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No.35
楽園からの追放者

【シナリオデモ開始】
???
ギリアム「……」
レーツェル「よく来てくれた、友よ」
ゼンガー「……久しぶりだな、ギリアム・イェーガー」
ギリアム「ゼンガー……。なるほど、ここがお前達の隠れ家ということか」
レーツェル「そうだ。私とゼンガーは公の場に出られる立場ではないのでな」
ギリアム「フッ……よく言う」
レーツェル「……ささやかだが、食事を用意した。我々の再会を祝して乾杯しよう」
ギリアム「再会、か……」
ゼンガー「ここにカイ少佐がいれば、旧教導隊のメンバーが揃ったのだがな」
ギリアム「L5戦役の後、彼にも声はかけたさ。しかし、現場にいる方がいいと言われてね」
レーツェル「だからこそ、我々はこうして動くことが出来る。そうだろう、ギリアム?」
ギリアム「ああ」
レーツェル「さあ、乾杯だ。今は亡きカーウァイ・ラウ隊長、テンペスト・ホーカー……」「そして、ハガネにいるカイ少佐に……我らの仲間達に」
ゼンガー「乾杯」
ギリアム「乾杯」
レーツェル「……本日のメインディッシュはスズキのポワレだ。食材は先程ゼンガーが釣ってきた」
ギリアム「ほう、それは楽しみだ。ところで、ゼンガー……お前は確か」
ゼンガー「心配いらん。これはウーロン茶だ」
レーツェル「それも福建鉄観音、ジーピン……入手に少々苦労した」
ギリアム「ふふ、相変わらずの拘りだな」
レーツェル「それで、ギリアム……君のメインディッシュについて聞かせてもらおうか?」
ギリアム「……」「……お前達も知っての通り、連邦政府と連邦軍上層部はグラスマン派に掌握された」
レーツェル「今の地球圏に必要なのは神の盾ではなく、鎌……その流れは抑えきれなかったか」
ギリアム「ああ。紆余曲折があったとは言え、結果的にビアン博士とマイヤー総帥の目的は達成されたことになる」
ゼンガー「……」
レーツェル「……」
ギリアム「ミッドクリッド大統領は自らの意思で辞任……その後はグライエンに委ねられる」
レーツェル「大統領は何と?」
ギリアム「先程のお前と同じことを言い、自分の派閥を説得したそうだ」「そのおかげで体制はさしたる混乱もなく、グライエン派へ移行している」
レーツェル「……無駄な血を流すのを避けたか。彼らしいな」
ギリアム「異星人の脅威にさらされている今という状況ではやむを得ないことかも知れん……」「だが、問題はその後だ。利権に目がくらんだ者達や、イスルギを始めとする戦争商人……」「そして、『影』が地球圏を貪り尽くすだろう」
ゼンガー「影……?」
レーツェル「それがお前の本命か」
ギリアム「そうだ。彼らが本格的な動きを見せ始めた……俺はそれを止めねばならん」
ゼンガー「もしや、その連中は俺の写し身を送り込んできた……?」
ギリアム「ああ。この世に在らざる兵器を使う者達……その名をシャドウミラーと言う」
レーツェル「シャドウミラー……」
ゼンガー「何者なのだ、奴らは?」
ギリアム「……」
ゼンガー「ギリアム?」
レーツェル「言えぬ理由があるのだな」
ギリアム「すまん。今はまだ……」
ゼンガー「……」
ギリアム「……シャドウミラーの動きは掴みにくい……」「そして、俺も彼らに動きを掴まれるわけにはいかなかった」「チャンスは今しかない。彼らが表に現れ、単独で行動している今しかないのだ」
レーツェル「それで、我々と行動を共にすることが出来ないと言うのか?」
ギリアム「ああ。シャドウミラー本隊がハガネやヒリュウと接触したおかげで、おおよその位置がつかめた……」「だから、俺は行く。俺という存在が引き起こした事態を収拾するために」
レーツェル「……」
ゼンガー「……」
レーツェル(……クロガネの改修にはもう少し時間がかかる。それに、ビアン博士の遺産も……)
ゼンガー「レーツェル、すぐに参式の出撃準備を頼む」
ギリアム「!」
レーツェル「了解した。私も付き合おう。それから……マオ社のオルレアン工場から例の物を引きあげてある。調整も終わっている」
ギリアム「もしや、それは……! しかし、ゼンガー……レーツェル……」
ゼンガー「お前ほどの男が倒さねばならぬと言う相手だ。放っておくわけにはいくまい」
レーツェル「我々もまたハガネやヒリュウ改の影となりて動く者……」「同じ影同士、相応しい対決かも知れんな」
ギリアム「二人とも……すまない」
ゼンガー「構わん」
レーツェル「そうと決まれば、残りの皿は取っておくとしよう。……敵の位置が確定し次第、出るぞ」
ゼンガー「承知した」

