第5話
ヒューマン・デブリ
【シナリオデモ開始】
グラドス艦 ブリッジ
グレスコ「ゲイル、君は私の命令を正しく理解していなかったようだな。私はあの反逆者の処理を命じたはずだ」
ゲイル「はっ、説得も処理のひとつだと理解しております」
グレスコ「手心を加えるなとも言ったぞ」
ゲイル「たとえ地球人の血が流れていようと、アルバトロ・ナル・エイジ・アスカはグラドス人です」「私が彼を説得し、連れ戻します」
グレスコ「エイジが持っている情報とレイズナーが地球側に渡れば、我らの計画に重大な支障をきたすのだ」「それでも君は奴をかばうのかね?」
ゲイル「自分はエイジを子供の頃から知っております。もう一度チャンスをいただければ…」
グレスコ「もういい。君にはしばし謹慎を命じる」
ゲイル「閣下!」
グレスコ「後任はすでに決めてある」
〔歩み寄る足音〕
ゴステロ「くっくっく…しくじったようだなぁ、ゲイル」
ゲイル「ゴステロ…!」
ゴステロ「感謝するぜ。お前さんのおかげで、最高の暇つぶしができそうだ。ふはははは」
ゲイル「貴様…!」
ゴステロ「エイジの戦闘パターンを見たが、急所をわざと外して攻撃しているじゃないか」「奴もお人好しだが、それを倒せん貴様はもっとお人好しだぜ」
ゲイル「………」
ゴステロ「もっとも、貴様は女には手が早かったな。忘れちゃいないぜ、あのことは」
ゲイル(…ジュリアとのことをまだ根に持っているのか)(気をつけろ、エイジ…)
イサリビ 食堂
アトラ「皆さん、おかわりが欲しかったら言ってくださいね」
アーサー「ああ。とってもおいしいよ、アトラの料理」
アトラ「ありがとうございます!」
〔扉の開閉音〕
アンナ「………」
アーサー「アンナ、どこへ行ってたんだよ?」
アンナ「エイジの所…食事を持って行ってあげたの」
ロアン「彼の様子は?」
アンナ「…落ち込んでいたわ」
シモーヌ「こないだ襲ってきた敵の指揮官って、エイジの知り合いだったんでしょ?」
アンナ「ええ、お姉さんの婚約者だって…」
シモーヌ「それ、ホント…!?」
デビッド「だから、手加減したってのか…!? 冗談じゃねえ!」「あいつのせいで、俺たちはギャラルホルンだけじゃなく、グラドスにまで狙われる羽目になっちまったってのによ!」
エリザベス「およしなさい、デビッド。彼は私たちを守るために戦ってくれたのよ」
デビッド「でも、敵の指揮官はエイジの義兄になる男なんだろう!」「向こうはともかく、あいつは撃てるのか!? 自分のアニキをよ!」
〔ドアノブを回す音〕
昭弘「………」
デビッド「な、なんだよ?」
昭弘「…騒がしいのは苦手でな」
〔歩き去る足音〕
デビッド「………」
イサリビ 通路
昭弘(…兄と弟、か)(昌弘…)
〔歩み寄る足音〕
三日月「何やってんの、昭弘」
昭弘「あ、いや…弟のことを思い出してな」
三日月「弟?」
昭弘「昌弘っつって…ヒューマンデブリとして俺とは別々に売り飛ばされた。いつか迎えに行くと約束したんだが…」「それっきり、昌弘とは会ってねぇ。正直、ちょっと前までは自分のことで精一杯で、あいつを忘れちまってた」「どうしてなんだろうな…。今までずっと忘れてたってのに、こんな急によ…」
三日月「………」
昭弘「…いや、らしくねぇな、俺は。ヒューマンデブリらしくねぇ」
三日月「昭弘はもうヒューマンデブリじゃないでしょ。鉄華団にだって自分の意志で入ったんだ」
昭弘「それは…」
三日月「少なくとも、俺たちはそう思ってるんだけど」
昭弘「三日月…」(…そうか。ヒューマンデブリなんかに過ぎない俺をこいつらはそんな風に言ってくれる)(だから思い出しちまったのかもしれねえな。家族って、ヤツを…)
