリオ少佐の話じゃ、連邦軍からのプロジェクトTDの予算……また削られてるらしいし……」
クスハ「アイビスさん……」
ツグミ「もしかしたら、プロジェクトTDは成果物を兵器に応用することでしかその価値を認められないかも知れない……」
アイビス「それでも、あたしは足を止める気はない……。そのためには……」
ラトゥーニ「この模擬戦は、プロジェクトTDの研究成果の発表の場とも言えるんですね」
アラド「つまり、教導隊とプロジェクトTDのどちらにも負けられねえ理由があるってことかぁ」
ブリット「俺達もATXチーム代表として頑張らなきゃな」
クスハ「ええ」
ラミア「模擬戦の開始は30分後だ。各自、準備を行ってくれ」
ゼオラ「了解です」
アイビス「ゼオラ、手加減はいらないよ。模擬戦なんだから、思いっ切りやろうね!」
ゼオラ「はい。よろしくお願いします、アイビスさん」
〔歩く足音〕
ツグミ「ラミア少尉……」
ラミア「む? ……どうした、タカクラチーフ。模擬戦のことで、何か質問でも?」
ツグミ「いえ、私が知りたいのは今回の次期主力量産機のトライアルの経緯です」「私も事前のスペック審査として、候補機体のデータ比較に参加しました」
ラミア「………」
ツグミ「ケイテン社のブル・トレロを始めとして、どの機体もまずまずの仕上がりだと思いました」「しかし、最終的に今回のトライアルに提出されたのは、ウォン重工業の機体のみ……」「他の機体は、実機を見るまでもないということなのですか?」
ラミア「ウォン重工業の機体のスペックは優秀なのかも知れんが……」「スペックはスペックに過ぎん。実際のトライアルもせず、候補を一つに絞るなど、普通は考えられない」「……それが普通でない場合を除いてな」
ツグミ「やはり、今回の次期主力機の選定……最初から決まっていたことなんでしょうか?」
ラミア「仮にそうだとしても、我々は与えられた任務を遂行するだけだ」「ウォンの機体が次期主力量産機として相応しくないのなら、そう判断を下せばいい」
ツグミ「わかりました。私もAXのコックピットから自分の目で確かめてみます」
ラミア「頼む。そして同時に、私は教導隊のチーフとしての任務も果たさせてもらう」
ツグミ「アイビスじゃないですけど、私も負けるつもりはありませんよ。プロジェクトTDの夢のためにも」
ラミア「了解した。互いに全力でなければ意味がない。期待している」
〔通信のコール音〕
ラミア「ん? これは……」
ツグミ「どうしました?」
ラミア「カイ少佐からのメールだ。……目を通してから出る。先に行ってくれ」
ツグミ「はい」

地球連邦軍アビアノ基地
ラミア(シークレットコードを使うとは、こちらの状況に気を遣ってのことか? ……それとも……)
〔プログラムの動作音〕
ラミア「!」(トライアル機が自爆……延期上申は却下……何か裏があるのは確実……情報を収集せよ……)(監視されている可能性あり……十分留意せよ)(……なるほど。外部とも接触禁止命令が出た理由……これで見えてきたか)
【シナリオデモ終了】


