第2話
凶兆と共に凶鳥は飛ぶ
【シナリオデモ開始】
シズキ(あれから数日経ったけど、連絡も迎えも来ない…。オルレアン工場で何かあったのかしら? あるいは、パリの…)
〔歩み寄る足音〕
ルスラン「よう、君がシズキ・シズカワかい?」
シズキ「そうですが、あなたは?」
ルスラン「俺はルスラン・マカロフ。民間の輸送業者とでも言っておこうか」
シズキ(つまり、実際にはそうではないということ…)
ルスラン(ふふん、目付きが変わったな。勘はいいようだ)
シズキ「それで、私に何の御用でしょう?」
ルスラン「ある人間からドライの輸送を頼まれた。ここの司令には話を通してある」「で、あれを起動させるには君の生体認証が必要ってことで、こうやって会いに来たのさ」
シズキ「あなたの依頼主は、マオ・インダストリーのユアン・メイロン常務ではないのですか?」
ルスラン「違うが、その男に話はしてあるってよ」
シズキ「では、ドライの送り先はどこなのでしょう?」
ルスラン「君は軍人じゃないし、テストパイロットを辞めるんだろ。あれがどうなろうと関係ないだろうが」
シズキ「仕事で関わったとは言え、思い入れがある機体ですから」
ルスラン「最初のヒュッケバインは、とんでもエンジンの暴走事故を起こし、バニシング・トルーパーと呼ばれた曰く付きのマシン…」「不幸を呼ぶ凶鳥とも言われてる。ドライは、その量産試作機の3号機だろ」
シズキ「しかし、ヒュッケバインの後継機がL5戦役などで戦果を挙げ、量産型ヒュッケバインMk-Ⅱは軍の主力パーソナルトルーパーとして採用されています」
ルスラン「それは知ってるが…俺が言いたいのは、凶鳥の眷属とはさっさと縁を切っちまえってことさ」
シズキ「ですが…」
ルスラン「ドライっていうコードネームで呼ばれ、その存在を秘密にされてる機体の行き先なんか聞いて、何になる?」「すっぱり忘れちまいな。さもなきゃ、凶鳥が君に不幸をもたらすぜ」
シズキ(不幸…)
ルスラン「君はドライを俺の輸送機に乗せてくれりゃあいい。それが最後の仕事ってわけさ」
シズキ「………」
ルスラン「もう知ってるだろうが、また異星人が襲って来た。これから大きな戦争が始まっちまう。だから、さっさと家に帰りな」
シズキ「私がテストパイロットを辞める件を含め、事情をご存知なのですね」
ルスラン「詳しくは聞いてない。もっとも、君のような美人に個人的な興味はあるけどね」
シズキ「…ドライを起動させます」
ルスラン「ああ、頼む。そうそう、伝え忘れてたことがあった。君の迎えはもうすぐ来るぜ」「聞いて驚け、マオ・インダストリーのプライベート・ジェットだそうだ。俺のオンボロ輸送機とは大違い。羨ましいねえ」
シズキ「…失礼致します」
〔歩き去る足音〕
ルスラン(さて、急がなきゃな。ギリアムの懸念が当たったら、洒落にならねえ)
【シナリオデモ終了】
サブタイトル
『凶兆と共に凶鳥は飛ぶ』
【戦闘マップ1開始】
〔味方ユニット出現〕
シズキ「ルスランさん、このまま輸送機に乗せればよろしいでしょうか」
ルスラン「悪い、5分待ってくれ。今、俺の荷物を積み込んでるんでね」
シズキ「わかりました」(あれは…Mk-Ⅲ用の武器? しかも、2つ…)(もしかして、008L用追加武装のプロトタイプ? あと、あの脚のようなパーツ…元々輸送機に積んであったの?)