イサリビ ブリッジ
フミタン「デブリ帯…ですか?」
ビスケット「はい。厄祭戦の時に放棄されたモビルスーツや船の残骸が密集している一帯で、回廊状の抜けばがあるんです」
ユージン「なんでこんな不自然にデブリが固まってんだ?」
ビスケット「デブリの中に稼働中のエイハブ・リアクターがいくつも残っていて…そこから発生した重力がデブリを捕まえているんだ」
クーデリア「リアクターが重力を発生させているんですか?」
ビスケット「今、艦内の重力を作っているのもエイハブ・リアクターですよ?」
クーデリア「えっ? そうだったんですか…」
ユージン「マジか…」
フミタン「すみません、お嬢様。私が事前に説明しておくべきでした」
クーデリア「い、いえ…フミタンのせいでは…」
メグ「まあ、あたしも知らなかったしね」「エイハブ・リアクター…凄い動力源よね。父さんたちが興味を持ちそう」
オルガ「フミタン、あんたは色々と詳しそうだな」
フミタン「よろしければ、ここでお手伝いしましょうか?」
オルガ「オペレーターの仕事をやれるってのか?」
フミタン「ええ…お嬢様のお許しをいただければ、ですが」
クーデリア「わかりました。フミタンは皆さんの力になってあげてください」
オルガ「決まりだな。頼むぜ」
フミタン「はい。それで…危険の承知の上で、デブリ帯を抜けるつもりなのですね?」
ビスケット「ええ。普通の船は、不安定な重力に支配されたこの回廊を通りませんからね」
オルガ「並の奴じゃ、越えられねぇデブリ帯…ほとんど目隠し状態の中での曲芸航行だ」
ビスケット「ただし、こういった所には、正規ルートを通らない船を獲物にする…」
〔レーダー反応〕
ユージン「なんだ!?」
オルガ「早速のお出ましってわけか」
ビスケット「ああ! たぶん、ここを根城にしてる海賊たちだ!」
メグ「か、海賊…!?」
フミタン「相対座標、モニターに出します」
オルガ「よし、迎え撃つぞ! エイジを独房から出せ! メグ、お前も出撃だ!」
メグ「わかったわ!」
【シナリオデモ終了】
サブタイトル
『ヒューマン・デブリ』
【戦闘マップ1開始】
〔敵ユニット出現〕
クダル「いいかなl、ガキども! せっかくの獲物を逃がすんじゃあねぇぞ!」
ブルワーズ兵「了解…」
昌弘「………」
クダル「おい! 返事はどうしたぁ!?」
昌弘「!?」
クダル「ヒューマンデブリの分際で! お前は敵のど真ん中に突っ込むんだよ!」
昌弘「りょ、了解…!」
〔味方枠外ユニット出現〕
〔味方ユニット出現〕
オルガ「デブリ帯での戦闘だ! 気合入れてけよ、お前ら!」
エイジ「………」
キリコ「エイジ」
エイジ「…ここを突破しなければ、地球に行けないってことはわかっています」
キリコ「そうか」
レイ「アラーム・メッセージ。照準制限ノ 継続ハ 危険。ターゲットノ 変更ガ 必要」
エイジ「その必要はない…! なんとかやってみせる!」
クダル「ネズミども! このクダル・カデル様とグシオンを舐めるんじゃないよ~!」
三日月「あのモビルスーツ…あいつが頭か」
<戦闘開始>
<三日月vsクダル>
クダル「白い奴ぅ! ぐっちょんぐっちょんにしてやるわぁ!」
三日月「こいつ、意外と速い…」
<昌弘撃破orクダルHP30%以下・勝利条件達成>
※※昌弘撃破の場合のセリフ※※
昌弘「う、うううっ…!!」
クダル「ちっ、マン・ロディを! モビルスーツはてめえらなんかよりよっぽど価値があるってのに!」
昌弘「す…すみ…ません…!」
クダル「…あいつはもうダメね。これ以上の損失はまずいし…引き揚げよ!」
〔敵ユニット離脱〕
