バン「彼らは元々DCのメンバーだ。それに、DC戦争後も残存勢力を率いていたアードラー副総帥に……」「アースクレイドルを戦力拠点として提供した事実もある」
アーチボルド「その結果、あの老人は戦死しましたけどね」
バン「……」
アーチボルド「僕が得た情報では、アースクレイドルの責任者、ソフィア・ネート博士は……」「人類同士の争いを悲観していた人物だと聞いています」「その証拠に、彼女は副総帥の戦死後、連邦軍が踏み込む前に……」「クレイドル内のDC残存戦力を放逐し、地中深くで未来への人工冬眠に入ったはずです」「それが何故、今になって姿を現したのです?」
バン「……アースクレイドルの中で何かが起きたことは間違いない」「だが、強固な外殻を持ったあの巨大地下人工冬眠施設は、我々にとってこの上ない拠点となる」
アーチボルド「ま、確かに……。使いようによっては、自給自足が可能な地下要塞となりますからね」
バン「彼らを心底から信用するつもりはない。だが、行ってみなければわからぬこともある」
アーチボルド「わかりました。では、僕達は連邦軍の目を引きつけるため、しばらく別行動をとります」
バン「うむ。アースクレイドルで待っているぞ」

DC戦艦艦橋
DC残党兵「少佐、お茶をお持ち致しました」
アーチボルド「おや、もうそんな時間ですか」
DC残党兵「はっ」
アーチボルド「ところで、バン大佐のライノセラスは?」
DC残党兵「すでにこのエリアからの離脱に成功しています」
アーチボルド「結構」(新たな総帥の器か否か、お手並み拝見と行きましょうか、バン・バ・チュン大佐)
DC残党兵「少佐、『ローズ』より暗号電文あり。補給物資は予定通りこちらへ輸送するとのことです」
アーチボルド「相変わらず、彼女のやることにはそつがありませんね」(さて、お嬢様は今度はどんなお宝が欲しいのやら……)
DC残党兵「……シロガネ、第一警戒網を高度700で通過。約30分後にこちらと接触します」
アーチボルド「来ましたね。では、丁重に出迎えしましょうか……ユウキ君、カーラ君」
カーラ「わかったよ」
ユウキ「……」
カーラ「どうしたの、ユウ?」
ユウキ「少佐、アースクレイドルの連中の申し出を受けるという話は本当なのですか?」
アーチボルド「……ああ、そこの君。ユウキ君にも紅茶を頼みます」
DC残党兵「はっ」
ユウキ「少佐……!」
アーチボルド「君もこの時間のお茶は欠かさないのでしょう?」「どうです? このアッサムティーは入手に苦労しただけあって、なかなかの物ですよ」
ユウキ「結構です。それより……」
アーチボルド「バン大佐の判断に疑問があるのは僕も同じですが……」「君達は黙って僕の命令に従っていればいいんです。あ、でも、助言は歓迎しますよ?」
ユウキ「……では、少佐。ティーカップは紅茶を注ぐ前に温めておくことをお勧めします」
アーチボルド「ほう、それで?」
ユウキ「駐留地で新鮮な水を得たとは言え、ここの水質は硬水。茶葉からの抽出力がやや低いのです」
カーラ(あ~あ、始まっちゃった。ユウは紅茶のことになると、ホントうるさいんだから)
ユウキ「……にも拘わらず、『ポットのための一杯』を余分に急須へいれるのを忘れています」
アーチボルド「なるほど。勉強になりましたよ、ユウキ君」
ユウキ「最後に一つ。何故、この時期にアッサムティーを?」
アーチボルド「ああ、僕はこの紅茶が好きなんですよ。……血の色に似ていますからね」
ユウキ「……では、出撃します」
アーチボルド「頑張って下さい。僕達の理想のために、ね」
ユウキ(よく言う……)