サブタイトル
「捧げられた生贄」


【戦闘マップ開始】
〔敵ユニット出現済み〕
〔第3軍ユニット出現済み〕

アラド「威勢よくタンカを切ったはいいけど、相手はアステリオンとグルンガスト参式だろ」「ぶっちゃけ厳しいよな~。ビルガーとかファルケンを使わせて欲しかったぜ」
ゼオラ「文句を言わないの。私達教導隊の目的は戦技の研究……」「あらゆる状況下での戦闘データを練成することなんだから」「軍全体の基本フォーマットとして使用される以上、量産機のデータでなきゃ意味ないじゃない」
ラミア「フッ、模範的な回答だ。量産機を如何に効率的に運用するか、軍隊の戦力向上はそこに尽きる」
ラトゥーニ「私達のデータが、その礎になる……。やりがいのあることだと思う」
アラド(ううっ、みんなして難しい話してくれちゃってさぁ)(黒一点ってのは立場が弱いよなぁ、トホホ)
ラミア「む……ブルックリン少尉達の準備が整ったようだな」
〔味方ユニット出現〕
ゼオラ「あら、参式じゃなくて、GラプターとGバイソンなのね」
アラド「分離して戦う所を見るのは、初めてのような気がするなぁ」
ブリット「参式の1号機は龍虎王と虎龍王に取り込まれたし、2号機は分離出来ない仕様だったからね」
クスハ「そろそろアステリオンも出てくるわ」
〔味方ユニット出現〕
ラトゥーニ「あれがアステリオン……? 形が違う……」
ツグミ「こちらはプロジェクトTD所属、アステリオンAX、コンディションはオールグリーンです」
ゼオラ「タカクラチーフ……! 本当にチーフがパイロットなんですか?」
ツグミ「そうよ。このAXは複座でメインパイロットはアイビス、サブパイロットを私が務めるの」
アラド「そのアステリオン、オノでも装備してるんスか?」
アイビス「アックスじゃなくてアクスだよ、アラド」「AXはADVANCED-Xの略で、プロジェクトTDが次のステップに進むための実験機なんだよ」
ツグミ「凄いのよ、AXは。従来の機体では主にテスラ・ドライブで浮遊し、通常エンジンで機動を行っていたけど……」「AXは完全にテスラ・ドライブのみで機体の機動制御を行うんだから」
ラトゥーニ「確かに、通常エンジンの並列使用を取り止めれば、機体重量は軽減されますが……」
アイビス「うん……。スピードは大幅にアップしたけど、その分、操縦は格段に難しくなったよ」「おかげで索敵やシステムチェックは、サブパイロットのツグミに任せっきりなんだ」
ゼオラ「あのアステリオンがさらなる最高速と運動性を手に入れたなんて……」
アラド「あ、相手したくねえなぁ」
ラミア「戦場では敵の性能は選べん。格上と戦う訓練だと思えばいい」
アラド「りょ、了解ッス」
ラミア「さて、模擬戦の形式だが、同時に二つのフィールドを使用する」「Nフィールドは、僚機とのコンビネーションを重視した戦闘だ」「ブルックリン少尉とクスハ少尉、ゼオラとアラドで組み、模擬戦を行ってもらう」
ゼオラ「了解です。……行くわよ、アラド。集中しなさいね」
アラド「おう! 伊達に教導隊の飯をたらふく食ってんじゃないってこと、見せてやるぜ!」
〔アラド&ゼオラ、前進〕
ブリット「俺達も負けていられない……」「向こうが教導隊のプライドをもって挑んで来るなら、こっちはATXチームの誇りを懸ける!」
クスハ「ええ。頑張りましょう、ブリット君」
〔ブリット&クスハ、アラドへ接近〕
ラミア「Sフィールドでは、私とラトゥーニ少尉でアイビス達を迎え撃つ」「2対1の戦いになるが、そちらは個人用にチューンされたカスタム機だ」「数のハンディキャップはないと考えていいだろう」「それぐらいでなければ、カスタム機に存在意義などない。……わかっているな?」
アイビス「は、はい!」
ツグミ「アイビス、気合で負けちゃ駄目よ。このアステリオンAXは……」
アイビス「わかってる」「あたしやツグミ、フィリオ少佐、TDのメンバーみんなの希望を背負ってるんだからね」
ツグミ「よろしい! ナビゲーションは私に任せて、操縦に集中してね」
アイビス「頼りにしてるよ、ツグミ」
ラミア(やりがい、誇り、夢……か。どれも戦争には不要なものだ)(だが、それを信じる若い世代を、戦争をするためだけに造られたモノが指揮する……)(フッ……アクセル隊長が見たら、こんな私を笑うだろうか)
〔ラミア&ラトゥーニ、前進〕
〔アイビス、ラミアへ接近〕

マウロ「これでいいのだな、リック・ウォン?」
リック「感謝致します、准将。これでミロンガは、より完成度を高めるでしょう」
スタッフ「ルー主任、データ収集の準備が完了しました」
ジジ「ご苦労様。Nフィールドの連携戦闘、Sフィールドの高機動戦闘……」「どちらも有効なデータになるわ」(ふふ……000、待っていなさい。これであなたはさらなる力を得ることになる……)(そして、それは『001』へ受け継がれるのよ)
ラミア「エレープ1より各機へ。これより状況を開始する。訓練だと思って気を抜かんようにな」(カイ少佐のメールの件もある。このまま終わるとも考えにくい……)
アラド「了解! 行くッスよ、ブリットさん! クスハさん!」
ブリット「来い、アラド! 俺とクスハのコンビネーションを見せてやる!」
アイビス「ラトゥーニ! 他はともかく、高機動戦闘なら負けないよ!」
ラトゥーニ「プロジェクトTDの機動マニューバー、見せてもらいます」
<戦闘開始>

<ブリットvsアラド>

アラド「得意の剣術も戦闘機じゃ宝の持ち腐れッスね、少尉!」
ブリット「手に刃は無くとも心にある! 闘志という俺の剣を受けてみろ!」
アラド「な……なんかカッコいい」