※※クダルHP30%以下の場合のセリフ※※
クダル「な、何なのよぉ、こいつら! ネズミのくせに!」「ええい、もう! 引き揚げよ!」
〔敵ユニット離脱〕
昌弘「な、なんだ!? 機体が動かない!」
三日月「1機残った…始末するよ」
オルガ「待て、ミカ。そいつから海賊どもの情報を聞き出してぇ」
三日月「わかった」
フミタン「では、あの機体に投降を呼び掛けます」
オルガ「ああ、やってくれ」
フミタン「…こちらは鉄華団のイサリビ。そこのモビルスーツ…武装を解除してください」
昌弘「お、俺をどうする気だ…!?」
昭弘「! 今の声、まさか…」「昌弘! 昌弘なのか!?」
昌弘「あ…兄貴…!?」
オルガ「おい、昭弘! あいつはお前の弟なのか!?」
昭弘「あ、ああ。俺の本当の…家族だ」
エイジ「彼の弟が…敵に…!?」
昭弘「オルガ、弟は俺が回収する! 頼む、やらせてくれ!」
オルガ「…わかった。お前に任せるぜ」
昭弘「すまん!」
シノ「昭弘の弟が海賊にいたなんてよ…」
ユージン「あ、ああ…驚いたぜ」
〔味方ユニット出現〕
〔昭弘、昌弘へ接近〕
昭弘「昌弘! 迎えに来たぞ!」
昭弘「あ、兄貴…俺、ずっと待ってたよ、兄貴を…」「でも、期待するだけ無駄だって…ヒューマンデブリは宇宙でゴミみたいに死んでいくんだって思ってたけど…」
昭弘「俺もそうだ。何をやったって、どうしようもねぇ…このまま一生、変わらねぇって…」「正直、お前のことも諦めちまってた。けどな、こんな俺を人間扱いしてくれる奴らが…」「まるで…家族みたいに思える奴らができたんだ」
昌弘「家族…」
昭弘「俺たちの所へ来い、昌弘。みんな、お前を受け入れてくれる」
昌弘「兄貴…俺…」
〔レーダー反応〕
フミタン「高熱源体複数、急速接近!」
オルガ「!?」
フミタン「エイハブ・リアクターの反応なし!」
〔敵ユニット出現〕
エイジ「SPTか!」
昭弘「こんな時に!!」
ゴステロ「クハハハハ! 見つけたぞ、地球の猿ども!」
〔昭弘の周囲に爆発〕
昭弘「ぐああっ!!」
ゴステロ「死ね、死ねぇ!」
昌弘「危ない、兄貴!!」
〔昌弘に爆発〕
昭弘「ま、昌弘っ!?」
昌弘「うぐ…あ、ああ…!」
昭弘「どうして俺をかばった!?」
昌弘「なんだろう…不思議なんだ…痛いはずなのに…凄く…」「でも…頭ん中す~っとして…」
昭弘(阿頼耶識か…!)
昌弘「なんかホント変だ…俺って、やっぱ人間じゃないんだ…」
昭弘「もう喋らなくていい!」
昌弘「前に面白い話…聞いたんだ…」「知ってる…? 人間は死んでもね…魂が生まれ変わるって嘘みたいな…話…」
昭弘「だから、喋るな! 今、ハッチを開けてやる!」
昌弘「どっちにしても…デブリの俺には関係ないか…」
〔昌弘、昭弘へ隣接〕
〔金属音〕
〔昭弘、後退〕
昭弘「昌弘、何を!?」
昌弘「ねえ、兄貴…わかった? やっぱりヒューマンデブリはこうやって死んで…」
昭弘「わかってたまるかよ! そう、お前がここで死んじまっても! きっと生まれ変わって…」「生まれ変わって、戻ってくるんだよ! 俺たちの家に!」
昌弘「ふふっ…生まれ変わりが本当か、嘘か…それももうすぐわかるよ…」「先に確かめてくるね…兄貴…」「兄ちゃん……」
〔敵ユニット撃破〕
昭弘「ま、昌弘ぉぉぉぉぉっ!!」
ゴステロ「さあ、次は貴様の番だ! その貧弱な機体じゃ、何もできんだろう!」
昭弘「こ、この野郎!!」
エイジ「やめろ! お前の目的は僕だろう!?」
ゴステロ「俺はな、弱い奴を痛ぶるのが好きなんだよ!」
〔ゴステロの周囲に爆発〕
ゴステロ「ぬうっ!?」
三日月「…うるさよお」
