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No.21
無垢なる刺客

【シナリオデモ開始】
地球近海 転空魔城

転空魔城 内部
アルティス「傷の具合はどうだ、フェルナンド」
フェルナンド「この程度……大したことはない」「う、ぐっ…!」
アルティス「そうは見えん。無理をするな」
フェルナンド「それよりも……俺は兄さんの顔に泥を塗ってしまった……」
アルティス「フォルカを仕損じたからか?」
フェルナンド「あ、ああ。そして、奴はまた俺に汚辱を……!」
アルティス「……」
メイシス「……」
フェルナンド「兄さん……いや、アルティス様! もう一度、俺にフォルカを倒す機会を!」
アルティス「……」
フェルナンド「修羅王様から再度奴の討伐命令が出たことは知っている!」
アルティス「フォルカは、私の手で討つつもりだ」
フェルナンド「あなたにそれが出来るのか!?」
アルティス「……」
フェルナンド「轟級の修羅神は貴重だからなどと言って、温情をかけるつもりじゃないのか!?」
メイシス「控えろ、フェルナンド。誰に向かって物を言っている?」
フェルナンド「だが、俺なら何のためらいもなくフォルカを倒せる! 奴がいる限り、俺は……俺は!」
アルティス「……」
フェルナンド「アルティス様!」
メイシス「フェルナンド、お前は二度もフォルカに敗れた。あの漢を倒すことが出来るのか?」
フェルナンド「……『神化』だ」
メイシス「……!」
フェルナンド「俺のビレフォールを神化させれば、必ず奴を……!」
メイシス「修羅神の神化には、危険が伴う。魂力を吸い尽くされ、息絶えた修羅も多い」
フェルナンド「だが、やり遂げた者もいる。アルティス様や、あなたのように」
アルティス「……いいだろう。フェルナンド、お前にフォルカの討伐を任せる」
フェルナンド「は……ははっ!」
メイシス「アルティス様……!」
アルティス「不服か?」
メイシス「い、いえ。あなたのお言葉であれば、従います」
アルティス「そう……強者に従う。それが修羅の掟だ」
フェルナンド「アルティス様。必ずや神化を成し遂げ、フォルカを倒し……将軍としてあなたに横に並んでみせます」
アルティス「その言葉、確かに聞き届けた。だが、出陣は傷が癒えてからだ。よいな?」
フェルナンド「はっ!」
〔歩く足音〕
メイシス「……はたして、あの漢はビレフォールを神化させられるでしょうか?」
アルティス「フェルナンド……そして、フォルカは将軍候補に挙げられた漢だ。可能性は充分にある」「戦いの中で魂力を極限まで高め、修羅神の神化に耐えることが出来れば……」
メイシス「アルティス様は、ヤルダバオトも神化すると?」
アルティス「……」
メイシス「! もしや、それが目的では……」
アルティス「条件は平等。後は操者の心の在り方次第だ……」

地球近海 ヘルゲート

ヘルゲート 内部
デュミナス「……彼女の具合はどうですか?」
ラリアー「落ち着いています。それに、アーマーも機能を発揮しているようです」
ティス「ふ~ん。あたいが着ても、何の反応もなかったのに」
ラリアー「ほら、それ以前にサイズが合ってないし……」
ティス「な、何言ってんのよ! あたいとデスピニスだって、あと3、4年したら胸がおっきくなるかも知れないんだから!」
デスピニス「えっ……」
デュミナス「……ともかく、私の予想は正しかったようですね」
ラリアー「でも……何故、彼女は適合したのでしょうか?」
デュミナス「わかりません。あのお方は私にエミィ・アーマーとGサンダーゲートを託しただけで……」「詳しいことは教えてくれなかった。そして、私は考えた末にあれらが『鍵』の一つだと判断したのですが……」「適合したのは偶然……いえ、過ちなのかも知れません」
デスピニス「……だとしたら、あの子が可哀想……」
ティス「何言ってんの! あたい達はデュミナス様のために生きてんだよ!」「デュミナス様の願いを叶えるためには、何だってやるのさ!」
デスピニス「え、ええ……わかってる……」
デュミナス「ティス、デスピニス、ラリアー……私達の準備は、もうすぐ整います」「“時の歯車”……エクサランスの時流エンジンを私の下へ」
ティス「わかりました、デュミナス様。あたいにちょっとしたアイデアがあるんです」
デュミナス「エクサランスを擁する者達も今まで以上に戦力を集めようとしているはず。無理はいけませんよ?」
ティス「はい。……ついといで、デスピニス」
デスピニス「え、ええ……」

