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No.96
復讐鬼ゼツ

【シナリオデモ開始】
セニア「シュテドニアスは混乱してるみたいね。和平派が動き出しているという情報が入っているわ」
ヤンロン「そうか、ならばシュテドニアスはしばらくは動かんと見ていいな」
テュッティ「残る問題はバゴニアね。現在マドリーラ州の国境で、戦闘が発生してるわ」
マサキ「あのゼツとか言うじいさんが、やっぱり関係してるのかね」
ウェンディ「え? マサキ、今なんて……」
マサキ「ん? いや、前にバゴニアにプレシアを助けに言った時に、ゼツとか言う、妙なじいさんに因縁つけられてよ。確か、国防の最高責任者とか言ってたぜ」
ウェンディ「まさか……ゼツって、ゼツ=ラアス=ブラギオ!?」
マサキ「知り合いか?」
ウェンディ「直接会った事はないけど、練金学協会では有名よ……おたずね者として」
マサキ「おたずね者!? 犯罪者なのか、あのじいさん?」
ウェンディ「ええ、練金学協会の規律を破り、禁断の秘術に手を染めた、良心無き練金学士と言われているわ。ゼツは、ただ、新しい技術を作り上げる事だけにかまけて、それがどういう結果を産むか、考えなかったの。新しい理論、技術を開発した場合、それがどういった結果を産むのか、自分がそれに責任がもてるのか……それらすべてを練金学士は考えて、その理論を公表するかどうか、決めなくてはならない。なのに、ゼツは自分の楽しみだけのために、大量殺戮兵器を次々と開発していったわ。それで、30年くらい前に、練金学協会から追放され、指名手配されたの」
マサキ「そんなアブねえじいさんが、バゴニアの国防責任者だってのか!?」
ウェンディ「おそらくは、ゼツの心の中には自分を認めなかった練金学協会に対する復讐心がうず巻いているわ。今回のバゴニア参戦も、彼の意向が強いと見ていいんじゃないかしら」
マサキ「ち、やっかいだな……とはいえ、逆にいやあ、そのゼツ一人を倒せば、バゴニアの参戦を中止できる事になるな。セニア! シュテドニアスの方はもういい! バゴニアのゼツってヤツの動きを追ってくれ!」
セニア「了解!」
ウェンディ「セニア様。私も手伝います。練金学協会のデータが、役に立つでしょうから」
セニア「ええ、お願い」
マサキ「俺達は、マドリーラ州で監視を行う。バゴニアに妙な動きが出たら、すぐに手を打つ」
テュッティ「わかったわ」
リューネ「OK!」

隊長「むう……我が方が不利のようだな」
兵士「は、我らの魔装機は、先の戦乱でほとんど旧式しか残っていませんし……」
隊長「バゴニアめ、いつの間にこれだけの新鋭魔装機をそろえたのか……」
兵士「増援の要請は、どうしますか?」
隊長「数だけそろえればいいというものではない。やはり、魔装機神を要請するしか方法はないのか……」

ゼツ「ひゃーっはっはっ!! どうしたどうした!? ラングランの練金学技術はこの程度のものか!? 魔装機神を出せ、魔装機神を! 貴様らなど、いくらふみつぶしたところで面白くないわ!!」

シュメル「ゼツ! 貴様いい加減にせんか!!」
ゼツ「む? 貴様、シュメル=ヒュール……いくら剣聖と呼ばれているとはいえ、このわしを呼び捨てにするとは……事と次第によっては許さんぞおっ!!」
シュメル「貴様に許してもらおうなどとは思っておらん! 話はすべて、ロザリーとジノから聞いた! 貴様一人の私怨を晴らすためにバゴニアの若者を、死地へとおもむかせようという、貴様の性根、許す事はできん! 我が不易久遠流の、刀のサビとなれっ!!」
ゼツ「ひゃひゃひゃ! なあにをふざけた事をほざくか! たかがルジャノール改で、わしの作った魔装機に挑もうというのか? きゃつを捕まえろ! 反逆罪でぶ〜ち殺してくれよう!!」
兵士「し、しかし、シュメルとまは我らの剣術師範……我々でかなう相手では……」
ゼツ「バカを言うなっ! 魔装機の基本性能が違うわい!! さっさとやれっ! それとも、貴様を先に始末してやろうか?」
兵士「は、はっ!」
シュメル「よせ、わが不易久遠流は無敵の剣……たとえ、魔装機の性能がどうあろうと関係ない。それとも、死に急ぐか、若者よ」
兵士「う……」
ゼツ「やれっ!! 命令じゃっ!!」
兵士「うわあああっ!!」