ゴステロ「いい度胸だ! 裏切り者のエイジより先に貴様を殺してやる!」
三日月「昭弘は下がって」
昭弘「けどよ!!」
三日月「あいつは俺たちがやるから」
昭弘「…!」「わ、わかった…!」
〔味方ユニット離脱〕
オルガ「頼むぞ、お前ら…! こじ開けてでもこの道、通り抜ける!」
【戦闘マップ1終了】
【戦闘マップ2開始】
〔味方枠外ユニット出現済み〕
〔味方ユニット出現済み〕
〔敵ユニット出現済み〕
ゴステロ「へへへへ…狩ってやるぜ、猿ども!」
エイジ「三日月、あいつの狙いは僕だ。だから…!」
三日月「だから? コックピットを撃てるの?」
エイジ「そ、それは…!」
三日月「なら、下がって。あんたに何かあると、オルガが困るから」
エイジ「う…!」
三日月「じゃ、いくよ」
ゴステロ「ふん、生意気な! 返り討ちにしてやる!」
<戦闘開始>
<三日月vsゴステロ>
ゴステロ「この俺に楯突くとは、身の程知らずな猿め! ゆっくりとなぶり殺しにしてやる! ふはははは!!」
三日月「ホントにうるさい奴だ」
<エイジvsゴステロ>
レイ「アラーム・メッセージ。照準制限ノ 継続ハ 危険。照準ヲ SPT中枢ニ 変更セヨ」
エイジ「ダメだ! いくら非道な相手だろうと、コックピットを撃つわけにはいかない!」
ゴステロ「データの通りだ、こいつに人は殺せない! たっぷりと痛ぶってやる!」
<ゴステロ撃破・勝利条件達成>
ゴステロ「ええい、小癪な猿ども!」「覚えておけ! 俺は必ず戻ってきて貴様らを八つ裂きにしてやる!」
〔敵ユニット離脱〕
三日月「そんなこと、覚えておくつもりはないよ」
オルガ「追わなくていいぞ、ミカ。ここの突破が最優先だからな」
三日月「…わかった」
【戦闘マップ2終了】
【シナリオエンドデモ開始】
イサリビ ブリッジ
ビスケット「昭弘は…?
ユージン「部屋にこもってるんじゃねぇのか? 弟がしんじまったんだからよ…」
オルガ「あいつの目の前で…な。行かせちまった俺にも責任の一端はある」
〔扉の開閉音〕
エリザベス「団長さん、話があるのだけど」
オルガ「なんだ?」
エリザベス「昭弘君の弟さんのお葬式を出したらどうかと思って…」
オルガ「葬式?」
エリザベス「そう。地球だと死者はお葬式で送り出すのよ。魂がきちんとあるべき場所へもどれるように…そして、生まれ変われるようにね」
オルガ「ピンときませんね、魂が生まれ変わって云々とか」「葬式なんてする暇があったら、これからどうやって生きるかを考えるために時間を使った方がいい」
エリザベス「お葬式は、生きてる人のためにもあるの。大切な人の死をちゃんと受け入れるために」
オルガ「………」
エリザベス「だから、彼の…あなたの仲間のためにも、ね」
オルガ「………」「…わかった」
イサリビ 食堂
クーデリア「お葬式を?」
三日月「うん。なんかよくわかんないけど、オルガが準備を頼むって」
クーデリア「…わかりました」
三日月「じゃあ」
エイジ「あ、三日月…」
三日月「なに?」
エイジ「さっきはすまない…」
三日月「…今度はあんたの番かもね」
エイジ「え?」
三日月「本気で戦う気がないんなら、出撃しない方がいいよ」
エイジ「…!」
三日月「どうせ死ぬだけだからさ」
エイジ「………」
【シナリオエンドデモ終了】
● 第4話「さよならの赤い星」 へ戻る
● 第6話「蒼き流星となって」 へ進む
◆ 「ワールド4」 へ戻る
◆ メインワールド序章 へ戻る
◆ 「スーパーロボット大戦DD」 へ戻る
当館に記載されている作品名・製品名などは、各社の登録商標です。
当館の内容は、各社からの正式許可を受けてはおりません。