DC戦艦格納庫
〔警報〕
DC残党兵「アーマードモジュール隊、発進急げ! 繰り返す! アーマードモジュール隊、発進急げ!」
カーラ「ねえ、ユウ! 待ちなよ、パートナーを置いてく気?」
ユウキ「誰がパートナーだ」
カーラ「あたしに決まってんじゃん」
ユウキ「……」
カーラ「なに怒ってんの? そんなに紅茶のいれ方が気に入らなかったの?」
ユウキ「違う。何故、この艦から降りなかった? バン大佐の許可も得ていたんだぞ」
カーラ「だって、ここまでユウ達と関わった上に抜けたら、無事じゃ済まないでしょ?」
ユウキ「大佐はそんな人じゃない」
カーラ「ううん。あいつはあたしを殺すよ、絶対」
ユウキ「あいつ? もしかして、アーチボルド少佐のことか?」
カーラ「うん。英国貴族の末裔だか何だか知らないけど、本当は……」
ユウキ「そこまでにしておけ」
カーラ「あ、もしかして、あたしのこと心配してくれてるんだ?」
ユウキ「どうしてそうなる? ……まったく、今回が最後のチャンスだったというのに」
カーラ「だから、言ったじゃん。あの時、ユウに助けてもらった恩もあるし……」「あんたのこと、気に入っちゃったって」
ユウキ「嘘をつくな。お前の目的は……復讐のはずだ」
カーラ「なに言ってんの。今時、そんなの流行らないよ」
ユウキ「それ以外の目的があって、俺達と共に戦っていると言うのか?」
カーラ「……」
ユウキ「まあいい。出撃するぞ」
カーラ「うん」(……でも、ユウ。さっきの言葉、嘘じゃないんだよ)

シロガネ艦橋
〔爆発音〕
〔画面、振動〕

一般兵「右舷第12ブロックに被弾! 損傷軽微!」
リー「右舷対空機銃、上方に弾幕を展開せよ」
〔警報〕
一般兵「12時方向に大型熱源反応あり! ライノセラス級、艦影1!」
リー「本命……いや、1隻なら後詰めか」(ケネスが得た情報は我々を誘き寄せるエサ……どうやら、DC残党に一杯食わされたようだな)(ならば、その代償を支払わせてやる……!)
一般兵「艦長! 敵砲台は沈黙しましたが、若干の歩兵戦力が森林地帯へ逃げ込みました!」
リー「敵に降伏の意思なしと判断する! 気化燃焼爆雷を投下し、森林ごと奴らを焼き払え!」

シロガネ格納庫
〔爆発音〕
〔画面、振動〕

ブリット「くっ! まだ地球人同士で戦わなきゃならないなんて……。これじゃ、DC戦争の時と同じだ」
エクセレン「しょうがないんじゃない? 向こうには向こうの正義ってものがあるんだから」
ブリット「正義って……! いつエアロゲイターがやって来るかわからないんですよ!?」
ラミア(エアロゲイター?)
ブリット「内乱なんかやってて、奴らにその隙を突かれでもしたら、今度は……!」
エクセレン「ん~、DCの残党さんは私達がアテにならないんでしょ。あるいは別の目的があるのかも」
ブリット「別の目的って……。まさか、この期に及んで?」
ラミア「……少尉、一つお聞きしてよろしいでございますか?」
ブリット「何ですか?」
ラミア「エアロゲイターとは、いったい?」
ブリット「この間、地球圏を襲撃した異星人のことですけど……知らなかったんですか?」
エクセレン「変ねえ。大統領さんの東京宣言、テレビとかで結構放送してたでしょ?」
ラミア「あまりそういう物は見ないでございますのことよ、ほほほ」
キョウスケ「……」
ラミア(……うかつな質問だったか)(だが、エアロゲイター……私のデータにある異星人のコードネームとは違うな)
一般兵「ブリッジよりATXチームへ! PT降下、30秒前!」
キョウスケ「アサルト1、了解。……みんな、出番が来たぞ」
ラミア「追撃ではなく、撃破命令……敵は逃げる気がないでございますね」
エクセレン「つまり、私達はハズレを引かされたってこと?」
キョウスケ「おそらくな」
【シナリオデモ終了】