<ブリットvsゼオラ>
ゼオラ「空中戦なら、負けません!」
ブリット「こっちも……結果を出してみせる!」

<クスハvsアラド>
アラド「あれだけデカい的なら、外しゃしねえ!」
クスハ「フィールドを上手く使わなきゃ……!」

<クスハvsゼオラ>
ゼオラ「向こうは空を飛べない……! こっちが有利のはず!」
クスハ「あの子の動きを読まなきゃ、やられちゃう……!」

<アイビスvsラミア>
ツグミ「気をつけて、アイビス! ラミア少尉ならガーリオンの力を120%引き出すことができるわ!」
アイビス「わかっている! だから、こっちもAXの力を引き出してみせる!」
ラミア「いい気迫だ。だが、それは同時に気負いにもなる。気をつけることだな」

<アイビスvsラトゥーニ>
ラトゥーニ「アステリオンAX……最高速度はアステリオンの120%以上……」
ツグミ「さすがね、ラトゥーニ。AXの性能を的確に分析している」
ラトゥーニ「最高速度では劣っても、迎撃は可能のはず」
アイビス「負けないよ、ラトゥーニ! あたし達だってAXの力を認めてもらわなくちゃならないんだから!」

<ラミア撃破>
ラミア「……見事だ、アイビス。また操縦技術に磨きをかけたようだな」
アイビス「い、いえ! それはAXの性能がよかっただけで……」
ラミア「それを使えるか使えないかはパイロットの技量だ。もっと自分に自信を持て」
アイビス「は、はい! ありがとうございます!」
ラミア「これで私は撃墜扱いだ。戦場から一時離脱する」
〔敵ユニット離脱〕

<ラトゥーニ撃破>
ラトゥーニ「……アステリオンAX……想像以上の仕上がりだった……」
ツグミ「ふふ……プロジェクトTDの最終機体はもっと凄いわよ」
ラトゥーニ「今のお二人なら、使いこなせると思います。……では、私は離脱します」
〔敵ユニット離脱〕

<アラド撃破>
アラド「やっぱり、厳しかった~」
ブリット「いや、お前がビルガーに乗ってたら、負けていたのはこっちだったかも知れない」
アラド「でも、機体性能に頼るなって、カイ少佐から説教食らうのは間違いないッス」「アラド機、これにてお役御免ッス」
〔敵ユニット離脱〕

<ゼオラ撃破>
ゼオラ「分離状態であそこまで戦えるなんて……!」
ブリット「いや、こっちも危ない所だった」
ゼオラ「それでも負けは負けです……」
ブリット「落ち込まなくていい。ゼオラはよく頑張ったよ」
ゼオラ「またお手合わせをお願いします」
クスハ「訓練としてなら、喜んで。私達も、もっと練習しておくから」
ゼオラ「ありがとうございます。では、ゼオラ機……後退します」
〔敵ユニット離脱〕

<敵全滅・味方援軍1&敵増援1出現>
マウロ「フン……若造共め、口ほどでもない。教導隊を名乗っておきながら、このザマとはな」
リック(結果は教導隊の敗北だったが、原因は機体の性能差による所が大きい)(そんなことも見抜けんとはな。もっとも、我々にとってはその方が都合がいい)
ジジ「どう? 必要なデータは集まったかしら?」
スタッフ「はい。どちらの部隊とも、前の大戦を戦い抜いただけのことはあります」「先程の模擬戦で補充されたデータによって……」「000の連携戦闘、高機動戦闘は、ほぼ完成したと言えます」
ジジ「では、これでトライアルで負ける要素は限りなくゼロに近くなったわね」(もっとも、万一のための切り札も用意してあるけど……)
〔味方ユニット出現〕
〔ブリット&クスハ&アイビス、ラミアへ接近〕