日本近海
クロガネ

クロガネ 艦長室
レーツェル「では、君は修羅としての生き方に疑問を持ち、ソーディアンから脱走したのだな?」
フォルカ「ああ……。そして、俺はこの世界のことをもっと知りたかった」
ゼンガー「知ってどうする?」
フォルカ「………」
レーツェル「ともかく、君のおかげで幾つかの有益な情報が得られた。それについては、感謝している」
フォルカ「手当てをしてもらった借りを返したまでだ」「それに……あの程度のことを話しても、転空魔城は落ちないだろう」
レーツェル「絶界宝の結界に守られているからか?」
フォルカ「ああ。だが、あれや瞬転刀の仕組みは、俺にはわからん……」
ゼンガー「お前の話では、修羅の王アルカイドはソーディアンの転移機能そのものには興味がないようだが」
フォルカ「修羅王の目的は、この世界を新たな修羅界とすること。それに、あの城を手に入れたのは偶然だ」
レーツェル「我々の世界へ来たのもそうだと?」
フォルカ「そうだ。俺達は転空魔城という方舟に乗り、この世界へ漂着したに過ぎない……」
レーツェル「結局、君達修羅は転空魔城の全てを把握していないということか」
フォルカ「その通りだが……城の超技術や瞬転機能の解析は軍師ミザルが行っている」
ゼンガー「デュミナスについては?」
フォルカ「詳しくは知らん。彼らは、転空魔城がこの世界へ漂着してから俺達修羅に接触してきた」
レーツェル「……」
ゼンガー「フォルカ・アルバーク……お前はこれからどうするつもりだ?」
フォルカ「ここから出る」
レーツェル「だが、君は裏切り者として追われる身なのだろう?」
フォルカ「………」
レーツェル「我々と行動を共にするつもりはないか? 少しは力になれると思うが」
フォルカ「自分の生き死には……自分で決めたい」「追っ手に敗れ、命を落とすのならそこまでだったということだ」
ゼンガー「死す時は、例え溝の中でも前のめり……ということか」
フォルカ「何だ、それは?」
ゼンガー「ある漢の言葉だ。新しい時代を創るために戦った漢のな」
フォルカ「……修羅にとって死は終焉でしかない。そこには何の意味もないと思っていた……。だが、その言葉は不思議と俺の胸を打つ」「それを聞いただけでも、修羅の名を捨てた意味があったかも知れん。……礼を言おう」
レーツェル「行くのか、フォルカ・アルバーク……」
フォルカ「ああ。色々と世話になった」
〔扉の開閉音〕
ゼンガー「……あれでいいのか、レーツェル?」
レーツェル「なるようになるさ」
ゼンガー「確信があるのか?」
レーツェル「まあな」
ゼンガー「……それにしても、不器用な男だ」
レーツェル「戦いしか知らなかったのだ。今は初めて見た光が眩しいのだろう」「その眩しさに目を背けるかどうかは、本人次第だ」
ゼンガー「戦いの中でしか生きられない修羅と、戦うことで生き抜く者……」「フォルカ・アルバーク……彼が進む道はどちらだろうな」

クロガネ 格納庫
フォルカ「………」
コウタ「おい……行っちまうのかよ?」
フォルカ「ああ。お前とショウコには済まないことをした」
コウタ「今さら謝られたってな」
フォルカ「……その通りだ」
コウタ「それに、人の妹を勝手に呼び捨てにするんじゃねえよ」
カーラ「あんたってさ……もしかして、シスコン?」
コウタ「な、何だよ! 兄貴が妹の心配して、何が悪いんだよっ!」
マサキ「まあ、お前の気持ちはわかるけどな」
ラウル「ああ……」(フィオナ……)
フォルカ「………」
マサキ「で、あんたはこれからどこへ行くんだ?」
フォルカ「アサクサ……という地へ」
コウタ「浅草だぁ!?」
アラド「それって、コウタの……」
ゼオラ「家がある所よね」
フォルカ「ショウコから浅草の話をよく聞いた……。それで、もう一度自分の目で見たいと思った」
マサキ「もう一度?」
ゼオラ「コウタが浅草で初めてコンパチブルカイザーに乗った時、あの人もいたのよ」
コウタ「……よりにもよって、浅草かよ」
フォルカ「それに……会いたい者がいる」
コウタ「は? 誰だよ?」
フォルカ「………」
カーラ「ちょうどいいじゃん。コウタ、あんたが浅草へ連れて行ってやりなよ」
コウタ「え!? な、何で俺が!?」
カーラ「だって、パチンコカイザーの整備で家に帰るんでしょ?」
コウタ「そりゃそうだけどさぁ……」
マサキ「あんな獅子舞ロボを連れて浅草なんぞに行ったら騒ぎになるぜ? 正月ならともかくさ」
コウタ「正月に行った方が騒ぎになるっつーの! 浅草寺や仲見世は、ものすげえ人出なんだから!」
カーラ「ともかくさ、地元の人間が案内した方が何かといいでしょ。よろしくね、コウタ」
コウタ「だから、どうして俺が修羅野郎を!」
フォルカ「……」
カーラ「この人だけじゃないよ。あたしも行くから。お祭りとか好きなんだ~」
コウタ「しょっちゅうやってるわけじゃねえよ!」
マサキ「う~ん、浅草か……久しぶりだな。俺も行ってみてえ」
ラウル「俺も……アズマ博士に聞いてみたいことがあるんだ」
アラド「焼きソバ! 人形焼き! ウナギ! 天ぷら! すき焼き!」
ゼオラ「もう、遊びに行くんじゃないのよ」
アラド「わかってるけどさ、ラトも連れて行こうぜ。ジャーダさんやガーネットさんに会いたいだろうしさ」
ゼオラ「そうね……」
カーラ「とりあえず、レーツェルさんに相談してみよ」