サブタイトル
「聖十字軍の残身」


【戦闘マップ開始】
〔敵ユニット出現済み〕
〔味方戦艦出現〕

リー「こちら、リーだ。戦況から判断して、敵集団をオトリと断定する」「よって、作戦を変更……パーソナルトルーパー隊はエリア内の敵機を掃討せよ」
キョウスケ「了解」
エクセレン「ここで得点を稼いで、本命を逃がしちゃった埋め合わせをしようってことかしらん?」
リー「何だと?」
エクセレン「あらん、聞こえちゃったでございますのこと?」
リー「エクセレン・ブロウニング、貴様……!」
ラミア(真似される方はいい迷惑だが)
キョウスケ「こちらアサルト1。艦長、出撃許可を」
リー「む……。よかろう、出ろ」
〈出撃準備〉
ブリット(敵は撤退する素振りも見せない……あくまでも戦う気か)
アーチボルド「ほう……。ここを突破せず、僕達の相手をしてくれるみたいですね」「臨機応変な判断をする優秀な艦長のようですが……」「それだけに今後も僕の策に乗ってくれることでしょう」
エクセレン「ねえ、キョウスケ。あの戦闘機と戦車、どこ製の奴? 識別コード、ないんだけど」
キョウスケ「DC残党が開発したものか……?」
ラミア(あの機体は……)
〔カーソル、ソルプレッサを指定〕
ラミア(FI社の戦闘機、ソルプレッサ……)
〔カーソル、フュルギアを指定〕
ラミア(そして……Z&R社のホバータンク、フュルギアか)(だが、あの二人が知らないところを見ると、こちらには……)
アーチボルド「各機へ。相手はあのATXチームです。まともに相手をするとただではすみません」「適当なタイミングで合流ポイントへ向かって下さい」
ユウキ「了解。攻撃を開始する」
ブリット「待て! お前達も東京宣言を聞いただろう! 今は地球人同士で戦っている場合じゃないんだぞ!」
エクセレン「ブ、ブリット君?」
ラミア(通常周波数で敵へ通信だと? 正気か?)
アーチボルド「おやおや、若い……それに熱いですねえ」
ブリット「俺達の敵は同じはずだ! こんな所で戦力を消耗するなんて、無意味だ!」「あんた達も地球圏のことを考えているのなら、すぐにこの戦いをやめろ!」
アーチボルド「フッ……真顔でああいうことを言える人間がまだいるとはね」「ですが、あの手の類は無視をするに……」
ユウキ「連邦のパイロット。一つ言っておくぞ」
アーチボルド(ユウキ君? やれやれ、君も律儀ですねえ)
ユウキ「お前達では地球圏を守ることなど出来ん」
ブリット「何!?」
ユウキ「L5戦役は運で勝利を得たようなもの……」「お前達連邦軍の対応の遅さ故に、犠牲となった者達の存在を知らぬわけではあるまい?」
カーラ(ユウ……)
ブリット「だから、あの後、俺達は……!」
ユウキ「手段や方法の問題じゃない。お前達では無理だと言ってる」
ブリット「!」
ユウキ「次の戦いはもう始まっている。俺達がここで相見えたようにな」
ブリット「だからと言って、また新たな犠牲を生み出す気かよ!?」
ユウキ「犠牲は……俺達で充分だ」
ブリット「な……に!?」
<戦闘開始>

<キョウスケvsアーチボルド>

アーチボルド「ふふふ、またお会いしましたねえ、ナンブ君」
キョウスケ「……!」
アーチボルド「やっぱり、あなた達とは長い付き合いになりそうですね」

<キョウスケvsユウキ>
ユウキ「ATXチーム……その実力、見せてもらうぞ」
キョウスケ「好きにしろ。だが、逃がしはせんぞ」

<キョウスケvsカーラ>
カーラ「わわっ! こいつ、もしかして隊長機!?」
キョウスケ「動きがまだ素人だな。しかし、容赦はせん……!」

<エクセレンvsアーチボルド>
アーチボルド「どうもあなた達とはご縁があるようですねえ」
エクセレン「ん~、少なくとも良縁じゃないわね」

<エクセレンvsユウキ>
エクセレン「さあさ、ブリット君だけじゃなくて、私の相手もしてもらうわよん」
ユウキ(何だ、この女……!?)