ラミア「こちらの完敗だったな」
ツグミ「いえ……総合的なパイロットの技量においては、むしろ教導隊側の方が上でした」「勝負をわけたのは、機体の性能差と時の運といったところでしょう」
アラド「んじゃ、お偉いさんもおれ達の実力を認めてくれたかな」
ゼオラ「そうだといいけれど……」
ラミア「……戦争は結果がすべてだ。過程を論じたところで意味はない。機体性能や運不運、すべて含めてな」「だが、巡ってきた運を活かし、機体性能を引き出せるかはパイロット次第だ。……各自、それを忘れるな」
ゼオラ「はい」
〔通信のコール音〕
マウロ「無駄話はそこまでだ。どうも貴様らは真剣さが足りん」
ラミア「マウロ・ガット准将……」
マウロ「特に、教導隊の4名には落胆させされられた。今回の結果は、貴様らの甘えが招いたものと思え」
ラミア「……はっ」
アラド(やっぱ、そういう評価か……)
ツグミ(あの人……どこを見ていたの? 彼らは機体の設定値以上の性能を引き出していたのに……)
マウロ「まあいい。続いて、次期主力量産機の評価試験を開始する」
〔敵ユニット出現〕
ラミア「来たか」
クスハ「あれがトライアル機……」
ツグミ「こちらにデータが来たわ」「ウォン重工業の人型機動兵器ゲシュタルト……VTX-000『ミロンガ』よ」
ラトゥーニ「ミロンガ……」
アラド「ひょっとして、透明になったりすんのかな?」
ゼオラ「え? 何のこと?」
アラド「あ、いや、こっちの話。それにしても面構えが悪役っぽいなぁ」
ラトゥーニ「うん……どこか不気味……」
ツグミ「N102-3型のテスラ・ドライブを積んだ汎用人型機動兵器……」「接近戦、射撃戦のバランスに優れ、専用のオプション兵器も幾つか持ってるみたいよ」
アイビス「理想的な量産機だね。けど、スピードじゃ負けないよ」
ツグミ「くれぐれも慎重にね、アイビス。AXはまだ試験段階なんだから」「機体強度に問題が残っている以上、絶対に無理はしないでね」
アイビス「わかってるよ。でも、AXを乗りこなさなきゃ、その先には到底たどり着けない……」「だから、あたし……絶対に負けないよ」
ラミア「エレープ1より各機へ。模擬戦だが、油断はするな。……イレギュラーは付き物だ」
アラド「了解ッス」
ラミア「それからブルックリン少尉、クスハ少尉は参式に合体。状況開始まで待機だ」
ブリット「わかりました。……クスハ、いいな?」
クスハ「ええ」
ブリット「じゃあ、行くぞ。TCモード起動。ガイダンス・リンク、開始」
クスハ「リンク、確認」
ブリット「参式、合体!」
〔ブリット、合体〕
スタッフ「向こうの準備も整ったようです」
ジジ「手加減して勝てる相手ではないわ。システムのリンクレベルは、7にセットしなさい」
スタッフ「了解です」
〔ミロンガ、精神コマンド「集中」「加速」「ひらめき」使用〕
マウロ「双方とも、準備はいいな? では、カウントダウンを開始する」
ジジ「5秒前……4……」
アイビス「………」
ブリット「………」
ラミア「………」
ジジ「3……2……1……0」
マウロ「状況を開始せよ」
ラミア(カイ少佐のメールの件もある。イレギュラー……起こらなければ、それに越したことはないが……)

≪味方援軍1出現後≫
<ブリットが戦闘>

ブリット「動きは向こうの方が格段に上……! 肉を切らせて骨を断つしかない!」

<ラミアが戦闘>

ラミア(何だ? この違和感は。あまりにも無駄のない……無機質な動きだ)(違和感というよりは……共感と言った方がいいかもしれない。この機体……有人機ではない……?)

<ラトゥーニが戦闘>
ラトゥーニ(現行機の水準を越える性能……。確かに、この機体が採用されれば戦力になる)(でも、あんな機体を扱えるパイロットは……)

<アラドが戦闘>
アラド「こいつ、マジで速い! 動きがよく見えねえ!」「ホントに消えてんじゃねえだろうな!?」

<ゼオラが戦闘>
ゼオラ「さすがに高性能ね……! でも、負けてられない!」「機体の性能だけで勝敗が決まるわけじゃないんだから!」

≪味方援軍1出現後≫
<アイビスが戦闘>

ツグミ(もし、ミロンガがスペック通りの性能を発揮したら、中のパイロットは……)
アイビス「どうしたの、ツグミ!? ぼうっとしてるとやられちゃうよ!」
ツグミ「気をつけて、アイビス! この機体……私達が考えている以上に危険なものかもしれない!」