クロガネ ブリッジ
レーツェル「……なるほど。では、休暇がてらということで許可しよう」
カーラ「やったぁ! ねえねえ、ユウも一緒に行く?」
ユウキ「全員で行くわけにはいかん。俺は残る」
カーラ「ちぇっ、つまんないの~」
コウタ「……ったく、何でこんなことに」
レーツェル「フォルカも連れて行くのか?」
カーラ「ええ。言い出しっぺですから」
レーツェル「ふむ……」
コウタ「つーか、ホントに用事があるのは俺だっての!」
カーラ「まあ、いいからいいから」
ユウキ「……ところで、コンパチブルカイザーのような特機をどうやって浅草へ? あそこは下町なのだろう?」
コウタ「カイザーは短い距離ならワープ出来るんたけどさ、エンジンの調子に左右されるから……」「今回は爺ちゃんが作った秘密地下搬入ルートを使うんだ」
ユウキ(浅草の地下はいったいどうなってるんだ……?)
レーツェル「では、諸君……くれぐれも気をつけてな」
カーラ「は~い!」
レーツェル「それと……雷おこしを土産で頼む」
カーラ「了解! ゲットしてきま~す!」

日本 東京・浅草地区

アズマ研究所 居間
キサブロー「みんな、よう来た。狭い所じゃが、のんびりしていってくれ」
カーラ「じゃあ、遠慮無く!」
コウタ「爺ちゃん、後でアラド達がジャーダさんとガーネットさんを連れて来るから」
キサブロー「うむ」
マサキ「畳なんて、久しぶりだぜ」
シロ「コタツ! コタツはニャいのか?」
クロ「この季節に出てるわけがニャいニャ」
キサブロー「おお、これは……! 超リアルな猫型ロボットじゃのう」
コウタ「爺ちゃん、違うから」
クロ「そうそう。あたし達はファミリアニャ」
キサブロー「そうじゃったか。で、メーカーはどこかの?」
コウタ「だから、違うっつーの。……こうなったら、職業病だな」
ミズホ「キサブローさんは、ロボット工学の権威だったとコウタ君からお聞きしてますが……」
キサブロー「む……まあ、そんなご大層なものではないがのう」
コウタ「でも、前は秘密研究所みたいな所にいたんだろ?」
キサブロー「……EOIT機関のことか?」
マサキ「え!?」
シロ「それって、DCの前身の……」
キサブロー「そうじゃが……ワシはDC戦争が始まる前にビアンと袂を分かったんじゃ」
マサキ「爺さん、ビアンと知り合いだったのか!?」
キサブロー「うむ……ワシの古い友人での。あやつの真意はわかっておったのじゃが……ワシはDCに協力する気にはなれなんだ」
マサキ「もしかして、爺さん……シュウの野郎のことも知ってんのか?」
キサブロー「二、三度しか会ったことがない。彼はEOTI機関の所属じゃったが、アイドネウス島にはほとんどおらんかったからの」
マサキ「そりゃまあ……そうだろうな」
カーラ「けど、よくEOTI機関を辞められたね。秘密機関だったんでしょ、あれ……」
キサブロー「ビアンは、ワシの考えとワシがやろうとしていたことを理解してくれてな。特別に退所許可が出たんじゃ」「その後、ワシはこの浅草にこもり、BFベースの建造とコンパチブルカイザーの修理をしておった」
ミズホ「あの地下施設は素晴らしいと思います」
ラウル「それで、あの……博士にお願いしたいことがあるんですが」