個室
ラミア「う……ここは……? …どういうことだ? 私はアンジュルグもろとも…」(各部に損傷はなし…まさか、自爆装置が完全に機能しなかったとでも?)(それに…ここは? ハガネでもヒリュウ改でもない……。状況を把握が最優先か)
〔扉の開閉音〕
ラミア「む…! 誰だッ!?」
レモン「…はぁい、W17。お目覚めのようね」
ラミア「レモン…様…? あなたがおられるということは…ここはシロガネ…」「ん? 言葉が……」
レモン「言語中枢は修復済みよ。私はかまわないけど、いつまでもあの喋り方じゃ、あなたのイメージが…ね」
ラミア「…ありがとうございます。レモン様、あなたがご無事で…私にも損傷がないということは、アンジュルグの自爆は…」
レモン「ご安心なさいな。私は回避が早かっただけよ」「ツヴァイは大きなダメージを受けたわ。システムXNの一部が損傷…あの場で撤退せざるを得なかった」「…つまり、あなたの試みは成功したってこと」「後のことは簡単よ。奇跡的に残ったコックピットブロックを回収…損傷個所を修理したのよ。言語系も含めて、ね」
ラミア「ありがとうございます…。それで…私を生かした理由は何ですか?」
レモン「ふふ…さすがに勘がいいわね、W17。…わけを聞かせてもらおうと思ってね」
ラミア「……」
レモン「あなたは指令を無視したばかりか、味方である私達もろとも消えようとした」「…この世界に…我々の胃婆所はありません。それが…わかっただけです。だから私は…」
レモン「そこよ。あなたには……いえ、Wシリーズには指令に対して疑問を持つどころか……」「それに逆らって行動するような思考ルーチンを組み込んではいないのよ?」
ラミア「では、私は…やはり壊れているのでしょうか? 修理をされたはずの今でさえ、その気持ちは…」
レモン「…修理をしたのは身体と、言語系のみよ。それ以外は、今までのあなたのまま」
ラミア「……」
レモン「あなた…まるで人間になったようね」
ラミア「人間…? レモン様、私はWシリーズ…作られた物です」「創造主である、あなたの意にそむく…そんなことが許されるわけがありません」
レモン「ある意味…あなただけが、私の望むままの存在になりつつあるのかも、ね…」
ラミア「…え?」
レモン「ハガネとヒリュウの確保…その指令を伝える時、自分で考え、自分で決めろ…そう言ったわよね?」
ラミア「…はい、その結果…私は…」
レモン「そう、完全な自我の確立…。Wシリーズは本当の意味で“自分で考え、決める”ことはできないように作られているの」「だけど…あなただけがそのステージまで上がることができた…」「シャドウミラーが求める、兵器としてのWシリーズという意味では失敗作…」
ラミア「………」
レモン「でも…科学者としての私が、あなた達に望む最終形…それがあなたよ」
ラミア「…レモン様が望んだ…もの?」
レモン「テストケースとして、W15にはゼンガー・ゾンボルトの人格をインプット…彼はそのように振舞ってはいるけど…」「それはオリジナルでなく、コピー…“ゼンガーならばこう判断するだろう”…という、シミュレーションに過ぎない」「しかも、W15を安定させるにはメイガス・ゲボの存在が必要だった…つまり、彼は自分の力で自身を律することができない」
ラミア「……」
レモン「でも…あなたにだけは、あなただけの自我が生まれた」「…与えられた指令に従わず、自分自身の意思で判断し、行動するという…ね」「した」「つまり、目覚めた方向が私のプランとまったく正反対。……素直には喜べないわね」
ラミア「…これから私は…どうすればいいのですか…? レモン様の望む者…それに私がなれたとしても、Wシリーズとしては失敗作…」「この世界には居場所がなく、Wシリーズとしての使命も果たすことができない…。では、私は…」
レモン「思い悩むことはないわ。また、決めればいいだけのことよ」「あなたの力は、私がよくわかっているわ。…どう? 戻って、また力になってくれないかしら?」
ラミア「………」「…はい。レモン様がそうおっしゃるのならば」
レモン「…ダメよ、W17。あなた自身が決めるの。Wシリーズとしての…いいえ、ラミア・ラヴレスの意思でね」
ラミア「…………」「……出ます」
※※ヴァイサーガ入手フラグ成立の場合のセリフ※※
レモン「ふう……。後部格納庫にヴァイサーガが置いてあるわ。それに乗ってお行きなさい」
ラミア「……!」
レモン「それと…壊れたアンジュルグも廃棄しておくわ。もし使う気があるなら、後で回収なさいな」
ラミア「…ですが、あれには…」
レモン「ふふ、安心なさい。2機とも自爆装置はつけていないから」
※※アシュセイヴァー入手フラグが成立している場合のセリフ※※
レモン「ふう……。後部格納庫にアシュセイヴァーの3号機が置いてあるわ。それに乗ってお行きなさい」
ラミア「……!」
レモン「それと…壊れたアンジュルグも廃棄しておくわ。もし使う気があるなら、後で回収なさいな」
ラミア「…ですが、あれには…」
レモン「ふふ、安心なさい。2機とも自爆装置はつけていないから」
※※ヴァイサーガorアシュセイヴァー入手フラグが共に不成立の場合のセリフ※※
レモン「ふう……。後部格納庫にアンジュルグが置いてあるわ。それに乗って行きなさい」
ラミア「……!」
レモン「ふふ、安心して。修理は完全、自爆装置は取り除いてあるわ」

ラミア「レモン様……」
レモン「味方が寝返る……これも戦争の常よ。私達が望んだ世界にはつきもの」「ただ、それが…その世界を支えていくはずだったWシリーズの最高傑作だったのは、皮肉なことだし…」「寝返る理由が、科学者にとってはこれ以上ない、喜ぶべきことだった…まったく複雑な気分ね」
ラミア「…申し訳ありません、レモン様。ですが、あなたによって与えられた命…そして…あなたによって与えられたチャンス…」「この戦争で、力の限り使います」(そして…最後は…)
レモン「これで私とあなたは敵同士…見せてもらうわ…あなたがどこにたどり着くのか」
ラミア「…はい。では…」
レモン「…W17、行く前にもう一つだけ聞かせて」「ATXチームのエクセレン・ブロウニング…彼女は…どんな子だった?」
ラミア「やはり、彼女とレモン様には関係が……?」
レモン「……」
ラミア「もしや、『向こう側』では…肉親…」
レモン「さあて、ね」
ラミア「……」
レモン「で、どんな子?」
ラミア「ベーオウルフのパートナーです。つかみどころのない、不思議なお方。…私にもよくして下さいました」「そして……どことなく雰囲気が似ています。レモン様と……」
レモン「そう……。何故、そのことを最初に報告しなかったの?」
ラミア「…自分でもよく分かりません。何故か…伝えてはいけないような気がしました」「そして、それはエクセレン・ブロウニングにも……」
レモン「………」「そのあたりからだったのね、あなたに変化が起こり始めていたのは」
ラミア「…おそらくは」
レモン「じゃ、エクセレンの話をしてくれたお礼に、一つだけ教えてあげましょう」「アギュイエウスの扉……もうじき開かれることになるわ」
ラミア「……! もしや、システムXNが?」
レモン「例の機能回復にはもう少し……後はコアを手に入れさえすれば」
ラミア(コア……ヘリオスか。だが、あの男の行方はまだ……)
レモン「システムXNの設置は…さっき話したわよね?」
ラミア「ツヴァイザーゲイン。アンジュルグの自爆装置でも破壊までにはいたらなかった…」
レモン「さ、急ぎなさい。すぐにこの艦はアクセルの部隊と合流するわ。顔なんか合わせたら、ただじゃ済まないわよ?」
ラミア「…はい。では、レモン様…私は行ったり来たりなんかしちゃ…む!?」
レモン「あらあら…やっぱりね」
ラミア「レモン様、これは…。言語系は修理してくださったのでは…」
レモン「…パーツ交換をしてしまえば簡単だったんだけど…それだと、メモリーの一部が消えてしまうのよ。ほんの少しだけどね」「今のあなたを形成しているものが、そこに含まれているかもしれない…そう考えたら、パーツ交換はできなくなってしまったのよ」「バグが少し残るかも…とは思ったけれど、本当に残っちゃってたわね」「…どうする? 交換するならやってあげるけど? 時間はかからないわよ」
ラミア「いえ、すばらしい判断です。私を私のままにしてくれたこと…感謝しちゃいますのです…レモン様」
レモン「ふふ…お行きなさい、W17」「私とあなた…どちらの戦いが正しいのか…この戦争の行く先が、それを証明してくれるでしょう」
ラミア「はい。…お元気で、レモン様」
【シナリオデモ終了】