<敵3機撃破>
リック「ぬう……また撃墜されただと…!?」
マウロ「どういうことだ、これは?」
リック「……わかっております。少々お待ちを。現場へ指示を与えますので……」
ジジ「……レベル7のミロンガを落とすとはね。さすがだわ」
スタッフ「どうします、主任? 社長から、あらゆる手段を使ってでも結果を出せとの指示が出ていますが……」
ジジ「では、ODEシステムを起動させるわ」
スタッフ「よろしいのですか? 社長はミロンガにあれが搭載されていることをご存じではありません」
ジジ「彼はあらゆる手段を使ってでも、と言った。ならば、それに従いましょう」
スタッフ「……了解です」
アラド「くっ! 今の所は優勢だけど、あいつらメチャはええ~!」
ラトゥーニ「運動性はフェアリオン並かも」
ゼオラ「あんな動きで中のパイロットは大丈夫なの……!?」
アイビス「どんなGキャンセラーでもあれだけの機動のG全てを相殺するなんて無理だよ……!」
ツグミ「向こうには私達の知らないような装備があるということなの……?」
ジジ「残るミロンガのODEシステムをSAモードで起動。最悪、ターゲットは破壊してもかまわないわ」「ただし、テストパイロットのモニターは中止。余計なデータを残さないように」
スタッフ「了解です。センサー類の不調ということにしておきます」
〔データの転送音〕
アイビス「ミロンガが動きを止めた……?」
ラトゥーニ「マシントラブル……?」
〔ミロンガ、精神コマンド「必中」「ひらめき」「鉄壁」「ド根性」使用〕
〔ミロンガ、アイビスへ隣接〕
〔アイビスに爆発〕

アイビス「くっ! な、何なの、いったい!?」
ツグミ「ミロンガのスピード、25%アップ! 追いきれない!」
ゼオラ「そこまで運動性が上がるなんて……何かのブーストなの!?」
アイビス「それに……あの機体、こっちを完全に破壊しようとしていた……!?」
ラミア(起こったか……イレギュラー。いや、むしろ予定されていたことか?)
〔通信のコール音〕
ラミア「エレープ1よりCCへ。状況の説明を求む」
マウロ「その必要はない。状況を続行せよ」
ラミア「………」(なるほど、我々は生贄に選ばれたということか。……だが、そうはいかん)「エレープ1より各機へ。ミロンガの連係を崩す。1機に攻撃を集中させる……!」
ゼオラ「りょ、了解です!」

≪敵3機撃破後≫
<ブリットが戦闘>

ブリット「あの状態からさらにスピードアップするなんて! どうなっているんだ!?」

≪敵3機撃破後≫
<ラミアが戦闘>

ラミア「この機体速度、そして無機質な戦闘パターン……やはり人間が動かしているとは思えん」

≪敵3機撃破後≫
<ラトゥーニが戦闘>

ラトゥーニ「さっきまでの戦闘データがまるで役に立たない……!」「あの機体のモーションパターン……リアルタイムで更新されている……!?」

≪敵3機撃破後≫
<アラドが戦闘>

アラド「くそっ! あいつ、どんな裏技を使ってやがんだ!?」

≪敵3機撃破後≫
<ゼオラが戦闘>

ゼオラ「コックピットを狙ってきてる……! これも准将の指示だと言うの!?」

≪敵3機撃破後≫
<アイビスが戦闘>

ツグミ「あり得ないわ……! こんなスピードじゃ、中のパイロットは……」
アイビス「相手がどんな手段を使っていようと負けるわけにはいかない!」「向こうが本気でこっちを潰す気だとしても、AXとプロジェクトTDは守ってみせる!」

<敵1機撃破・勝利条件達成>
アラド「ちっ! あいつら、いきなり強くなりやがって!」
アイビス「このままじゃ、こっちが保たない……!」
アラド「何か上手い手はないんスか!?」
ラミア「……ミロンガの動きには一定のパターンがある。それも各機共通だ」
アイビス「なら、そのパターンをつけば相手より先に動けるんですか!?」
ラミア「……ただし、ミロンガ以上に速く動ければ、だ」
アラド「無理! 無理ッス!!」
アイビス「………」
ラミア「ならば、次の方法を考えるしかない」「動作をパターン化できる……その理由は、向こうが我々の動きを予測しているからだろう」
ラトゥーニ「しかも、対処策まで講じられている……」
ラミア「それを崩すには、相手の予測を上回る行動をとる……つまりは意表を突くしかあるまい」
アラド「意表を突くって……お尻ペンペンしてみるとか!?」
ゼオラ「敵に後ろを見せてどうすんのよ!」
ラトゥーニ「不用意な動きをすれば、ミロンガのスピードの餌食になるわ」
ブリット「……ラミア少尉……意表を突きさえすればいいんですね?」
ラミア「ああ」
ブリット「なら、自分に任せて下さい」
クスハ「ブリット君……!」
ブリット「参式のスピードじゃ、接近するまでにミロンガの的になってしまうかも知れないが……」「念動フィールドで何とかしのぎきる。協力してくれ、クスハ」
クスハ「わ、わかったわ」
アラド「その前に、おれ達が囮役になるッス!」
ゼオラ「量産型のMk-IIじゃ、ミロンガの動きにはついていけませんが、牽制ぐらいなら!」
ラトゥーニ「対象を分散させれば、そちらが集中攻撃を受けずに済みます」
ブリット「わかった。頼むぞ!」
ラミア「相変わらず、無謀な作戦だな、ブルックリン少尉」
ブリット「……そう思います。でも、自分もATXチームの端くれ。これくらいのことは……!」
ラミア「フッ、私も元アサルト4だ。無謀だとか、無茶だからといって、別に止めはしない」「……うまくやれ、ブルックリン・ラックフィールド」
ブリット「了解っ……!」
ツグミ「アイビス……!」
アイビス「言われなくてもわかってる! あたし達もやろう!」
ラミア「よし、各機は陣形を立て直せ」
〔味方全機、後退〕
〔ミロンガ隊、ブリットへ隣接〕