ルスラン「ところで、シズキちゃん、君は何で家を飛び出したんだ?」
シズキ「…よくある話です」
ルスラン(おっ、素直に教えてくれるんだな)
シズキ「父に敷かれたレールの上で生きていくのが嫌になって…」「でも、父の仕事の影響で精密機械に興味があり…それ関係の業務に就きたくて…」
ルスラン「で、行き着いた先がパイロットか。まあ、パーソナルトルーパーは精密機械の権化みたいな物だしな」
シズキ「それもあるのですが、思い通りに…言えにいた頃の生き方と違い、自分の想うがままにロボットを動かすことに魅力を感じたのです」「もっとも、実戦い出る度胸はありませんでしたが…侵略者達から私達の世界を守るため、少しでも役に立ちたいと考えました」
ルスラン「なるほど、それでメーカー側のテストパイロットか。ま、デカい人型を思い通りに動かすのが魅力的だって話はわかるぜ」
シズキ(もしや、ルスランさんは…)
ルスラン「で、どうして辞めることになったんだ?」
シズキ「父に私の居場所を突き止められ、さらに母が病気で入院することになりましたので…」
〔敵ユニット出現〕
シズキ「あれは…?」
ルスラン「アーマードモジュールだな。この時間に着陸する機体がいるなんて聞いて…」「まさか!」
オペレーター「IFF信号は間違いなく連邦軍のコードです。しかし、こちらからの呼びかけにには依然として応じません」
基地司令「しかも、新型で…どこの所属なんだ」
オペレーター「あっ、アーマードモジュールから通話要請が来ました!」
基地司令「繋げ」
ガイアセイバーズ兵「我々は地球連邦政府大統領直轄の特殊作戦部隊、ガイアセイバーズだ。そこにいるヒュッケバインMk-Ⅱを引き渡せ」
オペレーター「ガイアセイバーズ…!」
基地司令「パリ上空に現れた異星人を撃退した部隊か。何故、IFF信号を偽ったんだ」
ルスラン「くそっ、ここを嗅ぎ付けられたか! 一歩遅かったぜ!」
シズキ「どういうことなんです!? 何故、彼らがドライを!?」
ルスラン「それは…」
ガイアセイバーズ兵「繰り返す。ヒュッケバインMk-Ⅱを引き渡せ」
基地司令「連邦軍とガイアセイバーズは別組織だ。貴官の命令を聞く理由がない。しかも、そちらは身分を偽った」
ガイアセイバーズ兵「我らはアルテウル・シュタインベック特次副大統領の命令で動いている」「つまり、ヒュッケバインMk-Ⅱの引き渡しは地球連邦政府上層部の意志である。お前達がそれに逆らうことは出来ない」
基地司令「こちらを欺しておいて、何を言うか」
ガイアセイバーズ兵「命令に従わないのなら…」
ルスラン「悪いな、ヒュッケバインMk-Ⅱは俺がいただいていくぜ!」
オペレーター「ええっ!?」
シズキ「ルスランさん!?」
ルスラン「こいつは闇ルートで売れば、凄く儲かるからな! 俺はそのつもりでここに潜り込んだんだよ!」
オペレーター「司令!」
基地司令「放っておけ」
オペレーター「しかし!」
基地司令「構わん。我々は何もしなくていい」
ルスラン(すまないな、司令)
ガイアセイバーズ兵「では、実力を以て、ヒュッケバインMk-Ⅱを奪取する。抵抗した場合は反逆者と見なし、処罰する」
ルスラン「シズキちゃん、降りろ。エンジンは回したままでいい」
シズキ「それでは、ドライが!」
ルスラン「そいつには俺が乗る。依頼主はこういう事態を想定して、俺をここへ来させたんだ」
シズキ「動かせるんですか、この機体を!?」
ルスラン「ああ、俺はアーマードモジュールでバトリングをやってたからな」(と言っても、積み荷に乗って逃げるっていうヤバい展開だ。ギャラ3割増しじゃ、やってられん。3倍だ、3倍。必ずギリアムに飲ませてやる)(本来なら、あいつがやるべき仕事なんだからな)
シズキ「くっ…!」
ルスラン「シズキちゃん、早く基地の中へ逃げろ。俺に脅されたと言えば、お咎めなしだろうさ」
