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No.43
リューネの想い

【シナリオデモ開始】
ウェンディ「コスモノヴァの修理は終わったわ。けど、相変わらず荒っぽい使いかたしてるわね。これじゃ、いくらサイバスターに自己修復機能があるっていっても、追いつか ないわよ」
マサキ「わかったよ、気をつけるさ」
ベッキー「ねえ、マサキ。あんたこの間まで地上に出てたんだって?」
マサキ「ああ、いろいろとややこしいことがあってな」
ベッキー「だったらさ、あたしなお土産、忘れてないかい?」
マサキ「お土産?」
ベッキー「なんだ、薄情だねえ。バーボンを頼んどいたじゃないか」
マサキ「いつの話だ!?」
クロ「相変わらずねえ。ベッキーさん」

リューネ「あちっ!! テュ、テュッティ、ちょっと暑すぎない?」
テュッティ「なに言ってるの、サウナは暑くなきゃサウナじゃないわよ。ほら、このシラカバの小枝で身体を叩くの。そうすれば湯冷めしないのよ」
リューネ「う〜……結構きつい……」
テュッティ「サウナは美容にいいんだから。リューネだって、スタイル気にしてたじゃない」
リューネ(テュッティが、あれだけ甘いもの食べて太らないの、このサウナのおかげなのかな……)
ベッキー「久し振りだよ、テュッティのサウナに入ったのはさ。サウナ上がりのビールはまた、格別なんだな、これが」
プレシア「ウェンディさん、遅いね。すぐ来るって言ってたのに」
リューネ「ねえ、ベッキー、ちょっと聞きたいことしがあるんだけど……」
ウェンディ「遅れちゃってごめんなさい。ちょっと整備の仕事が残ってて……」
リューネ「あ、ウェンディさん……」(ウソ……29才でしょ? ボディライン、全然崩れてないじゃん……)
ヘッキー「なんだい、リューネ。話って?」
リューネ「あ、ここじゃちょっと……」
ベッキー(ははーん……)「じゃ、ちょっと早いけど、先に出てるよ。ビールがあたしを呼んでるんでね」
リューネ「あ、あたしも」

ベッキー「で、リューネ。話ってのはなんだい? ま、大体察しはつくけどね」
リューネ「……ウェンディさんとマサキってさ、どういう関係だったの?」
ベッキー「どういうって……まあ、他人以上恋人未満ってとこだね」
リューネ「……やっぱり」
ベッキー「ま、でもマサキはアレだからね。あんまり仲は進んでないみたいだよ。どっちかっていうと、お嬢ちゃんのほうがリードしてるんじゃない?」
リューネ「え? そ、そう?」
ベッキー「でも、なんであんなガキがいいのかねえ? あたしにゃわかんないね」
リューネ「そのほうがいいよ。ライバルが少なくてすむし。第一、マサキのよさがわかっちゃったら、ベッキーだってライバルになっちゃうもんね」
ベッハー「あははは、ごちそうさん。でも、そのわりに進展してないみたいだけど?」
リューネ「う……た、確かにそうだけど……」
ベッキー「なんなら、あたしが協力してやろうか? 今なら、あんたの持ってるそのビールで手を打つよ」
リューネ「……なんか、安っぽいね。ほしいなら言ってくれりゃいいのに。はい」
ベッキー「サンキュ!」
リューネ「で、協力って?」
ベッキー「そうだね……。マサキの部屋の鍵、コピーしてやろうか? これでも手先が起用なのが自慢でね」
リューネ「そ、それはちょっと……直接的すぎない?」
ベッキー「なんだい、これが一番手っ取り早いんだよ。じゃあね……二人だけで任務につくってのはどうだい? 協力して戦うと、やっぱり親密になるもんだしね」
リューネ「う〜ん……そういうのって、前にもあったけど……あんまりうまくいかなかった気が……」
ベッキー「じゃ、こうすればいいよ。ちょっと耳貸して。大きな声じゃ言えないけどね……こしょこしょ」
リューネ「ふん……ふん……えっ!? そ、そこまで!?」
ベッキー「当然だろ?」
リューネ「で、でもちょっと……そういうのは、もっと自然に、こう……」
ベッキー「あんた、ホント、マサキとお似合いだよ」
リューネ「え? そ、そう?」
ベッキー「喜んでどうするのさ。とにかく、あたしの行ったとおりにやりな。そうすりゃ絶対うまくいくから」
リューネ「わ、わかった……」
ベッキー「それじゃ、あたしはマサキに仕事を頼んでくるよ。あんたは、こっそり後をつけていけばOKさ」
リューネ「ありがとう、ベッキー」

マサキ「じゃ、行ってくらあ」
ベッキー「ああ、頼んだよ」

シロ「でもベッキー、ニャンでこんニャ簡単ニャ仕事、マサキに頼んだんだろ?」
クロ「あんたにはわかんニャいでしょうよ。おんニャって、いろいろ苦労があるんだから」
マサキ「おい、クロ。さっきから背中で妙な気配がするんだが、レーダーな反応はねえか?」
クロ「え? え〜と……あ、今一瞬……。あれ、あ、リューネからよ。映ってたの、ヴァルシオーネだったみたい」
リューネ「マサキ、あたしも一緒に行っていい?」
マサキ「おいおい、二人も来るようなことじゃねえぜ」
リューネ「いいじゃない、あたしも少し、腕がなまってるみたいだしさ。訓練代わりよ」
マサキ「ふむ……ま、いいか」
リューネ(よし、第一段階成功!)