ラミア「攻撃開始……ッ!」
〔ラミア、迷走〕
〔ラトゥーニ、迷走〕
〔アラド、迷走〕
〔ゼオラ、迷走〕
〔アイビス、迷走〕
〔ミロンガ、迷走〕

ラトゥーニ「ミロンガの動きが乱れた……!」
ブリット「そこだぁぁっ!!」
〔ブリット、ミロンガへ隣接〕
クスハ「ブリット君!」
ブリット「今だ!」
〔ブリット、分離〕
〔クスハ、ブリットと小隊統合〕
〔ブリット、ミロンガへ攻撃〕
[イベント戦闘「ブリットvsミロンガ」]
〔ミロンガに爆発〕
〔ミロンガ、後退〕

ブリット「どうだ! 分離攻撃のデータは持ってないだろう!」「俺達も初めて試してみたんだからな!」
クスハ「ブリット君、再合体を! 最後は参式で!」
ブリット「ああ!」
〔クスハ、ブリットから小隊離脱〕
〔ブリット、合体〕
〔ブリット、ミロンガへ隣接〕
〔ブリット、ミロンガへ攻撃〕
[イベント戦闘「ブリットvsミロンガ」]
〔敵ユニット撃破〕
アラド「やったぜ、あの二人!」
ゼオラ「いけない! もう一機が!!」
〔ミロンガ、ブリットへ隣接〕
ラミア「いかん……! 回避しろッ! ブルックリン!」
ブリット「くっ、体勢が整わない!! このままでは!」
アイビス「ツグミ! やるよ!!」
ツグミ「やるって……まさか!?」
アイビス「あのミロンガ以上のスピードで、あいつらのデータにない攻撃……! 迷っている時間なんてない!」「いくよ! マニューバーGRaMDs!!」
〔アイビス、ミロンガへ隣接〕
〔アイビス、ミロンガへ攻撃〕

[イベント戦闘「アイビスvsミロンガ」]
〔ミロンガに爆発〕
アイビス「やった……やったよ、ツグミ! できたよ、GRaM系のマニューバーが!」
ツグミ「ふう……ぶっつけ本番だったけど何とか形になったわね」
ラトゥーニ「マニューバーRaMVs以上の難易度……あれがGRaM系の マニューバー……」
〔アイビスに爆発〕
アイビス「こ、これは!?」
ツグミ「エンジンブロー!? 今のAXの機体強度じゃGRaMDsは無理だったの!?」
アイビス「くっ! お、落ちる!!」
〔アイビス、後退〕
〔アイビスに爆発〕
〔アイビス、着地〕

アラド「アイビスさん!」
クスハ「応答してください、アイビスさん! ツグミさん!」
アイビス「う、うう……ツグミ、大丈夫……?」
ツグミ「な、何とか……。でも、アステリオンは……」
〔ミロンガ、アイビスへ接近〕
ゼオラ「そんな!」
アラド「あいつ、まだ動けるのかよ!!」
アイビス「う、撃たれる!?」
〔エラー音〕
〔システムダウンの音〕
〔ミロンガに爆発〕
〔ミロンガ、着地〕

アイビス「動きが……止まった……?」
ラトゥーニ「マシン……いえ、システムのトラブル?」
ゼオラ「こちらを本気で狙ったかと思えば、突然動きを止めた……」
アラド「いったい何なんだ、あいつはよ!?」
ツグミ「ウォン重工業のゲシュタルト……あんな機体が主力機になったら……」
ラミア(とりあえずは終わったか……)(だが、本当に生贄にしたかったのは我々か? ……それとも……)
【戦闘マップ終了】