<エクセレンvsカーラ>
カーラ「いい動きしてんじゃん! ダンスのセンス、あるかもよ!」
エクセレン「あら~、割とノリノリの子じゃなぁい?」

<ブリットvsアーチボルド>
ブリット「今すぐ兵を退かせろ! こんな戦い、無意味だ!」
アーチボルド「それはあなたの勝手な理屈でしょう? 僕には関係ありませんねえ」

<ブリットvsユウキ>
ブリット「犠牲は自分達だけで充分だと言ったな? どういう意味だ!?」
ユウキ「それを教える必要はない。だが、己の無力さを思い知ってもらおう……!」

<ブリットvsカーラ>
ブリット「異星人が地球を狙っているんだぞ! 戦う相手を間違えるな!」
カーラ「なに言ってんの!」「あんた達がもうちょっとしっかりしてたら、こんな事にはならなかったんだよ!」
ブリット「……!!」

<ラミアvsアーチボルド>
ラミア「思ったより抵抗が弱い……やはり、彼らは?」
アーチボルド「フフフ、もうしばらく僕達に付き合ってもらいますよ」

<ラミアvsユウキ>
ユウキ「正確な動きだな。しかし、それだけに予測しやすい」
ラミア(コンタクトは……なしか)

<ラミアvsカーラ>
カーラ「何、こいつ……? 妙に機械的って言うか、何て言うか」
ラミア「この連中は……違うな」

<リーvsアーチボルド>
リー「あの艦を逃がすな! ここで仕留めるぞ!」
アーチボルド「フフフ、仕事熱心な艦長さんですねえ……それだけに助かりますよ」

<ユウキ撃破orHP70%以下>
ユウキ「噂に違わぬ実力だな、ATXチーム……!」
アーチボルド「ユウキ君、そろそろ僕達の露払いをお願いします」
ユウキ「了解。先に合流ポイントへ向かう」
〔敵ユニット離脱〕

<カーラ撃破orHP70%以下>
カーラ「や、やっぱ強いね……!」
アーチボルド「カーラ君、合流ポイントの警戒をお願いします。先に行って下さい」
カーラ「わ、わかったよ!」
〔敵ユニット離脱〕

<アーチボルド撃破orHP70%以下・勝利条件達成>
※※撃破の場合のセリフ※※
アーチボルド「……やれやれ、予想以上に強引な人達ですね」「でも、こちらの準備は何とか間に合いましたよ」
※※HP70%以下の場合のセリフ※※
アーチボルド「では、僕達も行くとしますか」「艦をオートモードへ。後は手はず通りに」
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

〔敵ユニット出現〕
リー「フン、最後のあがきか」
アーチボルド「全機、ブースト・ドライブ。……では、ごきげんよう」
〔敵ユニット離脱〕
※※撃破の場合のセリフ※※
ブリット「くそっ、前回と同じ手を!」
キョウスケ「全機、ライノセラスから離脱しろ! 誘爆するぞ!」
〔敵ユニット撃破〕
一般兵「ライノセラス級、自爆しました!」
※※HP70%以下の場合のセリフ※※
ブリット「何!?」
キョウスケ「艦を捨てた?」
リー「こしゃくな! 追撃を!」
ラミア「待て、あれは……!」
〔画面、振動〕
〔ライノセラス、前進〕

リー「特攻する気か!?」「艦回頭、面舵! 前部砲塔、一斉射撃! PT各機、援護しろ!」
〔ライノセラスに爆発〕
〔画面、振動〕
〔敵ユニット撃破〕

一般兵「ライノセラス級、撃沈!」

リー「逃げた敵機は?」
一般兵「すでにこのエリアから離脱しています。現在、衛星とのリンクによる追尾中」
リー「フン……。残党ごときが戦艦一隻をああもあっさりと犠牲にするとはな」「よし、PT各機を回収。本艦は逃亡した敵機を追撃する」
【戦闘マップ終了】