サブタイトル
「楽園からの追放者」


【戦闘マップ開始】
〔敵ユニット出現済み〕
量産型W「こちらMW2441。基地の制圧、及び補給物資の確保を終了」
アクセル「わかった。まもなくシロガネが来るはずだ。搬入準備を急げ」
量産型W「了解」
アクセル(…Wシリーズ、か。造反したW17を確保したと連絡を受けたが…普通に考えれば解体処分だな、こいつは)(どうやら完全におかしくなっていたか)(…だが、そんな不良品が、あそこまでの腕を持っているものか?)(それに、以前おれに意見をしてきたことといい、人形達の中ではやはり別格だ。…おれと唯一引き分けたWナンバー…)(…フッ。おれとしたことがな。戦争のために生み出された人形を気にかけるとは)
Sミラー兵「アクセル隊長、シロガネが来ました」
アクセル「…ああ、了解した」
〔敵ユニット出現〕
アクセル(護衛にW15とW16が見当たらんな。伊豆で後詰めに回っているのか?)「こちらアクセル・アルマー。シロガネ、応答しろ」
〔カーソル、リーを指定〕
アクセル「どうした? リー艦長」
〔リーに爆発〕
〔画面、振動〕

アクセル「!」
〔味方ユニット出現〕
リー「おのれ、ハッチが破られたか!」
アクセル「なんだ!? ハッチを破壊して…出撃!? それに、あの機体は…!」
ラミア「…む!? あれは…ソウルゲイン…! どうやら最悪のタイミングで飛び出してしまったようだな…」
アクセル「まさか、W17か!? その出撃の仕方をみると、再調整された…というわけではないようだな、こいつは」
ラミア「アクセル隊長…その通りです。私は戦うために出撃しました。私の戦いを…私の意思で…!」
アクセル「何だと…?」(こいつ…やはり他のナンバーとは違う…)
ヴィンデル「レモン、何故W17があれに乗っている?」
レモン「さすがは私の最高傑作ね。再調整をほどこすつもりだったのに…その前に脱走されたようね」
ヴィンデル「レモン、奴に情が移ったか…!」
レモン「あわてないで。私まであの子みたいに裏切ったりはしないわ。それだったら、もうちょっと逃がすタイミングを考慮するわよ」「こんな、間違いなく破壊される状況で飛び出させはしない…」
ラミア「………」
レモン(ここで散るなら、そこまで…あなたの行く道は険しくてよ? W17…)
ラミア「………」
アクセル「…W17、武装解除しろ。今戻るなら見逃す。レモンに再調整をしてもらえ」
ラミア「それでは、今の私は失われてしまいます。そうならないために…私は出てきたのです」「Wナンバーとしての自分から…決別するために」
アックセル「決別、か。おれも『向こう側』と決別するためにここへ来た。貴様も同じ理由で自分の世界を捨てるつもりか?」
ラミア「…そういうことになるのでしょう。…ですが、もう決めたのです、アクセル隊長」
アクセル「…わかった。行きたければ、おれを倒すことだ」
ラミア「…了解」
アクセル(言語系の異常は修正されている、か。レモンがそんな半端な調整をするはずがない…まさか、あいつ…)
レモン「………」
〔アクセル、前進〕
アクセル「他の者は手を出すな。裏切り者のW17…これも隊長の責任だ。…相手はおれがする」
ラミア「一対一で、私との決着…こだわっているようですね、隊長」
アクセル「フッ…そうだな。おれの性分だ」「……ヴィンデル、リー。見物していないで、お前達は補給物資の搬入を急げ。…カタはすぐにつく」
ヴィンデル「了解した。任せる」
〔リー、前進〕
〔リー、潜水〕

アクセル「…来い、W17」
ラミア「了解です。命令ではなく、自分の道を行くために…あなたを倒します、隊長」「立ち塞がるのなら、撃ち貫くのみ…」
アクセル「気に入らん物言いだな、こいつが」「貴様が影響を受けた連中…予想がつく。…となれば、ますます貴様には負けられん…!」
<戦闘開始>

<2PP>

アクセル「W17、貴様の思惑がどうであれ…指令に従わず、レモン達を殺害しようとした」「その報いは受けてもらうぞ」
ラミア「…もとより覚悟の上です」
アクセル「力のあるイレギュラーほど厄介なものはない」「それは世界のバランスを崩す存在…おれの望む世界には必要ない、これがな」
ラミア「わからなくはありません。…しかし、そのような力が時に必要になる…それが今であると、私は信じる…!」