【シナリオエンドデモ開始】

地球連邦軍アビアノ基地
オペレーター「ミロンガ各機の収容作業、終了しました」
マウロ「パイロットはどうなった?」
オペレーター「……全員、死亡しています」
マウロ「何だと……!? リック・ウォン、これが貴様の言う結果か!?」
リック「……問題点はVTX-001で改善します」
マウロ「搭乗者が死亡するような機体が使い物になるのか……!?」
リック「ですが、他社の候補機と圧倒的な性能差を誇り、歴戦のパイロットの駆る最新型の機体を追い詰めたのは事実です」「それで上層部も納得するでしょう」
マウロ「パイロット死亡の件が、公にならなければの話だがな」
リック「001の採用はミツコ・イスルギ社長とあの方の意向でもあります」
マウロ「だが、彼らは今回露呈した新たな問題点を知らん」
リック「情報は隠蔽すべきでしょうね」
マウロ「私にその片棒を担げと?」
リック「ここまでくれば一蓮托生ですよ、マウロ准将……」
マウロ「フン……次期主力機のお披露目は、予定通り伊豆で行う」「それまでに問題点を確実に改善し、001に反映させろ」
〔扉の開閉音〕
リック「………」(問題なのは機体ではない……。ジジ・ルー……あの女かも知れん……)

トライアル場
ゼオラ「え? ツグミさん達はテスラ研へ戻られるんですか?」
ツグミ「ええ……。AXの修理をしなきゃいけないし、プロジェクトTDのプログラムも残っているしね」
アラド「それにしても凄かったッスね、ミロンガを撃墜した最後の攻撃! こうガーッと飛んでいってグワーッと急旋回して……」
アイビス「あれはマニューバーGRaMDs……。GRaM系マニューバーの基本だよ」
ゼオラ「GRaMDs……? 前のアステリオンでやっていたRaMVsとは違うんですか?」
アイビス「うん……GRaMはグラヴィティコントロール・ラピッド・ アクセラレーションの略……」「つまり、テスラ・ドライブによる重力制御応用の急加速突撃なんだ」
ツグミ「GRaM系のマニューバーは、テスラ・ドライブを完全に制御できて初めて完成するマニューバーなの」
アイビス「プロジェクトTDのパイロットには必須となるテクニックだから、あたしもインスペクター事件の後、ずっと練習していたんだ」
ツグミ「もっとも、アイビスが実機で成功したのは今日が初めてだけどね」
アラド「じゃあ、一歩間違えれば……」
ツグミ「機体が空中分解するか、地面に叩きつけられていたわね」
ブリット「そんな危険を冒すなんて……」
アイビス「あの場では、GRaMDsをやるしかなかったからね……」「それに結局、墜落しちゃったからやっぱり成功とは言えないよ」
ツグミ「今のAXの機体強度じゃ、あれが限界……。テスラ研に戻って、データの見直しをしなくちゃ」
ラミア「そうか。タカクラチーフには、ミロンガのデータ解析をしてほしかったが……」
〔足音〕
ジジ「……その必要はありません。ミロンガの問題点は既に解決されつつあります」
クスハ「え?」
ジジ「私はジジ・ルー。ウォン重工業のシステムエンジニアで、ミロンガの開発担当者です」
ツグミ(ジジ・ルー……どこかで聞いたことがあるような……)
アイビス「……ジジさん、あなたに聞きたいことがあるんですが……」
ジジ「何でしょう?」
アイビス「ミロンガのテストパイロットはどうなったんです?」
ジジ「どうなったと言いますと?」
アイビス「あたしは、これでもアストロノーツとしての訓練を受けてきています。だから、わかるんです」「あのミロンガのスピードじゃ、操縦しているパイロットが無事ではすまないことが」
ジジ「ご心配なく。彼らには何の問題もありません」
ブリット(信じられない……。どういう鍛え方をしているんだ?)
アイビス「本当にですか……?」
ジジ「ええ。嘘をつく必要などありませんし」
ツグミ「なら、ミロンガには余程優秀なGキャンセラーが搭載されているようですね」
ジジ「何か不審な点でも?」
ツグミ「……いえ」
ジジ「ともかく、結果はご覧の通り……。最終的に敗れはしましたが、模擬戦ではあなた達の機体と互角以上に戦いました」「そして、軍上層部もそのことを評価しています」
ラトゥーニ「では、トライアルの結果は?」
ジジ「私共のミロンガの後継機が次期主力量産機の内定を受けました」
ブリット「後継機……?」
クスハ「ミロンガが採用されるんじゃないんですか?」
ジジ「ええ。平行して開発が進められているVTX-001『バルトール』が、連邦軍の次期主力機として選ばれたのです」
ラトゥーニ「バルトール……」
ラミア「ほう……すでに後継機まで開発されていたとは、随分と気が早い話だな」
ジジ「私共にとっては、社運を賭けたプロジェクトですから。先を見越して開発を進めておりました」
ラミア「だが、今回のトライアルに提出されていないバルトールが、次期主力機として選ばれた点……不自然に感じるが?」
ジジ「ミロンガとバルトールは形状が違えど、コンセプトや基本構造は同じ……」「故に、ミロンガの評価はバルトールにもあてはまります」
ブリット「そんな……」
アラド「じゃ、何でバルトールをトライアルに出さなかったんスか?」
ジジ「ロールアウトが間に合わなかったのです。そのため、止むを得ず、試作機であるミロンガを提出しました」
ラミア「……そのバルトールの状況は?」
ジジ「現在、最終調整中です。そして……完成次第、あなた方教導隊へ配備されることになるでしょう」
ラミア「ありがたい話だ。あれで本当に、パイロットが無事ならば、な。……バルトールに関するデータはこちらにも?」
ジジ「無論です。……では、私はこれで」
〔足音〕
ゼオラ「ラミア少尉、今の話は……」
ラミア「……始めから、そのバルトールとやらの採用が決まっていた、と考えるのが自然だな」
ツグミ「それで他の候補機の評価試験を行わなかったのかしら……」
アラド「もしかして、おれ達……出来レースの手伝いをしたんですか?」
ラミア「おそらくは。すまんが、タカクラチーフ……」
ツグミ「ええ……テスラ研に帰ってから私の方でもミロンガやバルトールについて調べてみます」
ラミア「頼む。……鬼が出るか、蛇が出るかはわからんが、捨て置くわけにもいくまい」
ブリット「どうにもキナ臭い話ですね」「……それにしても、少尉」
ラミア「なんだ? ブルックリン少尉。私の顔に何か付いているか?」
ブリット「いえ……今日の少尉は、いつもと違う感じがするので……理由はわかりませんけど」
ラミア「……敬語を使っていないからな」
アラド「ああ、なるほど! 『捨て置いたりしちゃったりはいくまいのですぅ!』……じゃ、締まらないッスからね!」
ラミア「アラド曹長、あとで私の所へ来るように」
アラド「うへぇ。とりあえず、鬼が出ちまったかぁ~」