シュメル「愚かな……」

兵士「え?」
ゼツ「なんじゃ……?」
シュメル「不易久遠流奥義、無音剣、『さざなみ』……脱出せよ、若者」
兵士「う、うわっ!? 脱出っ!!」

ゼツ「な、な、何をやった、今!?」
シュメル「わからんで当然よ……貴様のくもった目では、見えるわけもない」

ゼツ「む、む、む、こ、これが不易久遠流……確かに、たいしたものじゃな……」
シュメル「わかったか。ならば、さっさと兵をひけ! それとも、まだ私の技が見たいか?」
ゼツ「ふ、ふふふ……ひゃはははっ!! そうじゃ、これじゃ!! わしの求めていた者にふさわしい!!」
シュメル「?」
ゼツ「くふ、くふ、くふ。シュメル、貴様にはわしの手足になってもらうぞ」
シュメル「? ふざけるな! 誰が貴様なんぞに!」
ゼツ「いやいや、貴様はわしのいう事を聞かねばならん。なぜなら、貴様がいやと言えば、ここにおる兵士、すべてが死ぬのだからな」
シュメル「何っ!?」
ゼツ「難しい事ではあるまい? 人質じゃよ、ひ・と・じ・ち」
シュメル「味方の兵をか!? 貴様……どこまでも性根の腐ったやつ……」
ゼツ「ひょーほほほほ、負け犬の遠ぼえは、何度聞いても、耳に心地よいのう。さ、わしについてくるんじゃな、剣聖シュメル」

マサキ「待ちやがれっ!! ラングラン領内でふざけた事ぬかすなっ!!」
ヤンロン「あれが、ゼツか……」
ゼツ「おおっ!! 魔装機神じゃっ!! 何と運のよい事か!!」
シュメル「魔装機神……あれが……」
プレシア「こんにちは、お久しぶりです、シュメルおじちゃん」
シュメル「? ……おおっ!? もしやプレシアか!?」
プレシア「はい、2年振りですね」
シュメル「大きくなったなあ……まさか、魔装機操者になっているとは……」
ゼツ「こらあっ!! 何をほのぼのしておるかっ!! やつらは敵だっ!!」
シュメル「敵だと? バカを言え、真の敵は貴様だ、ゼツ!!」
ゼツ「ぬお、ぬお、ぬおおおおっ!! 貴様までわしをバカにするかっ!! 許さんぞっ!!」
マサキ「兵隊さん、あんたらはさがってな、ケガするぜ」
隊長「は、お願いします!」

プレシア「シュメルおじちゃん……じゃなかったシュメルさんも、さがっててください」
シュメル「よいのか?」
プレシア「はい、あたし達の戦いぶり、見ててくださいね」
シュメル「ふむ、よかろう」

マサキ「さあ、行くぜっ!! ゼツっ!!」
ゼツ「望む所よっ!!」

ゼツ「ふひゃひゃひゃっ!! 死ね、死ね、死ねぇぇぇっ!! みんな死んでしまえぇっ!」
マサキ「てめえ……まともじゃねえぜっ!!」

ゼツ「バ、バカなっ……どういう事なのだ……この様なことがあってたまるか!! ええい、待っておれ!! もう一度くるぞ!」

マサキ「あのじいさん、また来るって言ってたな……」

シュメル「ふむ、たいした戦いぶりだったな。いや、見事なものだ」
プレシア「シュメルさん」
シュメル「昔のように、シュメルおじちゃんでいいぞ、プレシア」
マサキ「シュメルさん……だっけ。すこし、話を聞かせてほしいんだが……」
シュメル「うむ、私もそのつもりだった」