<3PP・味方援軍1出現>
アクセル「……どうした、W17? 最初の元気はもうないようだな。…現実はこういうものだ、これがな」
ラミア(わかってはいたが…やはり、こちらの方が圧倒的に不利…)(何かきっかけがあればいいのだが…)
〔警報〕
アクセル「!」
ヴィンデル「何だ?」
リー「こちらへ急速接近中の物体あり」「数は3。反応から見て、特機とパーソナルトルーパーだと思われます」
ヴィンデル「ハガネの手の者か?」
〔味方ユニット出現〕
ラミア「あれは……!」
リー「ヒュッケバインMk-IIIとグルンガスト参式、それに……」
アクセル「黒いゲシュペンストだと? だが、あの形は……!」
ラミア「こちらの量産型とも違う。アルトやヴァイスのようなカスタムタイプか?」
ギリアム「間違いない、あの機体はマスタッシュマンだ」
レーツェル「マスタッシュマン……。オペレーションSRWの最中に現れた所属不明機のコードか」
ギリアム「……ああ。そして、シャドウミラーの機体だ」
〔通信のコール音〕
ギリアム「応答せよ、シャドウミラー隊指揮官……ヴィンデル・マウザー大佐」
ヴィンデル「何者だ?」
ギリアム「ヘリオス……と言えばわかるだろう」
ヴィンデル「!!」
レモン「まさか……嘘でしょう!?」
アクセル「顔はともかく、この声は…間違いないようだな、こいつは」
ギリアム「……」
ラミア(きっかけは…できたか。だが、それが本命中の本命とは…)
ヴィンデル「ふ、ふふふ……久しぶりだな、ヘリオス……ヘリオス・オリンパス」「それがお前の素顔か?」
ギリアム「……」
ゼンガー(ヘリオス・オリンパスだと?)
レーツェル(ギリアムのことか?)
ギリアム「ヴィンデル大佐……再びお前と会うことになるとはな」
ヴィンデル「ああ、貴様が残したシステムXNのおかげだ」「やはり、アギュイエウスの扉はファーストジャンパーである貴様に通じていたようだな?」
ギリアム「……」
レモン「随分と捜したのよ、あなたを」
ギリアム「お互いにな」
ヴィンデル「いつ気づいた?」
ギリアム「マスタッシュマンが『こちら側』に現れたことを知った時……」「いや、お前達が初めてテスラ研に来た時だ」
レモン「あらら、最初からバレてた……ってこと?」
ギリアム「テスラ研でシステムXNの作動に目処がついた頃……」「真っ先にプロジェクトチームへ接触して来たのはDCではなく、お前達シャドウミラーだったからな」
ヴィンデル「故に疑念を持ったか」
ギリアム「だが、今やそれは確信に変わった」「システムXNはお前達に制御できるものではない」「その機能は限定されているとは言え、下手に使用すれば世界の因果律が狂う」「アギュイエウス……そしてリュケイオスの扉は二度と開かれてはならないのだ」
レモン「ふふ、確かに…そうかもしれないわね」「あなたですら『こちら側』に飛ばされてしまったくらいの不安定さだものね」
ギリアム「……」
レモン「おかげで私達も多くの仲間を失ったわ……」
アクセル「……」
ギリアム「システムXNはこの世界に存在してはならない。そして……お前達もな」
ラミア「……」
ヴィンデル「ふん、お前に言えることか」
ギリアム「だからこそ、俺はこの世界で待っていた……」「システムXNを悪用する者を……追放者達を。その存在を抹消するために」
ヴィンデル「……ヘリオスよ、我らに降るのなら今の内だぞ」
ギリアム「断る」
ヴィンデル「ならば、力ずくでも従わせるまでだ」
レーツェル「来るか……!」
アクセル「…どうやら、ツキがあったようだな。一度に決着をつけるチャンスが巡ってくるとは」
ラミア「むしろ幸運なのは私の方かもしれません。この状況を一転させるきっかけ…彼らが作ってくれる」
アクセル「よく言う…饒舌になったものだな、W17」
レーツェル「彼女は……」
ゼンガー「キョウスケの部下だ。しかし……」
ギリアム「Wシリーズ……君は我々の味方なのか?」
ラミア「好きに判断すればいい。私が戦うべき相手はシャドウミラー。それ以外はかかってこない限り手は出さん」
ギリアム「……いいだろう。ゼンガー、レーツェル、異存は?」
ゼンガー「ない」
レーツェル「行動でその証を立てるのであれば」
ラミア「…感謝する」
アクセル「甘いな…貴様も、教導隊の者達も。それでは、真の意味で世界は救えん。人の意思が世界のバランスを崩す、これがな」
ラミア「…しかし、人の意思が世界を作り出すのもまた事実…。私は今まで、わかろうともしなかっただけ」「私は指令さえこなしていれば良かった。ですが…自分の意思で世界に干渉することを、その意味を知ってしまった」
アクセル「…ならば、貴様はこの世界をどうしたい?」「戦いを終わらせ…平和をもたらすつもりだとでも…? “夢”まで見れるようになったか? …W17」
ラミア「……」
ヴィンデル「……平和は何も生み出さん。ただ世界を腐敗させていくのみ」「そして、闘争を忘れた者達は兵士を……軍を切り捨てる。我らの存在を否定するのだ」
ラミア「…それは戦う者だけの都合です…ヴィンデル様」
ヴィンデル「何だと?」
ラミア「戦いを望まない者、平和という世界に可能性を見出す者達にとっては、むしろその方がイレギュラー…なのだと思います」
ヴィンデル「人形風情がつらつらと…!」
レモン「W17…こういう話を知っているかしら? 知恵のリンゴを食べたアダムとイブは…楽園から追放されたのよ?」
ラミア「承知です。ならば……私は自分の足で、次の楽園を探しましょう……」

<敵全滅orアクセルHP60%以下orリーHP90%以下or7PP・敵増援1出現>
ヴィンデル「フッ、しぶとい連中だ」
レモン「こっちでも教導隊の名は伊達じゃないってことね」「さて、どうするの? 連邦軍の追撃部隊もこっちへ向かってきてるみたいだけど…」
ヴィンデル(システムXNはまだ完全ではない……)(そして、戦力の立て直しも図らねばならん。ここでの無理は禁物か)「リー、補給作業は?」
リー「完了しています」
ヴィンデル「では、エルアインス隊を出撃させろ」
リー「はっ」
〔敵ユニット出現〕
レーツェル「! こちらの足を止める気か!?」
ギリアム「ヴィンデル・マウザー! 逃がしはせん!」
ヴィンデル「ヘリオス……例えファーストジャンパーのお前であっても、我らを止めることは出来ん」
ギリアム「……!」
ヴィンデル「……レモン、システムXNを使うぞ。通常転移だ」
レモン「ちょっとお待ちなさいな。修理はまだ完全じゃないのよ? 今の状態じゃ、距離が稼げないけど…」
ヴィンデル「構わん。この場から離脱できればいい」
レモン「でも、ようやく姿を見せたヘリオス…このまま放っておいていいの?」
ヴィンデル「万が一にも、ここでシステムXNをこれ以上損傷させるわけにはいかん」
レモン「…W17の例もある、か。そうね、コアを手に入れても、システムに問題があったら意味がないものね」
ヴィンデル「最悪の場合、奴なしでもあの機能は発動できる。……我々がこちらへ来たようにな」
レモン「その分、確実性には欠けるけどね」
ヴィンデル「……」「……アクセル」
アクセル「状況はわかった、こいつがな。…後詰めはおれがやる。行け」
レモン「任せるわ。このまま粘れば…ベーオウルフも来るかもしれないしね、アクセル」
アクセル「…そこまでこだわってはいないさ。…合流地点はあとで連絡してくれ」
レモン「了解。…気をつけてね」
ギリアム「待て!!」
レモン「じゃあね、ヘリオス・オリンパス。…ミスター・ファーストジャンパー」
ヴィンデル「また会おう。例の機能を回復させた後でな」
〔XNシステム発動〕
〔敵ユニット離脱〕