地球連邦軍アビアノ基地
スタッフ「……大連の工場では、先行量産型の生産ラインがいつでも稼動可能な状態になっています」
ジジ「ヘルゲートの方は?」
スタッフ「データが揃い次第、稼動できます」
リック「………」
ジジ「社長……お聞きの通り、計画は順調です」
リック「……ジジ、聞きたいことがある」
ジジ「何でしょう?」
リック「お前の本当の目的は何だ?」
ジジ「もちろん、バルトールを完成させることです」
リック「それだけではあるまい?」
ジジ「以前にも申し上げたはず……。私は、日の目を見ることがなかったプロジェクトを完遂させたいのです」
リック「……ならば、ミロンガの仕様書を再提出しろ。そして、問題点の改善を急げ。イスルギや軍上層部に真相を知られる前に、だ」
ジジ「わかりました」
リック「……私と私の会社がなければ、お前達のプロジェクトは闇に葬られたままだった。そのことを忘れるなよ」
〔扉の開閉音〕
スタッフ「ルー主任……」
ジジ「……私達の計画の進捗状況は?」
スタッフ「そちらも順調です。特別仕様のバルトールは、明後日に完成する予定です」
ジジ「そう……まったくもって順調ね」
スタッフ「実行はいつなのです?」
ジジ「お披露目当日よ。そして……その後、バルトールがこの星を護る新たな力となる」「ユルゲン博士の狙い通りに……ふふふふ……」

ヘルゲート

ヘルゲート内部
ロレンツォ「ユルゲン博士、これはどういうことだ? 何故、バルトールが……!」
ユルゲン「全ては……私の計画通りだ」
ロレンツォ「貴様……!」
ユルゲン「中佐……私の協力者に会いたいと言っていたな?」
ロレンツォ「!?」
ユルゲン「案内しよう……“彼女”の下へ」
ロレンツォ「何!? ヘルゲートの内部にいるのか!?」
ユルゲン「そうだ。さあ、行こう……」「そして、ODEシステムと共に地球圏の守護者となるのだ……」
〔銃声〕
ユルゲン「ぐっ!!」
ロレンツォ「ユルゲン……貴様は!!」
ユルゲン「ロレンツォ……私を殺せば……止まらなくなるぞ……!」「全てがな…!!」
ロレンツォ「……!!」
【シナリオエンドデモ終了】


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