シュメル「ほう、君がマサキ君か。そうか、君の話は、剣皇ゼオルートからよく聞いていたよ」
マサキ「けんおう?」
プレシア「シュメルおじちゃんは、剣聖って呼ばれてるんだよね」
シュメル「私とゼオルートはライバルでな、たがいに腕を競いあっているうちに、いつしかまわりから、そう呼ばれるようになった。ゼオルートはいい腕の持ち主だったよ。私などより、よっぽど強かった」
プレシア「でも、剣術大会では、シュメルおじちゃんの方が勝ってたんでしょ」
シュメル「運がよかっただけさ」
マサキ「ふうん……ライバルってのは、たがいを認めるって言うけど、ホントだな」
シュメル「ところで、ゼツの事だが……今のバゴニア議会は、ゼツの勢いに飲まれているらしい。つまり、ゼツさえ倒せば、議会を和平に持って行く事は可能だ」
マサキ「やっぱりそうか……ほっといてもあのじいさん、復讐じゃあ、とか言って、やってきてくれそうだけどな」
シュメル「我が国の事で、君達に頼むのは心苦しいのだが、ゼツを倒してはもらえまいか? 本来なら、私が手を下すべきなのだろうが、それでは戦争の解決にはならんのだ」
テュッティ「わかりました。ラングランのためにもバゴニアのためにも、あのゼツを倒すと、約束しましょう」
シュメル「ありがとう」
マサキ「ま、しばらくここで、あのじいさんが来るのを待つ事にしようぜ」

シュメル「プレシア、なかなか上達したな。さすがはゼオルートの娘だ」
プレシア「そんな、まだまだです」
シュメル「いやいや、たいしたものだよ。しかし、今のままでは多少力不足の感は否めないな」
プレシア「私も、それは感じてるんですが……」
シュメル「ふむ、ならば、どうだろう。私の技をひとつ、教えてあげよう」
プレシア「え? でも、そんな、いいんですか?」
シュメル「なに、基礎を教えるだけさ。後は君がアレンジすればいい」
プレシア「わかりました、お願いします!」

シュメル「ん? 君は?」
ゲンナジー「ゲンナジー=I=コズイレフと言う者です」
シュメル「ふむ……いい筋肉を持っているようだが、魔装機のあつかいはどうかね?」
ゲンナジー「いささか自信はあります」
シュメル「ほう……ところで話は変わるが、君、この絵、どう思う?」
ゲンナジー「おう! すばらしい!」
シュメル「何!? ホントかね? 本当にそう思うかね?」
ゲンナジー「はい、こんな素晴らしい絵を見たのは始めてです!」
ミオ「え、どれどれ……げえーっ!! な、何よ、この絵!? シュールレアリスム?」
ゲンナジー「何を言っている。美しい女性の絵ではないか」
シュメル「おお、おお!! わかってくれたか!! いやあ、まさかこのような所に私の芸術の理解者がいようとは! 今のセリフ、ロザリーにも聞かせてやりたいものだ」
ゲンナジー「このゲンナジー、久々に芸術に感動いたしました。ぜひ、私にもこの極意をお教えください!」
シュメル「うむ、ありがたい言葉だが、芸術は言葉で伝えられるものではないからな。魂で語るものなのだ」
ゲンナジー「むう、確かに、おっしゃる通りです」
シュメル「だが、私の芸術の理解者に、何も礼をせんというのは心苦しい……そうだ、君に、我が流派の奥義を教えよう」
ゲンナジー「なんと……それはありがたい事ですが……よろしいのでしょうか?」
シュメル「かまわん、永遠の芸術に比べれば、取るに足らんものだが、なにかの役には立つだろう」
ゲンナジー「いえ、師範の剣は、芸術に達していると聞き及びます。それを教えていただけるとは望外のよろこび」
シュメル「うんうん、うれしいことを言ってくれるね。そうだ、そこのお嬢ちゃんも一緒にどうかね?」
ミオ「……あたし、芸術に縁がない生活の方が好きだな……特に、あの芸術とはあんまりかかわりあいたくない」




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