キサブロー「何じゃ?」
ミズホ「あたし達が作ろうとしているエクサランスの新フレームの設計図を見ていただきたいんです」
ラウル「設計図自体は出来ているんですが、博士のアドバイスがいただけたらと……」
キサブロー「うむ。孫が世話になっておるからの。ワシで良ければ協力する」「それに、カイザーの修理用資材が余っておるから、持って行って使うとええ」
ミズホ「あ、ありがとうございます!」
ラウル「でも、いいんですか……?」
コウタ「おうよ。これが江戸っ子の心意気って奴でい」
キサブロー「お前が言うな、お前が」
カーラ「……ところで、コウタ。いつもあんたが喋ってるロアって人はどこ?」
コウタ「あ、それは……」
マサキ「ここから通信してんだろ?」
コウタ「え、ええっと……」
キサブロー「何じゃ、コウタ……お前、ロアのことをきちんと説明しておらんのか?」
コウタ「ああ、言いそびれちまってさ」
マサキ「どういうこった?」
キサブロー「ロアはロア・アーマーと一体化しておっての。彼自身の肉体はないんじゃ」
マサキ「そうだったのか……」
キサブロー「じゃから、基本的にはコウタがファイター・ロアに変身した時にしか彼と話すことは出来ん」
コウタ「俺は変身してなくてもあいつと話が出来る時もあるけどよ」
キサブロー「………」「……ところで、コウタ。あそこにいる御仁は? さっきから一言も喋っておらんが」
フォルカ「………」
コウタ「ああ、あいつはフォルカって言って……ソーディアンから脱走してきた奴さ」
キサブロー「何……!? では、お前達が持ってきたあの修羅神は……」
コウタ「あいつのだ」
キサブロー「なら、ショウコをさらったのは……彼か」
フォルカ「………」
キサブロー「………」
フォルカ「俺は……詫びなければならん。俺のせいで、ショウコは……」
キサブロー「……いや、お主の気持ちはわかった。それ以上は言わんでええ」
フォルカ「……!」
コウタ「爺ちゃん……」
キサブロー「悔いがあるからこそ、彼はワシの所へ来たんじゃろう」
コウタ(そうか、フォルカが会いたい相手ってのは……爺ちゃんか)
キサブロー「過ぎたことは水に流そう」
コウタ「で、でもよ」
キサブロー「それが江戸っ子の心意気じゃ。違うかの?」
コウタ「わ……わかったよ、爺ちゃん」
フォルカ「………」
キサブロー「のう、お主に一つ頼みがあるんじゃが」
フォルカ「……何だ?」
キサブロー「コウタはショウコを助け出そうとしておる。それに協力してやってくれんか」
フォルカ「……!」
キサブロー「修羅と戦えとは言わん。ソーディアンに関する情報をくれるだけでもええんじゃ」「とにかく、ショウコを助けるための手助けをしてやって欲しい。お主があの子をさらったことを悔いておるのなら」
フォルカ「………」「……わかった」
コウタ「フォルカ、あんた……」
キサブロー「よし、そうと決まれば寿司でも取るか。いや、その前にお茶菓子を……」
ミズホ「じゃあ、あたしが買ってきます」
ラウル「俺も行くよ」
カーラ「あたしも。雷おこしを買いに行かなきゃね」
キサブロー「では、頼むぞい。ワシはコンパチブルカイザーの整備をするでな」