レーツェル「反応が消えた……! 追跡は……不可能か」
ギリアム「くっ、ここまで来て…! お前達がしていること…それがどのような結果を招くのか…わかっているのか!」
アクセル「何…? どういうことだ、ヘリオス」
ギリアム「……お前達は知るまい」
アクセル「?」
ギリアム「この世界は我々という異物を受け入れながら、奇跡的なバランスで保たれている」
アクセル「何……?」
ギリアム「本来なら、崩壊していてもおかしくはない。あり得ないのだ、このような世界は」
アクセル「ならば、何故おれ達は……この世界は存在し続けているというんだ?」
ギリアム「何かの力が……何者かの意思が作用しているのだ」
アクセル「何者かの……だと?」
ギリアム「さながらこの世界は、その者が作り出した実験室のフラスコ……」「その実験の結果が出た時、我々の存在は………」
アクセル「だから、干渉をやめろと? …ここまで来て、はいわかりましたと言えると思うのか?」「貴様がその事を本気で危惧しているなら、貴様こそが…最初に自分自身をどうにかすべきではないのか?」「『ファーストジャンパー』…さまよい人、ヘリオス・オリンパス…!」
ギリアム「…そうかも…知れん」
アクセル「貴様にもわかっているはずだ、こいつが」「この世界を創り出した者が何であろうと、おれ達を導いた者が誰であろうと……」「おれはおれの意思…自分が信じる世界のために戦争をしている…!」「その結果、世界が滅びるならば…それもまた、この世界が選んだ結末なのさ」
ラミア「……」
ゼンガー「ならば、ここは退けん。我らもまた己の信念のために……」「この世界を存続させるために戦っている……!」
アクセル「いいだろう。勝ち負けでしか、善悪を決めるこっとはできん…それが戦争だ、こいつがな」「だからこそ、おれは勝つ…!」「リミット解除! ソウルゲインよ、貴様の力…今一度奴らに、そしておれに見せてみろッ!」
〔アクセル、精神コマンド「熱血」「根性」「気合」使用〕
〔アクセル、ゼンガーへ接近〕

ゼンガー「相手にとって不足なし! いざ尋常に勝負ッ!!」
〔ゼンガー、精神コマンド「熱血」「気迫」使用〕

<アクセルHP50%以下or敵増援1出現の2ターン後PP・味方援軍2出現>
レーツェル「! 来たか……!」
〔味方戦艦出現〕
〔味方ユニット出現〕

〈出撃準備〉
エクセレン「わお! ここにいたのはやっぱりボス達だったのね!」
ゼンガー「エクセレン……それに、キョウスケ達か」
キョウスケ「ゼンガー少佐、シロガネの姿が見えないようですが?」
ゼンガー「……すでに転移した」
ラミア「追跡は不可能だ。なんとか足止めくらいはしたかったがな」
キョウスケ「……!」
ブリット「ラ、ラミアさん!!」
マサキ「お前、無事だったのか!?」
ラミア「……見ての通りだ」
リューネ「あ、あの爆発で……?」
エクセレン「ちょっとラミアちゃん! 今までどこで何やってたの? まさか、生きて会えるなんて…」
カチーナ「何を言ってやがる! 元いた所に戻ってただけだろうが!」
ラミア「…そう思われても仕方がない。私は…」
レーツェル「経緯はどうあれ、今の彼女は我々の味方だ。私が保証する」
ツグミ「レーツェルさん……!」
ライ「エルザム……兄さん」
レーツェル「勘違いしてもらっては困る。私はレーツェル・ファインシュメッカー……お前の兄ではない」
ライ「……!」
リュウセイ「いや、そんなこと言われたってありゃどう見ても……」
タスク「あ、あの旦那だよなあ」
レーツェル「……」
ライ「兄さん……あなたの言葉を信用しろと?」
レーツェル「その気になれば、彼女はいつでも我らを討つことが出来た」「それに……この状況下で我々を陥れようと言うのも不自然ではないか?」
ライ「……」
カチーナ「今まであたしらを欺いてきた奴だぜ? そう簡単に……」
ゼンガー「彼女の戦に迷いはない。結果がそれを証明している」
ギリアム「……私も同感だ」
カチーナ「……」
ラッセル「ちゅ、中尉……」
カチーナ「ヘッ、あのメンツにそこまで言われちゃあ信じるしかねえか」
レオナ「カチーナ中尉……」
カチーナ「今に始まったこっちゃねえってことだろ? ……わかってるさ」
エクセレン「んじゃま、これにて一件落着…その他諸々、とりあえず水に流すってことで」「…詳しくはあとでね、ラミアちゃん」
ラミア「エクセ姉様…お心遣い、感謝します…」
キョウスケ「後は……奴か」
アクセル「来たか、ベーオウルフ。キョウスケ・ナンブ」
キョウスケ「アクセル・アルマー……この間の借りを返させてもらう。それに…」「『向こう側』やら『力』やら…わけのわからんゴタクの意味も教えてもらうぞ」
アクセル「それを知ってどうする? …何の意味もない、これがな」
キョウスケ「おしゃべりは趣味じゃない。…撃ち落としてから、ゆっくり聞かせてもらう…!」
アクセル「『向こう側』の貴様と違って、気が合うな」「俺も聞きたいことがある…叩き落としてからしゃべってもらおうか、ベーオウルフ!」

<アクセルHP50%以下・勝利条件達成>
※※キョウスケが攻撃した場合のセリフ※※
アクセル「うぬっ……! ベーオウルフ、貴様……っ!」
キョウスケ「…もらったぞ…! アクセル!」
※※キョウスケ以外が攻撃した場合のセリフ※※
アクセル「くっ、貴様ら…ここまで…!」

ラミア「隊長、運がなかったようですね」
アクセル「まだ…落ちていない。気が早いぞ、W17…それに貴様は裏切り者。おれを隊長と呼ぶな」
ラミア「……了解」
キョウスケ「アクセル、お前の負けだ。勝負を降りないならば、このまま…」
アクセル「おれはまだ…最後のカードを切っていない。ベーオウルフ、見てみるか! おれの…!」
〔通信のコール音〕
レモン「「…アクセル、無理はしないで」
アクセル「むっ!? レモンか…!?」
レモン「こっちは無事に転移したわ。合流地点の座標を送るわね」
アクセル「俺の戦いに水を差すな、レモン!」
レモン「私達の戦い…でしょう? それとも、同じ過ちを繰り返すつもりなの? 『こちら側』のベーオウルフに対しても」
アクセル「……」
レモン「重要なのはこれから…でしょ? ちょっと熱くなりすぎよ。あなたらしく ないわ」
アクセル「……」「…わかった。後退する」
キョウスケ「!」
アクセル「ベーオウルフ、興が削がれた。 この勝負…預けるぞ、これがな」
〔敵ユニット離脱〕
キョウスケ「逃がさん……!」
ダイテツ「待て、キョウスケ中尉」
キョウスケ「艦長?」
ダイテツ「我々はシロガネを完全にロストしてしまっている。これ以上の追撃は無意味だ」「我々は伊豆基地へ帰還し、オペレーション・プランタジネットに備えるぞ」
キョウスケ「……了解」(アクセル・アルマー…この場で決着をつけたかったが…)(手負いの獣にならねばいいが、な)
ラミア「……」(この戦い……どうあれ、シャドウミラーがこの世界からいなくならない限り……)(決着はあり得ん……)(…私の存在も含めて)
【戦闘マップ終了】