シズキ「拒否します!」
ルスラン「いやいや、君は実戦経験がないだろ?」
シズキ「でも、この機体のことをよく知っているのは私です!」
ルスラン「駄目だ! 仮にあいつらと渡り合えたとしても、結果的に死ぬぞ! 手に入らないとなったら、ヒュッケバインを破壊するつもりなんだからな!」
〔シズキ、前進〕
ルスラン「止めろ、シズキちゃん!」
シズキ「もう乗り換えをしている時間はありません!」
ルスラン「あいつらと戦ったら、後戻り出来なくなるかも知れないぞ!」
シズキ「ありきたりな理由でしょうが、私もドライもこんな所で終わるわけには参りません!」「ここでこの機体を失えば、今までやってきたことが無駄になりますから!」
ルスラン「生命あっての物種って奴だ! 死ねば、それこそ全てが終わるんだぞ!」
シズキ「終わりません! そう、私の仕事はまだ終わっていないのです!」
<戦闘開始>
<シズキが戦闘>
シズキ「落ち着いて、シミュレーション通りにやれば…! ドライならば…!」
<敵全滅・勝利条件達成>
ルスラン(4機とも落としたか。言った通り、ドライの扱いに慣れてる)(しかも、敵機のコックピットに当ててない。パイロットは脱出してる)(おかげで後からガイアセイバーズが連邦軍へ言い掛かりを付けて来ても、最悪のケースは回避できる)(この状況でそこまで考えていたんなら、大したもんだぜ、シズキちゃん)
シズキ「ルスランさん、プロトタイプの武器は輸送機に積み終わりましたか?」
ルスラン「ああ、もう少しだ。それにしても、初陣とは思えん戦いぶりだったぜ」
シズキ「この間までオペレーションSRWを想定した戦闘シミュレーションをやっていましたので、そのおかげかと」
ルスラン「エアロゲイターとの決戦かよ。そりゃ、ハイレベルなステージだ」
シズキ「でも、実戦では…手の震えが止まりません」
ルスラン「それでも立派なもんだ。テストパイロットを辞めるのは勿体ない…」
〔レーダー反応〕
シズキ「!!」
【戦闘マップ1終了】
【戦闘マップ2開始】
〔味方ユニット出現済み〕
オペレーター「司令、接近中の機体もガイアセイバーズです!」
基地司令「用意周到だな…!」
〔敵ユニット出現〕
ルスラン「ガイアセイバーズの手前、この基地から援軍は出せねえ…!」
シズキ「ルスランさん、積み荷の搭載と離陸準備を急いで下さい! 私が時間を稼ぎます!」
ルスラン「すまないが、頼むぜ!」
シズキ(ドライ…いえ、ヒュッケバインMk-Ⅱ! 私達は生き残ってみせます!)
<戦闘開始>
<敵全滅・勝利条件達成>
シズキ「戦域内に反応なし…何とか凌げた…!」
ルスラン「シズキちゃん、準備OKだ! こっちへ来てくれ!」
シズキ「いえ、安全な所へ到達するまでお付き合いします。この機体にはテスラ・ドライブが搭載されていますから、長時間の飛行が可能です」
ルスラン「ありがたい話だが、君はここが引き際だ。これ以上は、マジで反逆者になっちまうぜ」
シズキ「それではルスランさんも…」
ルスラン「俺はまあ、今さらって話でね」
〔レーダー反応〕
シズキ「まだ来る!?」
ルスラン「このスピード、さっきのアーマードモジュールとは段違いだ! ヤバいぜ、君だけで先に逃げろ!」
シズキ「もう遅いようです…!」
〔敵ユニット出現〕
アーマラ「あれが最後の凶鳥か」
シズキ「く、黒いヒュッケバイン!?」
アーマラ「取るに足りない相手だが…狩ってやる」
【戦闘マップ2終了】
● 第1話「白き魔星にて」 へ戻る
● 第3話「凶鳥の最期」 へ進む
◆ 「ラスト・オブ・バニシングトルーパー」 へ戻る
◆ 「ショートシナリオイベント」 へ戻る
◆ 「スーパーロボット大戦DD」 へ戻る
当館に記載されている作品名・製品名などは、各社の登録商標です。
当館の内容は、各社からの正式許可を受けてはおりません。