浅草寺 境内
ジャーダ「ちょっと早く来すぎたかな」
ガーネット「何言ってんの。いつもは時間にルーズなくせに」
ジャーダ「う、うるせえ」
デスピニス「………」
ティス「………」
ジャーダ「ん? あの子ら、迷子かな?」
ガーネット「そうかも知れないわね」
デスピニス「………」
ジャーダ「よう、お嬢ちゃん達。さっきからキョロキョロしてるけど、迷子かい?」
デスピニス「え……?」
ティス「迷子とか、そんなんじゃないから。放っておいてくれる?」
ジャーダ「そ、そうかい」
ガーネット「悪気があって聞いたんじゃないのよ。ごめんね」
デスピニス「………」
デスピニス「あ、あの……一つ聞いていいですか……?」
ガーネット「何?」
デスピニス「どうしてそんなにお腹が大きいんですか?」
ガーネット「それはね……。この中に赤ちゃんがいるからよ」
ジャーダ「しかも、二人な」
デスピニス「赤ちゃん……?」
ガーネット「そうよ。あたし、もうすぐお母さんになるの」
デスピニス「知っています……。お母さんって、創造主のことですよね」
ジャーダ「そ、創造主ぅ? 随分と難しい言葉を知ってんだな」
ティス「あのさ、放っておいてって言ったでしょ。行くよ、デスピニス」
デスピニス「うん……」
〔歩く足音〕
ジャーダ「……何か変わった子供達だな」
ガーネット「そうねぇ……」
〔走る足音〕
アラド「ジャーダさーん! ガーネットさーん!」
ジャーダ「お、アラド達が来たぞ」
ゼオラ「ごめんなさい、待ちました?」
ガーネット「ううん」
ラトゥーニ「ガーネット……身体は大丈夫?」
ガーネット「ええ、もうすぐ入院するけどね」
ゼオラ「じゃあ、いよいよ出産なんですね」
ジャーダ「ああ。あれから修羅は浅草に出てきてないが……そん時ばかりは何もないことを祈るぜ」
アラド「……赤ちゃんが生まれる前にこの戦いを終わらせてみせるッス」
ゼオラ「ええ……ショウコを助け出して」
ラトゥーニ「だから……ガーネットは赤ちゃんを産むことに専念して」
ガーネット「うん」
ジャーダ「ありがとな、お前達……」

アズマ研究所前
ミズホ「カーラさん、遅いな……」
ラウル「買い物をするだけだってのに、何で準備に時間がかかってんだ?」

アズマ研究所前
ティス「………」「データと一致……見つけたよ。やっちゃおうか、デスピニス」
デスピニス「でも……上手くいくの……?」
ティス「あいつらはあたい達の顔を知らない。それに、さっきも人に声をかけられたでしょ。あんた、頼りなさそうに見えるんだよ」
デスピニス「ごめんさない……」
ティス「それにあいつら、人が良さそうだし……引っ掛かってくれるよ」
デスピニス「………」
ティス「手順はわかってるね?」
デスピニス「う、うん……」
ティス「今、ここの地下にはコンパチブルカイザーがいるはずだから……手間取ると面倒なことになるよ」
デスピニス「………」
ティス「頑張んなよ、デスピニス。デュミナス様のためにね」
デスピニス「うん……」
ミズホ「……ラウルさん、カーラさんがあと15分くらい待ってって」
ラウル「何やってんだ、あいつ?」
ミズホ「お財布をアージェント・ファイターのキャリアーに置いてきてしまって……今、取りに行ってるんですって」
ラウル「しょうがないなぁ、もう」
〔走る足音〕
ラウル「わっ!」
デスピニス「あっ……! ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……」
ラウル「あ、ああ……そんなに謝らなくてもいいよ。俺は何ともないから」
デスピニス「ごめんなさい……」
ミズホ「ケガ、してない? 大丈夫?」
デスピニス「え、ええ……」
ミズホ「随分急いでたみたいだけど、何かあったの?」
デスピニス「あ、あの……お友達との待ち合わせ場所を探してたんですけど、よくわからなくて……」
ラウル「う~ん……困ったな。俺達もこの辺りのこと、よく知らないんだ」
デスピニス「あ……地図が……! 地図があります!」
ラウル「そうか……それなら大丈夫だな。危ないから、無暗に走っちゃ駄目だよ」
デスピニス「で、でも……その……」
ラウル「?」
デスピニス「あの……」
ミズホ「待ち合わせ場所はこの近くなんでしょ。あたし達も一緒に行ってあげようか?」
デスピニス「は、はい……」
ラウル「そうだな。ちょっとぐらいなら時間あるし」
デスピニス「お願いします……」
ラウル「俺はラウル。こっちのお姉ちゃんはミズホだ。君の名前は?」
デスピニス「デスピニス……」
ラウル「ふ~ん、変わった名前だな……」
デスピニス「ごめんさない……」
ラウル「あ、その……責めたわけじゃないからさ」
デスピニス「デスピニスという名は創造主……いえ、お母さんがつけてくれたんです」
ミズホ「創造主って……」
ラウル(何だか変わった子だ……。それに、声に聞き覚えがあるような……)
デスピニス「………」
ラウル「じゃあ行こうか、デスピニス。この場所なら、歩いてすぐだ」
デスピニス「はい……」
【シナリオデモ終了】