【シナリオエンドデモ開始】

ハガネ ブリーフィングルーム
ダイテツ「……ゼンガー少佐達が言ったことは正しかったようだな、ラミア・ラヴレス」
ラミア「…私を信じて下さったこと、感謝しています」
ダイテツ「では、ここにいる皆に真実を話してもらおう」
ラミア「わかりました。私が知っている限りのこと…お話しましょう」
ギリアム「……」
ラミア「さて…何から?」
ダイテツ「シャドウミラーとは何者か……からでいこう」
ラミア「彼らは……地球連邦軍特殊任務実行部隊」
カイ「……特務隊のことか? だが、名称が違うぞ」
ショーン「ふむ……。シャドウミラーなどという特務隊は聞いたことがありませんな」
ラミア「それは『こちら側』の話…。ですが、『向こう側』の連邦軍には存在していた」
タスク「こ、『こちら側』だとか『向こう側』だとか…何のことなんスか?」
ラミア「一言で言えば、こことは違う世界のことだ」
レフィーナ「違う……世界?」
ラミア「そう、極めて近く…限りなく遠い世界。…順を追って説明しよう」「……新西暦160年代から盛んになった、スペースコロニーの独立自治権獲得運動、NID4……」「それは地球政府とコロニーの間に大きな確執を生み出した」「コロニーの台頭を恐れた地球連邦政府はNID4を弾圧…」「連邦とコロニーの対立は激化し、ついには機動兵器を使用したテロ事件が数多く発生…世界は混沌に包まれた」「そして、ある事件によりコロニーの命運は大きく変わることになる…」
レーツェル「もしや、それはエルピスで起きた……?」
ラミア「はい。地球至上主義のテロリストがスペースコロニー・エルピスへ潜入……」「内部で毒ガスを使用し、住人の大半を死に至らしめた事件です」
レオナ「どういうこと……!? あの事件はそのような結末では……」
ラミア「犠牲者の中には、連邦宇宙軍総司令マイヤー・V・ブランシュタイン……」「その長男エルザムと、彼の妻であるカトライアも含まれていた」
レーツェル「な……!」
ゼンガー「何だと!?」
レオナ「そんな……」
ライ「義姉上だけでなく、父と兄までもが……?」
エクセレン「ちょ、ちょい待ち! ラミアちゃん! じゃあ、そこにいるエルザム兄さんは!?」
アラド「ま、まさか、幽霊!?」
レーツェル「悪いが……私の足はご覧の通りだ」「……付け加えれば、私はエルザムではなく、レーツェルだ」
ヴィレッタ「もしや、ラミアが言う『向こう側』とは…?」
ギリアム「そう……。並行世界、パラレルワールドだ」
カチーナ「パラレルワールド!?」
ギリアム「……世界は常に分岐の可能性を持っている……」「我々が存在するこの世界とは別の……並行した世界」「それが、彼女が始めに言った言葉、“極めて近く、そして限りなく遠い世界”…パラレルワールドだ」
ラミア「その通りです。ヘリオ…いえ、ギリアム少佐。私達シャドウミラーは、その中の一つから『こちら側』の世界へやって来たのです」
ヴィレッタ「……」
ラミア「無限の可能性の一つ…だからこそ、私がいた世界…『向こう側』と、この世界では、多くの事柄が異なっています」
ライ「では、エルピス事件の後は?」
ラミア「コロニーの治安維持とNID4の弾圧が強化され……結局、コロニーが独立することはなかった」「そして、DC戦争が勃発……。我々連邦軍は苦戦の末、ビアン博士を打ち倒し……勝利を収めた」「その後、ビアン博士が示唆した異星人の脅威を重く見た連邦軍は……」「地球圏防衛のため、大幅な軍備増強を敢行……」「その結果、多種多様な機動兵器が開発された」
リョウト「多種多様?」
ラミア「そう。Z&R社のヴァルキュリアシリーズ、FI社のアサルト・ドラグーン……」「イスルギ重工のリオンシリーズ、マオ社のパーソナルトルーパーなどだ」
イルム「最初の2社は聞いたことがないメーカーだな……」
ラミア「そして、その中でも、数多く生産され、連邦軍の主力兵器となったのが……」「マオ社のゲシュペンストMk-IIとイスルギ社のリオンだ」
テツヤ「ゲシュペンストMk-IIが数多く生産……? どれぐらい作られたんだ?」
ラミア「およそ3000機」
テツヤ「3000……!? こちらと桁が違いすぎるぞ!」
イルム「なるほど……。シャドウミラーのゲシュペンストMk-IIの謎が解けたぜ」「あれはお前達が向こう側から持ってきた機体だったんだな?」
ラミア「そうです」
イルム「そして、こっちのゲシュペンストMk-IIと仕様が違うのは、向こうで改良が重ねられたから、か」
ラミア「はい。そして、それはエルアインスにも同じことが言えます」
リョウト「エルアインス……?」
ラミア「『向こう側』でのアルブレードの正式名称…」「その名の通り、R-1の量産型……ゲシュペンストMk-IIに次ぐ主力機としてマオ社が開発した物だ」
リョウト「ゲシュペンストの次……?」
ラトゥーニ「なら、量産型のヒュッケバインMk-IIは……?」
ラミア「向こうでのヒュッケバインシリーズは……」「1号機……008Rの暴走事故によって、開発計画の見直しが軍から要求され……」「その後も何機か試作機が作られたようだが、量産には至っていない」
アヤ「……向こうでのSRXはどうなっているの? R-1が量産されているということは……」
ラミア「何度か開発が中断されたようだが……」「侵略行動を開始した異星人との戦闘へ投入するため、最終的にはロールアウトしている」
ライ「異星人…そうか、エアロゲイターか」
ラミア「…違う。インスペクターだ」
マサキ「何!? あいつらが先に来たってのか!?」
ラミア「そうだ」
ブリット「そ、それでラミアさんはエアロゲイターのことを知らなかったのか……」
ヴィレッタ「……メテオ3は向こうの世界でも落下したのか?」
ラミア「いえ……」
ヴィレッタ「では、SRXの動力源はトロニウムではないと?」
ラミア「データを見た限りでは… おそらく『こちら側』と同じかと思われます」
リュウセイ「何だって!? メテオ3が落ちてきてねえのに、何でトロニウムがあるんだ!?」