マサキ「お、ここだ、ここだ」

マサキ「さて、このあたりなんだが……」

マサキ「お、出た出た」
リューネ「や〜ん、こわぁ〜い」
マサキ「……リューネ、なんか悪いもんでも食ったのか?」
リューネ「な、なによ!!」(あっれぇ? か弱いところを見せて『守ってやりたい』って気を起こさせることだったんだけどなあ……)
マサキ「ふざけてねえで、デモンゴーレム退治だ。しっかりやれよ!」
リューネ「……っかしいなあ」(なら、作戦その2!)

リューネ「ねえマサキ、マサキってどんなタイプの女性が好みなの?」
マサキ「戦闘中に話しかけてきたりしないような女性だっ!!」
リューネ「うっ……」(……今はまずいか……)

リューネ「でも、なんでこんなにデモンゴーレムがいっぱい出てきたりするのかしらね」
マサキ「そうだな……。誰かが召喚してるのかもしれねえが……」
リューネ「野良ゴーレムって、そんなに数は多くないんでしょ?」
マサキ「ああ、そのはずだ。おっ!? なにか落ちてるぞ」

マサキ「へえ、オリハルコニウムの塊か。さっきのデモンゴーレムに混じってたんだな」
リューネ「オリハルコニウム……。きれいだね」
マサキ「え? …………」(へえ……リューネもこんな顔、するんだ……)

マサキ「リューネ、今日はどうかしたのか? なんか変だぞ」
リューネ「……マサキ、ごめん。あたしちょっと別のこと考えてて……」
マサキ「別のこと?」
リューネ「……正直に言うよ。マサキとウェンディさんのことが気になって……。どういう関係なのかなって……」
マサキ「? なんでおまえがそんなこと、気にすんだよ?」
リューネ「……もう、ニブいんだから……。好きな人のことが気になるの、当たり前じゃないの」
マサキ「へっ? 知らなかったぜ。おまえ、ウェンディのことが好きだったのか?」
リューネ「ふざけないでっ! あたしが好きなのは、マサキ、あなただけよっ!!」
マサキ「うっ……ス、ストレートにきたな」
リューネ「だってこのままじゃ、いつまでたっても同じ事の繰り返しじゃない。あたしだって……」
マサキ「……ふう、わかったよ。なら、オレも正直に言うぜ。ホントはな……」
リューネ「えっ!? えっ!? ちょ、ちょっと待って!! い、いきなりなんて、心の準備が……」
マサキ「いや、聞いてくれ。マジな話なんだ。オレは、ずっと気になってることがある。それは、魔装機操者の共通点なんだ」
リューネ「え? な、なんか話が飛ぶね」
マサキ「魔装機操者はみんな、なんらかの形で家族を失ってる人間が多い。つまり、肉親の縁が薄いんだな。それに、感情は豊かだが、あまり恋愛には興味がない……というか、 恋愛感情が希薄なんだよ。はっきりした恋愛感情を持ってたのは、オレの知る限りでは、 テュッティとリカルドくらいだ。その二人にしても、悲劇で終わってる……。これは偶 然なのか、それともそういうタイプだから、魔装機操者に選ばれたのか……。オレも、 愛だの友情だのには、正直うんざりしてたところがある。だから、昔はよく一人で行動 てたんだ。魔装機操者は、個人的感情をできるだけ持たないでおかないと、大局的な判 断を謝る可能性があるしな」
リューネ「つまり、好きな人ができちゃうと、その人と世界の命運を天秤にかけちゃって、世界を救えなくなるってこと?」
マサキ「昔は、そう思ってた。けど、今は違う。地上でのこと、ゼオルートのおっさんやプレシア……それに、リューネ。みんなに出会ったことで、オレの考えは変わった。好 きだから守る、愛しているから守る……。一人一人を好きになる……。その気持ちが広 がっていくから、戦えるんだ……ってな。よくいうだろ、人の命は、地球よりも重いって。けど、それは違うんだな。地球は、その人の重みをすべて背負ってるんだ。言葉として、地球、世界、なんて言うと、その中にオレたちの知ってる一人一人がいるってこ とがわからなくなる。……そう思ってはいるんだが……まだ、人を好きになるっていうのが、どういうものか、実感がわかねえんだ。だから、今はまだ、そういった恋愛事にはなんとも言えねえ……そういうことだな」
リューネ「ううん、今のマサキなら、あたし、その言葉だけで充分だよ……」
マサキ「な、なんだよ、なんで泣くんだ?」
リューネ「な、なんでだろ。嬉しいのかな……。なんだが……マサキを好きになってよかったって……思えるんだ……」
マサキ「よ、よせよ……ほれ」
リューネ「あ、ありがと……ぐすっ」