サブタイトル
「無垢なる刺客」


【戦闘マップ開始】
ラウル「地図の指定だと、ここら辺だな」
ミズホ「お友達はいないみたいね」
デスピニス「ごめんなさい……」
ラウル「いや、もう謝らなくてもいいってば」
デスピニス「……あの……一つ聞いていいですか?」
ラウル「何だい?」
デスピニス「どうして、私を……?」
ラウル「ああ……。俺さ、自分達が作った物のせいで仲間に色々と迷惑をかけててね」「でも、みんなは俺達を助けたり、親切にしてくれる。それが嬉しくてさ……」「だから、こういう時は逆の立場になりたいと思ってね」
デスピニス「………」
ミズホ「ラウルさん、こっちに近づいてくる人が……」
ラウル「ん?」
ティス「……あんた達、その子を連れてきてくれてありがとね」
ミズホ「デスピニスちゃん、お友達ってあの子なの?」
デスピニス「は……はい。ティス……です……」
ティス「ねえねえ、あんた達。これ見て」
〔銃を構える音〕
ラウル「!!」
ミズホ「あ、あなた!?」
ティス「命が惜しかったら、あたい達に時流エンジンを渡しな」
ラウル「何っ!?」
デスピニス「私達の創造主……お母さん……デュミナス様は、あれを必要としているんです……」
ミズホ「デュ、デュミナス!?」
ラウル「お前ら、あいつの手先なのか!?」
ティス「そうだよ! まんまと騙されたね! キャハハハハ!!」
ミズホ「そ、そんな……!」
デスピニス「ごめんなさい……」
ミズホ「で、でも、デュミナスがお母さんって……」
ティス「あたい達はデュミナス様に作られたテクニティ・パイデス。言わば、ホムンクルスなのさ」
ラウル「……!!」
ティス「あたいらが何で子供の姿をしているか、教えてあげよっか」「それはね、敵を油断させるためなんだ」
ラウル「な、何だと……!?」
ティス「その証拠に……あんた、デスピニスが敵だなんて思わなかったでしょ?」
ラウル「お、お前ら……人の心をもてあそんで……!!」
ティス「全てはデュミナス様のためさ」
デスピニス「だから……時流エンジンを渡して下さい」
ティス「でなきゃ、殺しちゃうよ?」
ラウル「く、くそっ!!」
ティス「さあ! どうすんのさ!?」
コウタ「どうするもこうするもあるか!」
ティス「!!」
ラウル「コウタ!!」
コウタ「カーラに頼まれて、お前らを探しに来たんだ!」
ティス「チッ! 厄介な奴が!」
コウタ「今までちょっかい出してきやがったのは、てめえらだったのか!」「行くぞっ! バーナウ! レッジー・バトー! ファイター・ロアッ!!」
〔炎の戦士顕現〕
〔味方ユニット出現〕

コウタ「てめえら! そこを動くんじゃねえぞ!!」
ティス「もう、いい線行ってたのに! こうなったら!」「おいで、テュガテール!」
デスピニス「エレオス……私の下へ……」
〔敵ユニット出現〕
コウタ「あいつら、オカルトロボを呼び出しやがったか!」
ロア「……コウタ、コンパチブルカイザーは整備中だ。すぐには発進できんぞ」
コウタ「わかってる! 何とか時間を稼いでやらあ!」「ラウル、ミズホ! 今の内に俺んちまで逃げろ!」
ラウル「あ、ああ!」
コウタ「さあ、ガキ共! 俺が相手になってやる!!」
ティス「あんただって子供のくせにナマ言うんじゃないよ!」
コウタ「るせえ! 俺の方が年上だ!」
ティス「ム、ムッカ~! あんたなんか、このテュガテールで踏み潰してやるよ!」
デスピニス「それは駄目……あれも『鍵』だから……」
ティス「チェッ! なら、死なない程度にいたぶってやる!」
コウタ「やれるもんなら、やってみやがれ!!」
カーラ「敵が出て来たよ! どうする!?」
アラド「でも、おれ達は自分の機体を持って来てないッス!」
キサブロー「お主達は地下搬入路を使ってクロガネへ戻るんじゃ!」
ゼオラ「だけど、コウタ一人じゃ!」
キサブロー「ワシが一刻も早くカイザーを出せるようにする!」「お主達はクロガネへ行き、コウタ達を助けに戻ってきてくれ!」
マサキ「わかったぜ、爺さん!」
ガーネット「みんな、気をつけてね!」
ラトゥーニ「うん……!」
フォルカ「………」「……キサブロー、頼みがある」
キサブロー「頼み、じゃと……!?」
<戦闘開始>