ラミア「「…トロニウムについてのデータはない。だが、存在自体は確認されていたようだ」
ヴィレッタ(何者かがトロニウムを地球にもたらしたと言うのか……?)
キョウスケ「ことのあらましはわかった。…ある意味、ここからが本題だ。おれ達の世界に直接関わりのあることだからな」
ラミア「……」
キョウスケ「シャドウミラーが『こちら側』の世界へ来た理由は? そして、その方法は?」
ラミア「理由…ロールアウトが遅かった私はよく知りませんが…データはあります」
キョウスケ(ロールアウト…?)
ラミア「それは緩やかな腐敗…。平和という安息の下で、地球連邦は…」「いえ、“世界そのもの”が少しずつおかしくなっていった…とあります」「シャドウミラー隊指揮官…ヴィンデル・マウザー大佐はその世界を憂い、クーデターを起こしたのです」
アイビス「絶えず争っている世界を作るために?」
ラミア「そう、戦争は終結してはならない。その後に待つのは平和という名の腐敗…」「だが、闘争が日常である世界ならば、それは永遠に起こることはない。そのようなバランスのもとに、世界は調律される、と」
ツグミ「そんなの……理論上のものに過ぎないわ」
ラミア「……理論上と言うよりは確率の問題だ」「闘争を日常とする…混沌たる世界であれば、腐敗が起こる可能性は低いということだ」
キョウスケ「待て。それが正しいか否か…議論するつもりはないが、『こちら側』でそれをやろうという理由がわからん」
エクセレン「そうね…ちょっと無責任な言い方かも知れないけど…自分の庭でやってよって感じ?」
カチーナ「まったくだぜ。…それか、そうできない理由でもあったのかよ?」
ラミア「「…その予想が正解に近いです。我々シャドウミラーが『こちら側』に来た理由…それはある部隊に敗れたため…」「…いえ、もっと正確に言えば、混沌たる世界のバランスを崩すほどの力を持った部隊が現れ…世界を破壊し始めていたためです」
エクセレン「その部隊って…もしかして、そっちのボスのヴィンちゃんが言ってた…?」
ラミア「はい。ゲシュペンストMk-IIIを隊長機とした連邦軍特殊鎮圧部隊、ベーオウルブズ……」
キョウスケ「…ベーオウルフ…。アクセル達が散々おれに対して言っていた…」
ラミア「そうです。ベーオウルブズ…隊長はキョウスケ・ナンブ大尉」
キョウスケ「…そういう…ことか」
タスク「な~る、それでアクセルはアルトアイゼンをゲシュペンストMk-III……」「キョウスケ中尉をベーオウルフって呼んでたわけか」
カチーナ「……あの野郎がしつこくキョウスケを狙ってきやがった理由がわかったぜ」「大方、向こうのキョウスケ大尉殿にこっぴどくやられたんだろ? で、逆恨みでこっちにインネン付けて来た、と」
ラミア「それは違います。アクセル隊長は…恐れていたのです」「『こちら側』のキョウスケ・ナンブか…『向こう側』のベーオウルフが持っていた… 謎の“力”を得ることを」
キョウスケ「謎の力…だと? 『向こう側』とやらのおれは、念動力のようなものを持っていたというのか?」
ラミア「…詳細な記録は残っていませんが、もっと異質の…人知を超えたものだったようです」
エクセレン「わお! 人知を超えてるって…あらゆる博打で必ず勝てるとか?」
キョウスケ「…それはいい、な」
ラミア「いえ、その力は…常人をはるかに越えた肉体の能力…筋力、反射神経、回復能力を持ち…乗り込んだPTの姿をも変質させた…とあります」
キョウスケ「乗っている…機体の姿も…だと?」
ラミア「はい…そしてベーオウルブズは今のハガネやヒリュウ改とほぼ同じ戦力を持っていました…」「結果、シャドウミラーは彼らに追い詰められてしまったのです」「そして、シャドウミラーが最後に選択した手段が…」
ヴィレッタ「…『こちら側』への転移というわけか」
ラミア「はい」
キョウスケ「ここが次の問題点か。ラミア…その転移の方法は?」
ギリアム「……それについては俺が説明しよう」
キョウスケ「!?」
カイ「ギリアム……何故、お前が?」
ギリアム「それは……」「俺もシャドウミラーと同じく、『向こう側』から来た人間だからです」
カイ「!!」
カチーナ「な、何だとォ!?」
ラーダ「じゃあ、少佐はこの世界の人間ではないと……!?」
ギリアム「……ああ」
レーツェル(やはり、あの時の話は……そういうことだったのか)
ヴィレッタ「……」
ギリアム「向こうでの俺は……テスラ研でシステムXNという装置の研究に従事していた」
ツグミ「システムXN……?」
ギリアム「空間・次元転移装置のことだ。2基存在し、それぞれ『アギュイエウス』、『リュケイオス』と言う」「だが、俺はアギュイエウスの起動実験に失敗し……」「単身、この世界へ飛ばされてしまった」
ツグミ「……」
レーツェル「では、ヘリオス・オリンパスという名は……」
ギリアム「向こうの世界での俺の名だ」「そして、元の世界へ戻れなくなった俺はギリアム・イェーガーと名乗り……」「この世界で生きる決意をした。その後はカイ少佐やゼンガー、レーツェルも知っての通りだ」
ゼンガー「……」
ギリアム「お前達……いや、ここにいる者達には今まで真実を話さず、すまなかったと思っている……」「だが、後続者が現れる可能性がある以上……俺は素性を明かすわけにはいかなかった」
ゼンガー「後続者……それはシステムXNを使って転移してくる者のことか?」
ギリアム「そうだ。アギュイエウスとリュケイオスが『向こう側』に残っている以上……」「俺と同じようにこの世界への転移を試みる者は必ずいる……」「だが、もしそれがテスラ研の人間ではなく、システムXNの悪用を目論む者だったら……」「その者は俺を捜し出し、己の目的のために利用しようとするだろう」
ヴィレッタ「利用?」
ギリアム「そうだ。アギュイエウスは作動の確実性を向上させるため、俺とリンクするように作られていた」「つまり、俺はシステムXN・アギュイエウスのコアとも言える存在なのだ」
ゼンガー「それで、お前は……」
ギリアム「ああ。『こちら側』で素性を隠し、次なる転移者を待ち続けた。そして、その結果現れたのが……」