【シナリオエンドデモ開始】

メキシコ西海岸
クエルボ「お待ちしておりました、アーチボルド・グリムズ少佐」
アーチボルド「定刻通りの出迎えとは……アースクレイドルの方々は、意外に律儀なようですね」
クエルボ「どういう意味です?」
アーチボルド「いえいえ、バン大佐はともかく、僕達のような敗残兵は……」「いつぞやのアードラー・コッホ副総帥のように見捨てられるのではないかと思っていましてね」
クエルボ「……」
アーチボルド「これは失敬。では早速、潜水艦への機体搬入を。シロガネも追ってくるでしょうから」
クエルボ「わかりました」
アーチボルド「ところで、セロ博士……バン大佐の部隊は?」
クエルボ「すでに潜水艦艦隊と合流し、このメキシコ西海岸から離脱しています」
アーチボルド「結構」
クエルボ「それと、アースクレイドルからASRSと補充兵を運んできました」
アーチボルド「アスレス?」
クエルボ「アースクレイドルで開発された高性能ECMです」「現時点の連邦軍のレーダー・システムではASRS搭載機の探知が非常に困難です」
アーチボルド「ほう……。それで、補充兵とは?」
クエルボ「アースクレイドルで特殊訓練を受けたパイロットです。後ほどご紹介します」
アーチボルド「わかりました。では、僕達はシロガネを引きつけつつハワイを目指します」
クエルボ「ハワイ……ですか?」
アーチボルド「ええ。ある情報筋によると、あそこのヒッカム基地に……」「マオ社の新型のパーソナルトルーパーが運び込まれたらしいのです」「僕達は、それをいただきに行くんですよ」

シロガネ艦橋
ケネス「不穏分子の首領格をことごとく取り逃がしたようだな。リー・リンジュン中佐」
リー「……ここは彼らを泳がせた方が後々有利かと思われます」
ケネス「フン、言い訳か?」
リー(偽情報をつかまされておいて、よく言う。責任を私になすりつける気だろうが、そうはいかん)「敵の重要拠点を制圧したのは事実です。逃亡した敵は、補給のため近隣のアジトを利用する確率が高い」「むしろ、南太平洋に散らばる反連邦組織や、彼らに同調する勢力を一掃する好機となります」
ケネス「では、逃亡中の敵の動向は把握できていると言うのだな?」
リー「無論です。直接の勝敗が戦闘行動の全てではありません」「最終的に敵勢力を駆逐し、全域に安定したミリタリーバランスを構築できれば良いのです」
ケネス「さすがは、士官学校を主席で卒業した逸材だ。頭以上に舌もよく回る」
リー(フン、皮肉だけは人並みに吐けるらしいな)
ケネス「では、引き続きシロガネにはDC残存勢力と関連組織の追跡、調査を命じる」
リー「了解です」
ケネス「すでに、極東方面軍のハガネも同様の任務で動いている」
リー(! ハガネだと……?)
ケネス「ワシとしても、レイカーの極東方面軍にこれ以上大きな顔をされるわけにはいかん」「もし、ハガネに出し抜かれるようなことがあった場合はわかっているな?」
リー「はっ」
ケネス「……貴様の働き次第では、かねてからの要望通り、参謀本部への異動の推薦をしてやってもよい」「だから、くれぐれもワシの顔に泥を塗るような真似をするな」「いつまでも、その艦長席に座っていたくなければな」
リー「はっ」
ケネス「では、以上だ」
〔モニターの開閉音〕
リー(俗物め。我々の戦績で量産型ヒュッケバインMk-II強奪の件を帳消しにするつもりか)(この期に及んで己の利権を第一に考えるようでは、DC残党共にあしらわれて当然だ)(奴のような男のおかげで、軍全体が腐っていく。……いや、もう腐り始めている)「……オペレーター、ケネス少将のコードを使い、軍の試験機・新型機のテスト関連の情報を洗い出せ」
一般兵「はっ!」
リー(……ケネス少将、貴様が心配することはない。私はハガネなどに遅れはとらん)(そう……テツヤ・オノデラが乗り込んでいるあの艦などにはな)