<デスピニスorティスHP90%以下or3PP・味方援軍1&敵増援1出現>

コウタ「爺ちゃん! コンパチカイザーはまだかよ!」
キサブロー「もうしばらくかかる! だが、今、助っ人が出る!」
コウタ「助っ人!?」
キサブロー「煙幕噴射装置、作動! 3番リバー・ゲート、オープン!」
〔味方ユニット出現〕
コウタ「ラウル! フォルカ!」
フォルカ「コウタ……俺も戦おう」
コウタ「あんた……!」
フォルカ「俺が犯した罪を償うために……ショウコを助けるために」「そして……俺が生きる道を見つけ出すために」
ティス「フン、いつの間にかあいつらと仲良くなっちゃってさ」「裏切り者の始末はあたいの役目じゃないけど、邪魔するんなら相手になってやるよ!」
デスピニス「ティス……あれを……」
ラウル「………」
デスピニス「エクサランスのコア……」「時流エンジンはあれに搭載されてる……」
ティス「あははは! あいつ、バッカじゃないの!? フレームなしで出てくるなんてさ!」「あれじゃ、獲って下さいって言ってるようなもんだよ!」
コウタ「ラウル、そいつで戦うのは無茶だ!」
ラウル「人のことは言えないだろ! アージェント・ファイターでも援護ぐらいは出来る!」
コウタ「けど、あいつらの狙いは!」
ラウル「デスピニス達はこの機体を落としはしない! それを逆手に取ってやる!」
ティス「このチャンス、逃がすもんか! 早めにケリをつけてやるよ!」
〔敵ユニット出現〕
コウタ「チッ、雑魚が出て来やがったか!」
ロア「さすがに今の俺達だけであれだけの相手をするのは厳しいな」
フォルカ「俺が奴らを引きつける。コウタ、ラウル……お前達は無理をするなよ」
ラウル「りょ、了解!」

<デスピニスorティスHP70%以下or4PP・味方援軍2出現>
コウタ「くっ! コンパチカイザーはまだかよ!」
ロア「コウタ、援軍が来たぞ」
コウタ「! もう来てくれたのか、クロガネが!?」
ロア「いや、あれは……」
〔味方戦艦出現〕
〔味方ユニット出現〕

リュウセイ「コウタ! ラウル! 助けに来たぞ!」
コウタ「ハガネのみんなか! ありがてえ!」
ラウル「何故、みんながここに……?」
リョウト「僕達はちょうど伊豆基地へ帰る途中だったんだ」
リオ「それで、ここで戦闘が起きてることを知って来たの」
ラウル「そうだったのか……」
ティス「ハッ! エクサランスとコンパチブルカイザー以外には遠慮なんてしないからね!」
デスピニス「ごめんなさい……。私達は生きるためにあなた達を倒します」
イルム「あの2体……ヘルゲートで見た奴だよな」
ライ「ええ、デュミナスの配下です」
イルム「可愛い声して何とやら……って奴ね」
ラーダ「それに、あの修羅神は……」
フォルカ「………」
コウタ「あいつ、今は俺達の味方をしてくれてんだ」
カイ「何っ?」
アヤ「どうして? 彼は修羅なんでしょう?」
コウタ「でも、俺達の敵じゃねえ。詳しい話は後でするぜ」
カイ「そうか……わかった」
テツヤ「各機、攻撃開始! 敵機を浅草から叩き出せ!」
ヴィレッタ「了解!」

<デスピニスorティスHP50%以下or5PP・味方援軍3出現>
キサブロー「コウタ、コンパチブルカイザーの発進準備が整ったぞ!」
コウタ「わかったぜ、爺ちゃん!」
〔遊園地、共鳴〕
〔エネルギーの充填音〕

キサブロー「ハンガーロック、解除! クレイドル、リフトアップ・スタンバイ!」「地上部、安全確認! 防御柵、煙幕噴射装置、作動!」「フラワーハウスゲート、オープン!」
[イベントデモ「コンパチブルカイザー発進!!」]
リュウセイ「うおっ! コンパチカイザーって、ああやって発進すんのか!」
マイ「まるでロボットアニメみたいだ……」
リュウセイ「ああ、イカスぜ!」
ライ「そんなことを言っている場合か」
リュウセイ「いや、つい……」
ロア「コウタ、カイザーを呼べ」
コウタ「おう! 来い! ロボォォォッ!!」
〔コンパチブルカイザー、コウタへ隣接〕
〔コウタ、コンパチブルカイザーへ移動〕
〔コンパチブルカイザーのパイロット、無人→コウタへ変更〕