カイ「シャドウミラーだったというわけか」
ギリアム「ええ。ただ……俺と彼らの転移タイミングには大きな差があったようです」
ラミア「そう……シャドウミラー隊がテスラ研を占拠し、転移したのは…一番初めに転移を成功させた人物…」「『ファーストジャンパー』ヘリオス…つまり、ギリアム少佐が転移してから、約2年後のことでした」
ダイテツ「……転移を行ったシャドウミラー隊の規模は?」
ラミア「連邦軍より奪取したASK系や、RGC系の試作機や新主力機のエルアインス…」「テスラ研で入手したSRG系、EG系などの機体…」「そして、シャドウミラーが元々所有していたゲシュペンストやリオン、フュルギアやソルプレッサなどを合わせて…」「496機」
レフィーナ「そ、そんなに!?」
ラミア「はい。ヴィンデル大佐に賛同する他部隊の兵士やDC残党も加わっておりましたので」「しかし……実際にたどり着いたのは、おそらくその半分以下かと」
クスハ「え……!? 何故なんですか?」
ラミア「同一世界内での空間転移とは異なり、時空転移は不確定要素が多く…なにより不安定だ」「例えるなら、濁流の中で蜘蛛の糸を辿るようなもの…」「部隊の者の大半は…残念ながら時空のねじれに巻き込まれて…消滅した」「私の言語系に誤動作が起きたのも…この時の影響だ」
クスハ「げ、言語系って…!?」
ツグミ「も、もしかして、あなたは……!?」
ラミア「私の正式名称はW17……」「指令を忠実に実行し、 争を継続させるためだけに生まれた…人形だ」
クスハ「……!」
ツグミ「つまり、人造人間……」
ラミア「そう。シャドウミラー隊ではWシリーズと呼ばれている」「その中でも優秀な性能を持ち、特殊任務を遂行する者がナンバーズ……」「そして、私は17番目にロールアウトした最新型…W17。今後はそう呼んでもらって構わん」
ラトゥーニ「……」
アラド「な、名前がナンバー……! それでいいんスか、ラミアさん!? いいわけないでしょう!!」
ラミア「アラド・バランガ… そうか…お前も…そうだったな」
ゼンガー「……もしや、ウォーダン・ユミルもお前と同じく……?」
ラミア「そうです。彼は15番目…W15」「お気付きの通り、『向こう側』のゼンガー・ゾンボルド少佐のデータを基にして作られたナンバーズです」
ゼンガー「……奴が乗る特機は?」
ラミア「「『向こう側』で入手したグルンガスト参式を『こちら側』の技術で改造したものだと思われます」
レーツェル「しかし、彼らは何故ゼンガーの写し身を……?」
ラミア「「…ベーオウルブズの対抗手段とするためです。キョウスケ・ナンブには及ばなかったようですが」
キョウスケ(…『向こう側』のおれに一体何が…? そんな力に興味はないが…気にはなる、な)
ゼンガー「…『向こう側』の俺は?」
ラミア「データによれば、アースクレイドル内乱後、行方不明…となっています」
ゼンガー「……そうか」
キョウスケ「…シャドウミラーはアクセルやウォーダン、そしてラミア、お前達とともに…『向こう側』で果たせなかった目的を果たすつもりか」
ラミア「「…はい。『向こう側』は、ベーオウルブズの存在によって、完全にバランスを失っていましたので…」
ブリット「……永遠の闘争……。戦い続けることでバランスを取る世界なんて……!」
ツグミ「戦いの度に技術は進歩していった……確かに、それは間違っていないけど……」
エクセレン「戦いを望む者…戦争を続けたい人達には理想の世界かも知れないけど…」「そうでない人達にとっては地獄…ね」
キョウスケ「「…おれ達の世界で好き勝手なことをさせるわけにはいかん」
ギリアム「だから、何としても彼らを阻止し、彼らが持つシステムXNを破壊せねばならん」
ラミア「……その通りです」
ダイテツ「……」
ラミア「ダイテツ艦長、私の話は……以上で終わりです」
ダイテツ「……」
ショーン「……ダイテツ中佐、これからの彼女の処置は?」
ダイテツ「現状維持だ」
ラミア「しかし、私は……」
ダイテツ「素性と過去はどうあれ、今のお前の意思は我らと同じなのだろう?」
ラミア「……はい」
ダイテツ「ならば、それでいい。……他に異論のある者は?」
ライ「……」
キョウスケ「……」
ギリアム「……」
カチーナ「……もう慣れたぜ」
ラミア「カチーナ中尉……」
エクセレン「「…と、いうわけで…お帰りなさい、ラミアちゃん」
ラミア「エクセ姉様……」
エクセレン「というか…あなた、言葉遣い…治っちゃったの?」
タスク「そういや…そうッスね。なんとかでございますのですのこと~…みたいなのはなくなってるッスよ」
ラミア「一度部隊に戻った時に…不完全ながら修理をしていただきました」「だから…お聞き苦しい言葉は、あまり発することはなくなると思いましたりしちゃいますのです」「…不完全なので時々は出ますが」
エクセレン「わお! やっぱそうこなくちゃね!」
ラミア「…ですが、エクセ姉様…。本当に私は…ここにいていいのですか…? 私は元々敵であり、この世界には…」
エクセレン「私達はいいって言ってるのよん。あとは、あなた次第。…自分でいるか、いなくなるか…決めなきゃね」
ラミア(自分で…。…まるで…レモン様に言われているようだ…な)
ヴィレッタ「ラミア…これからの戦いで、あなたの存在はなくてはならないものとなる」
ブリット「そうです、ラミアさん。俺達に力を貸して下さい! …戦いは…これからなんです!」
タスク「それに、ボイン要員が多いに越したことはねえしさ!」
レオナ「…ボイン…要員?」
タスク「あ、じょ、冗談でございますのでありますのことッスよ? レ、レオナ様」
ラミア「…ここで、この戦争の最後を見届ける。それが私の決めた…私の戦いだ」(悪くない…そう、悪くない気分だ。はるか遠い時代…楽園から追放された者達も…同じ気持ちだったのかも…しれんな)
【シナリオエンドデモ終了】


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