シロガネ艦内
エクセレン「じゃ、またもや営倉入りは免れたってわけ? 良かったじゃなぁい」
ブリット「でも、処分は作戦が終了次第、決定されるそうです」
エクセレン「あの艦長さん、根に持つタイプみたいだもんね」
ラミア「命令に違反したのだから、当然だと思うですわ」
エクセレン「あらら。ラミアちゃん、ツッコミきついわねえ」
ラミア「ブルックリン少尉、何故、戦闘中に敵とあのような交信を?」
ブリット「……自分でも馬鹿な真似をしたということはわかっています」「でも、また無関係な人間がDC戦争のような戦いに巻き込まれるかと思うと……」
エクセレン(そっか……ブリット君はともかく、クスハちゃんはそうだったものね……)
ラミア「兵士は命令や任務が全て。それが理解できなければ、あの敵パイロットの言葉通りになる」
キョウスケ「そうだな」
ブリット「キョウスケ中尉……」
ラミア(ベーオウルフが私の意見に賛同するとはな)
キョウスケ「ブリット、あのパイロットが言っていたことにも一理ある」
ブリット「……」
キョウスケ「連邦政府と連邦軍がその構造ゆえ、本質的にぜい弱なのは事実……」「だからと言って、奴らが覇権を握るのが、ベストな選択とも思わん」「だが、一兵士に過ぎないおれ達でも、やり方次第で戦いを最小限にすることは出来ると思う」
ブリット「は……はい」
ラミア「そのためには、命令違反も許されると?」
キョウスケ「違う。命令を受け、任務を遂行する側の人間の心構えの問題だ」
エクセレン「要は、何でもうのみにするなってことよん」
ラミア(馬鹿な。任務に疑いを持って兵士が務まるものか)
〔扉の開閉音〕
エクセレン「あ、艦長さん」
リー「さん、は余計だ」
エクセレン(あらら、いちいち細かいことで)
リー「ちょうどいい、全体ミーティングの前に、貴様らへ本艦の新たな目的地を教えておく」
キョウスケ「新たな目的地……。どこなのです?」
リー「ハワイだ」
エクセレン「わお! もしかして、ワイキキビーチでワイウキバケーション?」
リー「ワイウキだと?」
ブリット(ワイワイウキウキでワイウキ……かな?)
エクセレン「実はこんなこともあろうかと、水着を持って来てるの!」
ブリット「み、水着?」
エクセレン「そそ。ガーネットから送ってもらった、超・ハ・イ・レ・グ❤」
ブリット「ちょ、超!?」
エクセレン「んも~、ブリット君の鼻血、4メートルは間違いなしよん?」
ブリット「俺はクジラか何かですかっ!」
キョウスケ「黙っていろ、二人共。……艦長、何故ハワイへ?」
リー「ヒッカム基地で新型パーソナルトルーパーのテストが行われるからだ」
ラミア(新型……)
キョウスケ「なるほど。量産型のヒュッケバイン同様、奴らがそれを狙うと読んだ……」
リー「そうだ。先程の敵部隊は太平洋側へ抜けた。故に、海路でハワイを目指す可能性が高い」
エクセレン「ホントかしら? それって、分の悪い賭けって奴じゃないですかぁ?」
リー「何か言ったか? 少尉」
エクセレン「いえ~、別に」
リー「フン……。様々なデータを検証し、計算した上で私が下した判断だ。間違いはない」
ラミア(随分な自信だが……)(この男の読みが外れても、新型機を見られるチャンスはあるか)(それにそろそろ次の指示が来る頃だ)
【シナリオエンドデモ終了】


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