コウタ「合身完了! さあ、仕切り直しだぜ!!」
ティス「出て来たね、コンパチブルカイザー! 壊さない程度に痛めつけてやるよ!」

<ラウルvsデスピニス>
ラウル「デスピニス! 君はっ!!」
デスピニス「大人しく時流エンジンを渡してくれたら……」「命だけは助けてあげられるかも知れません……」
ラウル「か、かも知れないって……!!」
デスピニス「ご、ごめんなさい……」
ラウル「……!」
コウタ「ラウル! そいつの口調に騙されんな!!」
ラウル「わ、わかってる!」

<ラウルvsティス>
ラウル「今まで戦ってきた相手が、あの子達だったなんて…!」
ティス「お兄ちゃん……あたい達をいじめないで……」
ラウル「う……!」
ティス「キャハハハハ! バーカ! ま~た引っ掛かったね!」
ラウル「くっ! このぉっ!!」
ティス「そんな戦闘機で何が出来るのさ! 適当に痛めつけて、持って帰ってやる!」

<コウタvsティス>
コウタ「てめえら、お仕置きぐらいじゃ済まさねえぞ!!」
ティス「う、うえ~ん…お兄ちゃんがいじめるよぉ……」
コウタ「!?」
ティス「あはははは! 騙された? ねえ、騙された?」
コウタ「こ、このガキ! ふざけんじゃねえぞっ!!」

<フォルカvsティス>
ティス「あんた、罪滅ぼしのつもりであいつらに協力してんの?」
フォルカ「それもある……!」
ティス「ふふん。ショウコはね、もう手遅れだよ」
フォルカ「何!? どういうことだ!?」

<デスピニスorティス撃破orHP20%以下・勝利条件達成>
※※デスピニス撃破orHP20%以下の場合のセリフ※※
デスピニス「くっ! ううっ……!!」
ティス「デスピニス!」
デスピニス「ご、ごめんなさい……!」
ティス「しょうがないね、あんたは転移して帰りな!」
デスピニス「う、うん……」
〔エラー音エラー音〕
デスピニス「て、転送装置が……!」
ティス「えっ!?」
※※ティス撃破orHP20%以下の場合のセリフ※※
ティス「きぃぃぃっ! よくも!!」
デスピニス「ティス、ここは退きましょう」
ティス「ううっ、時流エンジンとコンパチブルカイザーが目の前にあるのにさ!」
デスピニス「私達のお母さんは……無理をしてはいけないと……」
ティス「わ、わかったよ……! 転移を!」
〔エラー音〕
ティス「! 転移装置が!!」
デスピニス「えっ……!?」

コウタ「動きが止まった! 一気にケリをつけてやるぜっ!!」
ティス「デスピニス! このまま離脱するよ!」
デスピニス「え、ええ!」
〔デスピニス&ティス、後退〕
コウタ「逃がすかよっ!!」
〔コウタ、デスピニスへ接近〕
ロア「! コウタ、転移反応が!」
コウタ「!!」
〔敵ユニット出現〕
フォルカ「あれは……!?」
???(エミィ)「………」
コウタ「何だ、あいつ!?」
ロア「ま、まさか!?」
???(エミィ)「ファイター・ロア……!」
〔???(エミィ)、コウタへ接近〕
〔???(エミィ)、コウタへ接近〕

[イベント戦闘「コウタvs ???(※エミィ)」]
???(エミィ)「お前は…敵だ…!」「これで決める…!」「オーバーブースト…!」「ゲートブレイッカー!」
コウタ「うあああっ!!」「あいつ、どこへ行きやがった!?」

〔コウタに爆発〕
フォルカ「コウタ!!」
コウタ「うぐっ! 何なんだ、あいつっ!?」
???(エミィ)「………」
フォルカ「あんな物は見たことがない……! あれもデュミナスの手の者か?」
ラリアー「ティス、デスピニス、今の内に!」
ティス「う、うん!」
〔デスピニス&ティス、マップ端へ移動〕
〔敵ユニット離脱〕

コウタ「くそっ! 逃がしゃしねえぞ!!」
テツヤ「スティールより各機へ! 直ちに敵機を追撃せよ!」
カイ「了解!」
ロア「……形や色は変わっているが、あのシルエットは……」
コウタ「!?」
ロア「しかし、あれはあの時に……」
コウタ「ロア! お前、あいつを知ってんのか!?」
ロア(あり得ない……。彼女は奴に……)
コウタ「ロアッ!!」
ロア「………」
【戦闘マップ終了】


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